
Amazonのブランド登録とは、企業のブランドを模倣品や不正な相乗り出品から守り、Amazonでの信頼と売上を向上させるためのプログラムです。
ブランド登録が済んでいないと活用できない広告もあるため、Amazonで売上を伸ばすために活用したいところ。
しかし、
「ブランド登録をしたいけど、手順や方法がわからない」
「商標は申請中だけど、本当に登録できる?」
と悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Amazonブランド登録のメリットや注意点、具体的な申請手順から、よくある失敗例とその回避策まで徹底的に解説します。
ブランド登録後に売上を伸ばすための具体的な方法まで紹介していますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
新卒で楽天グループ株式会社に入社し、ECコンサルタントとして
SOY(Shop of the Year)受賞店舗をはじめ多数の上位店舗を支援。
約2万人の社員の中から「楽天賞MVP」を受賞するなど、
高い実績と評価を獲得。
その後、大手企業のEC支援を行うコンサルティング会社を経て、
2020年にEC専門支援会社「ジャグー株式会社」を設立。
楽天市場やAmazonなど複数モールにおける売上拡大・運用最適化を総合的に支援している。
また、グループ会社にて自らもAmazonでの販売事業を展開。
自社ブランド製品はAmazonで「Amazonおすすめ」を多数獲得し、
販売開始から1年で月商1,000万円を突破するなど、売り手としても豊富な実績を持つ。
目次
Amazonブランド登録とは?

(画像出典元:Amazon)
Amazonブランド登録(Amazon Brand Registry)とは、有効な登録商標または出願中の商標を持つブランド所有者向けの無料プログラムです。
Amazonに出品しているかどうかにかかわらず利用が可能で、主に以下の3つの目的を掲げています。
目的 | 概要 |
知的財産権の保護 | ブランドのロゴや名称を不正使用から守り、模倣品や偽造品の流通を抑制 |
出品情報の管理精度向上 | ブランド所有者が自社商品の情報をより正確にコントロールできる |
ビジネス成長の支援 | ブランド独自のストアページの作成や、特別な広告プログラムへの参加など、売上拡大につながるツールを提供 |
Amazon公式ページでもブランド登録の重要性や概要が紹介されていますので、併せて確認してみてください。
Amazonブランド登録を活用すれば、ブランド価値の毀損リスクを減らし、顧客からの信頼を高められます。Amazonでの出品を成功させるためにも、積極的に活用したいプログラムです。
Amazonブランド登録の条件
Amazonブランド登録の利用には、主に以下の条件を満たす必要があります。
条件 | 概要 |
ブランド名またはロゴの恒久的貼付 | 登録しようとするブランド名またはロゴが、商品自体やそのパッケージに恒久的に(簡単に剥がれない形で)表示されている必要がある(印刷・刻印・縫い付けなど。シール貼りは認められない場合が多い) |
有効な商標の所有 | ブランド登録を希望する国(日本であれば日本国特許庁)の政府商標局が発行した、有効な登録商標(Rマークが付与されたもの)または出願中の商標(TMマークの段階でも、特定の条件下で申請可能な場合がある)を所有している |
上記の条件は、登録者がブランドの正当な権利者であることをAmazonが確認し、プログラムの信頼性を保つために設けられています。
特に商標は自社のブランドを法的に保護する重要な要素です。未取得の場合はまず商標出願から進めましょう。
ブランド登録を行う10のメリット

Amazonでブランド登録を行うメリットを、3つの観点から解説します。
- ブランド保護強化のメリット
- 販売促進面でのメリット
- 業務効率化・分析面でのメリット
計10のメリットについて、順に解説します。
ブランド保護強化のメリット
ブランド登録をすると、自社ブランドの保護を強化できます。模倣品や不正出品によるブランドイメージの低下や売上機会の損失を防ぎましょう。ブランド保護につながるメリットは以下の2点です。
- 相乗り出品への対策になる
- 商品カタログの編集権限を得られる
1.相乗り出品への対策になる
ブランド登録が完了していれば、自社ブランドの権利を侵害する出品に対してAmazonに申し立てを行えます。
正規の販売事業者でない出品者が存在した場合、その旨をAmazonに通知すると、Amazon側の判断に基づき、出品停止やアカウント停止などのペナルティを課すことが可能です。
ただし、相乗り出品行為自体がAmazonの規約違反となるわけではありません。あくまで、商標権を侵害している、あるいはユーザーに誤認を与えるような悪質なケースに対する手段である点を理解しておきましょう。
2.商品カタログの編集権限を得られる
ブランドが登録されると、自社ブランド商品の商品カタログ(商品ページ)を優先的に編集できます。ブランドイメージの統一性や情報発信の正確性を保つ上で重要なポイントです。
ブランド登録をしていない場合、他の出品者によって商品情報が書き換えられてしまう場合があり、誤った情報の記載や不適切な画像を使用されるリスクがあります。
ブランド登録によって編集権限を確保しておけば、他社による書き換えを防ぎ、常に最新かつ正確な情報を提供可能です。結果としてブランドへの信頼感が高まり、顧客満足度の向上やクレームの削減にもつながるでしょう。
販売促進面でのメリット
ブランド登録を行えば、より魅力的な商品訴求や広告運用が可能になります。販売促進面でのメリットは以下の4点です。
- スポンサーブランド広告・スポンサーディスプレイ広告を出稿できる
- A+コンテンツを活用できる
- ストアページを作成できる
- Amazon Vine 先取りプログラムを活用できる
3.スポンサーブランド広告・スポンサーディスプレイ広告を出稿できる
ブランド登録を完了すると、Amazon内で利用できる広告の種類が増えます。特に以下の2つの広告は視認性が高いため、出稿できればアクセス数やブランド認知の向上につながるでしょう。
広告メニュー | 特徴 |
スポンサーブランド広告 | ・検索結果ページの上部や商品詳細ページなど、目立つ位置にブランドロゴ、カスタム見出し、そして最大3つの商品を表示できる広告 ・顧客を商品ページだけでなく、ブランド専用のストアページへ誘導することも可能 |
スポンサーディスプレイ広告 | ・Amazonのウェブサイト内外(提携サイトやアプリなど)のさまざまな場所に表示される広告 ・特定の興味関心を持つ顧客層や、自社商品または類似商品を閲覧した顧客に対してリターゲティングを行うことが可能 |
スポンサーブランド広告とスポンサーディスプレイ広告についてはそれぞれ下記の記事で詳細に解説していますので、ぜひ併せて確認してみてください。
関連記事:Amazonのスポンサーブランド広告とは?設定方法やメリット・運用ポイントを徹底解説
関連記事:【2025年最新】スポンサーディスプレイ広告とは?基本設定から最適化まで完全解説ガイド
4.A+コンテンツを活用できる
ブランド登録を行うと「A+コンテンツ」と呼ばれる、リッチな商品説明ページを作成する機能が利用可能になります。商品の魅力を引き出し、ユーザーの購買意欲を高められるツールのため、積極的に活用したい機能です。
▼商品紹介コンテンツの例(左:追加画像、右:比較表)


画像出典元:Amazon
A+コンテンツを活用すると、テキストと画像以外にも以下のような要素を取り入れ、視覚的な訴求力の高い商品ページを作成できます。
- 高解像度の画像
- 比較表
- 動画
- ブランドストーリーを語るモジュール など
商品についての詳細な情報を見やすく取り入れられるため、特徴や利点を詳細かつ分かりやすく伝えられるでしょう。ブランドイメージの向上にも効果的です。
なお、A+コンテンツの利用はブランド登録と大口出品者であることが条件となっています。
5.ストアページを作成できる
ブランド登録が完了していれば「Amazonストア」と呼ばれる、自社ブランド専用のカスタムページを作成できます。
通常のAmazonの商品ページは定型的なフォーマットですが、ストアページでは、より自由度の高いデザインやレイアウトが可能です。ブランドロゴやイメージ画像を大きく配置したり、動画を埋め込んだり、商品をカテゴリー別に整理して表示したりと、自由度が高いページ制作が可能になります。
通常Amazonでは楽天市場のような店舗ページを作成できないため、ストアページを作成することでブランドの世界観やストーリーなどをユーザーに伝えやすくなります。
Amazonのストアページについては下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せて確認してみてください。
関連記事:【2025年】Amazonストアページの作成手順から活用ポイント・事例まで徹底解説!
6.Amazon Vine 先取りプログラムを活用できる
新商品の発売時や、既存商品のレビュー数を増やしたい際に有効なプログラムが「Amazon Vine 先取りプログラム」です。ブランド登録を行うと活用ができ、質の高い商品レビューを効率的に集められるようになります。
Amazon Vine 先取りプログラムとは、Amazonが独自の基準で選定し招待した、信頼性の高いレビュアー(Vineメンバー)に商品をレビューしてもらう制度です。
商品を無償で提供する必要があり、必ずしも良いレビューがもらえるわけではありません。しかし、短期間で信頼性の高いレビューを獲得できる点がメリットです。
信頼性の高いレビューはユーザーの購買意欲を後押します。ブランド登録を行い、Vine 先取りプログラムを活用することで、コンバージョン数(CV)の向上が狙えます。
なお、Amazon Vine 先取りプログラムを活用するには、ブランド登録以外にも以下の条件を満たす必要があるため注意しましょう。
- 大口出品者であり、FBA(フルフィルメント by Amazon)を利用していること
- 取り扱い商品がアダルト商品でないこと
- 商品の在庫が十分に確保されていること
- 商品ページに適切な画像と詳細な説明があること
業務効率化・分析面でのメリット
ブランド登録を行うと、販促面だけではなく、業務効率のアップや分析面の強化にもつながります。業務効率化や分析面でのメリットは以下の4点です。
- Amazonブランド分析を利用できる
- Amazon A/Bテストを活用できる
- JANコード免除の申請ができる
- 「Brand Registryチーム」によるサポートを受けられる
7.Amazonブランド分析を利用できる
ブランド登録を完了している出品者は「Amazonブランド分析(Brand Analytics)」を利用できます。Amazonブランド分析とは、Amazonに出品されている商品のデータやAmazon内での検索ボリュームを計測・分析できるツールです。
主に以下のような機能を活用できます。
機能 | 概要 | 活用方法 |
---|---|---|
Amazon検索用語 | ユーザーがAmazon内で検索している人気のキーワードや、特定キーワードでCVRの高い商品を確認できる | ・キーワード選定 ・競合分析 ・広告配信の最適化 など |
検索カタログパフォーマンス | 検索結果から商品ページに流入したユーザーのページ内行動を分析できる | ・離脱ポイントの特定 ・商品ページの改善点発見 など |
検索クエリパフォーマンス | 検索キーワードごとにユーザーの購買行動を詳細に分析できる | ・キーワードごとのCVR比較による施策立案 |
リピート購入行動 | リピート購入者の割合やリピート購入による売上を確認・把握できる | ・Amazon定期おトク便の利用検討 ・他ECプラットフォームとのリピート率比較 |
ストアバスケット分析 | 特定の商品と同時に購入されている商品を確認できる | ・セット商品の企画 ・設定、新商品開発 など |
Amazonブランド分析を活用すれば、施策改善のための具体的な数値を得られるため、データに基づいた意思決定を進めやすくなるでしょう。
8.Amazon A/Bテストを活用できる
ブランド登録を行うと「A/Bテスト(比較テスト)」機能を活用して、データに基づいた効果的なページ改善を進められます。
A/Bテストとは、1つの商品に対して、商品タイトルやメイン画像、商品説明文などの要素が異なる2つのパターンのコンテンツ(AパターンとBパターン)を一定期間、ランダムに表示し、どちらのパターンのCTRやCVRが高いかを比較検証できる機能です。
施策立案のための客観的なデータを集められる点だけでなく、売上低下のリスクを押さえながら改善を進められる機能なので、積極的に活用することをおすすめしています。
AmazonのA/Bテスト(比較テスト)については以下の記事で詳しく解説しています。具体的な活用方法も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
関連記事:【2025年】AmazonのABテスト(比較テスト)とは?メリット・注意点・設定手順・成果を高める活用法を徹底解説
9.JANコード免除の申請ができる
通常、Amazonで商品を新規に出品する際には、JANコード(GTIN、UPC、EANなど)のような国際的に標準化された商品識別コードの登録が必須です。しかしブランド登録を行うことで、JANコードの登録免除の申請が可能になります。
たとえば、自社オリジナルのハンドメイド商品や、複数の商品を組み合わせたセット商品などは、JANコードが付与されていない場合があります。しかしブランド登録を済ませていれば、AmazonにJANコード免除の申請を行い、承認を得ることで商品を出品できるようになります。
JANコード免除の申請は、セラーセントラル内の、
「ヘルプ>製品コード免除の許可>免除の申請はこちらから」を選択し、必要項目を入力して行います。
10.「Brand Registryチーム」によるサポートが受けられる
Amazonブランド登録を完了すると、知的財産権の保護やブランド関連の問題について、専門の知識を持つ「Brand Registryチーム」によるサポートを受けられるようになります。
Brand Registryチームは、Amazon内でのブランド保護を専門とする窓口であり、以下のような場合に相談や対応依頼が可能です。
- 自社ブランドの商標権を侵害していると思われる出品を発見した場合の報告と対応依頼
- 著作権や特許権など、その他の知的財産権に関する侵害の疑いがある場合の相談
- ブランド登録システムの利用方法に関する質問
Amazonで本格的にビジネスを成長させていく場合、さまざまな課題やトラブルに直面することがあります。その際に専門的な知見を持つチームからアドバイスやサポートを受けられることは、問題の迅速な解決や、コア業務への集中のしやすさに直結するでしょう。
Amazonブランド登録を行う際の3つの注意点

Amazonブランド登録を行う際の注意点は以下の3つです。
- 商標なしでは登録できない
- 商標登録の審査には時間がかかる
- 「ブランドロゴ」と「商品画像」を準備する必要がある
順に解説します。
1.商標なしでは登録できない
基本的に商標がなければAmazonブランド登録は行えません。日本国内でブランド登録を行う場合は、特許庁に出願し審査を経て発行される「登録商標番号」が必要です。
商標がない場合はまず特許庁への出願から始めましょう。
なお、商標登録が完了していなくても、特許庁への出願が完了し「出願番号」が発行されていれば、Amazonブランド登録の申請自体は可能です。
2.商標登録の審査には時間がかかる
ブランド登録には商標が不可欠ですが、商標登録の審査自体に時間がかかる点に注意が必要です。
特許庁の公表データによると、通常の商標出願の場合、審査結果の最初の通知までに半年から1年程度の期間を要することが一般的です。早期審査制度を利用した場合でも、申出から審査結果の通知まで平均して2ヶ月程度かかるとされています。
そのため、Amazonブランド登録の完了を目指す日から逆算し、いつまでに商標出願を済ませておくべきか、計画的にスケジュールを立てておきましょう。
商標早期審査については、特許庁が公開している記事「商標早期審査・早期審理の概要」をご確認ください。
3.「ブランドロゴ」と「商品画像」を準備する必要がある
商標登録に時間がかかる点に加えて、Amazonブランド登録の申請時には「ブランドロゴの画像データ」と「ブランド名またはロゴが恒久的に表示された商品やパッケージの画像」を提出しなければなりません。
これらの準備にも手間と時間がかかる場合があるため、あらかじめ認識しておくことが大切です。商標の手続きと並行して、画像素材の準備も計画的に進めておけば、申請段階であわてることなく、スムーズに手続きを進められるでしょう。
Amazonブランド登録の手順5ステップ

Amazonブランド登録をするための手順を5ステップで解説します。
- Amazon Brand Registryアカウントにアクセスする
- ブランド情報を入力する
- 出品用アカウント情報を入力する
- 製造及び販売に関する情報を入力する
- 申請を完了し審査結果を待つ
順に解説します。
1.Amazon Brand Registryアカウントにアクセスする
はじめに、Amazon Brand Registryのウェブサイトにアクセスし、アカウントにログインします。
既にAmazon出品用のアカウントを持っている場合は、そのアカウントの認証情報(メールアドレスとパスワード)を使用してログインしましょう。
2.ブランド情報を入力する
「ブランドを登録する」をクリック後、ブランドに関する情報を入力していきます。入力する項目は主に以下のとおりです。
- 登録するブランド名
- ブランドロゴのアップロード
- ブランドに関連付けられている商標登録機関
- 商標登録番号
入力する情報に誤りがあると、申請が却下されたり、手続きが遅れたりする原因となるため、商標登録証や出願書類を手元に用意し確認しながら進めましょう。
3.出品用アカウント情報を入力する
ブランドとAmazonの出品用アカウント(セラーセントラルアカウントなど)を連携させるための情報を入力します。Amazonがブランドと出品者の関係性を正確に把握し、適切な保護機能を提供するために必要な情報となります。
主な入力項目には以下のようなものがあります。
- 商品の出品を予定しているカテゴリー
- ブランドを代表するASIN(任意)
- ブランドのウェブサイト(任意)
- 他のEコマースサイト(任意)
- 商品情報・商品画像
- Amazonとの取引関係
入力する情報が多く正確なほど、Amazonによる自動プロテクション機能がブランドや商品に対して適用されやすいといわれています。任意項目も可能な範囲で詳細な情報を提供しましょう。
4.製造及び販売に関する情報を入力する
ブランド商品の製造や販売に関する情報を入力します。主な入力項目は以下のとおりです。
- 一般的な情報
- 販売に関する情報
- ライセンス保持者に関する情報
製造及び販売に関する情報は、ブランドの権利範囲や潜在的な侵害リスクをAmazonが評価する上で役立ちます。
5.申請を完了し審査結果を待つ
すべての必要情報を入力し、提出書類のアップロードが完了したら、申請内容を最終確認し「申請を送信する」ボタンをクリックします。
申請が正常に送信されると「ブランド登録の申請が正常に送信されました。」というメッセージが表示されます。
審査の過程でAmazonから追加情報の提出を求められたり、確認の連絡が入ったりする場合もあるため、登録したメールアドレスはこまめにチェックするようにしましょう。
ブランド登録が却下される5大パターンと回避法
Amazonブランド登録の申請は、必ずしも一度で承認されるとは限りません。特に以下の5つのパターンで却下される場合が多いため、事前に対策をしておきましょう。
- 商品画像・ロゴで申請が却下される
- ブランド名と商標名が一致していない
- エラーコード「5665」が出る
- JPO登録データと権利者情報が一致しない
- アカウントの健全性と書類の信頼性の問題
順に解説します。
1.商品画像・ロゴで申請が却下される
提出した商品画像やロゴ画像に不備がある場合、申請が却下されます。
主な却下理由は以下のとおりです。
- 商品または外箱(パッケージ)にブランド名やロゴが恒久的に印字・刻印されていない
- ロゴが小さすぎて読み取れない、または光の反射などで不鮮明
- 加工済みの画像(合成画像、CG、背景透過画像など)をアップロードした
提出する画像は、ブランド名またはロゴが商品本体またはそのパッケージに恒久的に貼付されている点を明確する必要があります。
スマートフォンやカメラを使い実際に商品を手に取って撮影した、鮮明で未加工の写真を使用しましょう。ブランド名やロゴがはっきりと写るように、適切な光量と角度での撮影がポイントです。
2.ブランド名と商標名が一致していない
申請時に提出する「ブランド名」と、特許庁に登録している「商標名」が完全に一致していない場合も、申請が却下されます。
ブランド名と商標名がずれてしまう原因として、以下のようなものが挙げられます。
- 商標が出願中で、まだAmazon側のデータベースに情報が正確に反映されていない
- 商標は漢字やひらがなで登録されているのに、申請ブランド名を英字で入力している
- 登録商標にない「®」や「™」マーク、あるいは「Co., Ltd.」のような法人格を示す語句を、申請ブランド名に付け足してしまっている
半角/全角の違い、大文字/小文字の違い、スペースの有無なども不一致の原因となり得るため、細心の注意を払いましょう。万が一、申請が承認された後にブランド名の誤りなどに気づいた場合は、放置せずに速やかにサポートへ問い合わせて修正を依頼することが重要です。
3.エラーコード「5665」が出る
Amazonで商品を新規に登録しようとした際に、エラーコード「5665」が表示される場合があります。5665は、Amazonのシステム上でまだ承認されていないブランド名を使用して商品を出品しようとした場合に発生するエラーです。
商品登録時にエラーが表示された場合、Amazonブランド登録の申請を進め承認を得る必要があります。
まれに、過去に出品実績のあるブランド名であっても、長期間そのブランド名での商品登録がなかった場合などに、再度このエラーが発生することもあるようです。その場合も、Amazonのサポートに連絡し、指示を仰ぎましょう。
4.JPO登録データと権利者情報が一致しない
Amazonブランド登録の審査過程では、申請者と商標の権利者情報(特許庁の登録情報)との照合が行われます。情報が一致しない、または確認できない場合も、申請が却下される原因となります。
主な原因としては、以下のようなケースが考えられます。
- 商標登録簿(JPOのデータベース)において、商標権者の連絡先(メールアドレスや電話番号)が非公開設定になっており、Amazonが所有者確認の連絡を取れない
- 商標の出願や管理を代理人(弁理士など)に依頼しており、JPOの登録情報が代理人宛になっているため、申請者本人との直接的な紐づけが確認しづらい
可能であれば、商標登録情報において、Amazonからの連絡を受け取れるメールアドレスを公開情報として登録しておきましょう。代理人を通じて商標を管理している場合は、ブランド登録申請時にその旨を補足情報として伝えたり、必要に応じて代理人からAmazonへの情報提供に協力してもらったりなどの対応が考えられます。
Amazonからの確認連絡(認証コードの送付など)がスムーズに受け取れるように準備しておくことが重要です。
5.アカウントの健全性と書類の信頼性の問題
Amazon出品用アカウントの健全性や、提出書類の信頼性に問題があると判断された場合もブランド登録申請が却下されます。
主な原因は以下のとおりです。
- 出品用アカウントにおいて、知的財産権の侵害やその他のポリシー違反に関する未解決の警告が残っている
- 提出した商標登録証明書や、権利者からの許諾状(LOA: Letter of Authorization)などが、スキャンした際に不鮮明であったり何らかの改変が疑われている
まず、セラーセントラルの「アカウント健全性」ページを確認し、すべての項目が良好であるか確認しましょう。未解決の問題がある場合は、ブランド登録申請前に必ず対応しておくことが大切です。
また、提出する書類は基本的にカラーで、文字や図が鮮明に読み取れる高解像度でのスキャンを行いましょう。書類のページ余白に書き込みがないか、不自然な透かしが入っていないかなども確認し、Amazon側が書類の真正性を疑う余地のない状態で提出することをおすすめします。
ブランド登録を最大限活用するためのポイント
Amazonブランド登録のメリットを最大限に活かし、売上向上につなげるために、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
- ブランド侵害を見逃さず迅速に対応する
- 登録ブランド限定ツールを活用する
順に解説します。
1.ブランド侵害を見逃さず迅速に対応する
ブランド保護機能を活かすためには、ブランドオーナー自身が積極的にAmazon内を監視し、侵害行為に対して迅速に対応する姿勢が大切です。
定期的に自社ブランド名や代表商品名で検索し、不審な出品がないかチェックします。侵害品を発見したらスクリーンショットや購入した侵害品の写真など、具体的な証拠とともにAmazonへ申告しましょう。
ブランド価値は日々の地道な対応によって守られます。侵害行為を放置してしまうと、売上機会の損失だけでなく、ユーザーからの信頼低下にもつながるため、徹底した対応が求められます。
2.登録ブランド限定ツールを活用する
Amazonブランド登録を行えば「ブランド登録を行う10のメリット」で紹介したような販売促進ツールや分析ツールが利用可能です。積極的に活用し、売上向上と業務効率化を図りましょう。特に活用したい機能・ツールは以下のとおりです。
ツール | 概要 |
スポンサーブランド広告・スポンサーディスプレイ広告 | ブランド認知度を高め、ターゲットユーザーへのリーチを拡大する |
ストアページ | ブランドの世界観を表現し、顧客エンゲージメントを高める |
A+コンテンツ | 商品の魅力を最大限に伝え、CVRを向上させる |
Amazon Vine 先取りプログラム | 良質なレビューを効率的に獲得し、ユーザーの購買意欲を後押しする |
すべての機能・ツールをいきなり活用する必要はありません。まずは自社のブランド戦略や商品の特性に合わせて活用するツールを選定してみてください。
ツール活用を始め、Amazonでの売上を向上させるための施策については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:Amazonで売れない理由は?売れない原因と対処法10選を徹底解説!
Amazonブランド登録は信頼と売上を守る第一歩
本記事ではAmazonブランド登録の概要から、メリット、具体的な申請手順、注意点、そして登録後に成果を出すための活用ポイントに至るまで、徹底的に解説しました。
Amazonブランド登録は、模倣品や不正な相乗り出品などから自社ブランドを守り、ユーザーからの信頼を得るための第一歩です。またブランド登録を行うことで、Amazonでの売上を拡大していくためのツールの活用も可能になります。
手続きにはある程度の時間と手間が必要となりますが、長期的な視点で見れば、大きなメリットです。もし手続きや登録後の運用などに関して疑問や不明点があれば、ジャグー株式会社にお尋ねください。
ジャグー株式会社では、ECモールの豊富な経験と実績をもつコンサルタントが専門的なサポートを行っています。
Amazonに限らず、さまざまなECサイトのコンサルティングから運用代行まで出品者様に合わせたサービスを提供しています。また、運営全体の売上改善や社内運用の仕組み化など、戦略から販売までを一気通貫した幅広いEC支援もご提供いたします。
Amazonブランド登録に関するよくある質問
Q.商標なしでもブランド登録はできる?
A. 基本的に商標なしでは登録できません。Amazonブランド登録には有効な商標が必須です。具体的には、登録を希望する国の政府商標局が発行した登録商標(または特定の条件下で出願中の商標)が必要となります。商標をお持ちでない場合は、まず特許庁への商標出願から進めましょう。
また、Amazonには、商標登録サポート「IP Acceleratorプログラム」という仕組みがあります。商標登録にリソースを割くのが難しい店舗様は、こちらを利用することをおすすめします。
Q.ブランド登録はいつからできる?
A. 商標登録が完了していなくても、特許庁への出願が完了し「出願番号(申請番号)」が発行されていれば、その時点からAmazonブランド登録の申請は可能です。
Q.ブランド登録に費用はかかる?
A. Amazonブランド登録プログラム自体の利用に費用はかかりません。ただし、ブランド登録の前提条件となる商標の出願・登録には、特許庁への印紙代や、弁理士に依頼する場合はその手数料など、別途費用が発生します。
Q.登録後のブランドは後から変更できる?
A. 原則として、一度Amazonブランド登録で承認されたブランド名やロゴを後から変更することはできません。申請時に提出するブランド名やロゴは、商標情報と完全に一致している必要があるため、将来的な変更も想定した上で、慎重に決定しましょう。
Q.登録できなかった場合は再申請できる?
A. ブランド登録の申請が不承認となった場合でも、不承認理由を特定し、問題を解決すれば再申請することが可能です。却下された場合はAmazonから理由が通知されるため、内容をよく確認し、必要な修正を行いましょう。