2025年楽天新春カンファレンス上期戦略を徹底解説!定期購入リニューアルやAI活用、物流強化でどう変わる?

2025年1月31日に開催された「楽天新春カンファレンス2025」の上期戦略共有会では、楽天市場の現状や今後の戦略に関する重要な情報が多数発表されました。

「EC業界の最新動向を把握したい」「楽天市場で売上を伸ばす方法を知りたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。

楽天市場の現状:2024年から2025年にかけての変化

まず、カンファレンスの冒頭では、2023年から2024年の第4四半期にかけて楽天市場の流通額が前年対比で約14.5%成長していることが報告されました。一時的にはSPU改変の影響などで苦戦していた時期もありましたが、年末以降は回復傾向がみられたという内容です。

新規や休眠ユーザーの復活も増えており、2025年に向けてはプラス成長の兆しがあることが示唆されました。

楽天全体ではやや低調な時期もあったものの、2024年の下半期には巻き返しが進んだ形です。店舗運営者としては、年末商戦や大型イベントを意識しつつ、2025年に向けた新施策に早めに対応していく必要があります。

上期戦略共有の4つの柱

上期戦略共有の4つの柱

今回のカンファレンスで発表された大きな戦略の柱は、以下の4点に集約されます。

  1. マーケティング改革とロイヤルユーザーの拡大
  2. 売り場改革
  3. 継続的な物流改革
  4. 店舗コミュニケーションの強化

ここからは、それぞれの戦略について詳しく解説していきます。

1. マーケティング改革とロイヤルユーザーの拡大

楽天モバイル×楽天カード×楽天市場の連携強化

これまで楽天は「楽天カード保有者×楽天市場」による購買促進を積極的に行ってきましたが、今後は楽天モバイルを掛け合わせたロイヤルユーザーの育成を一段と強化するとされています。

実際、楽天モバイル契約者の購入金額は非契約者よりも高い傾向があるようです。今後は楽天モバイルユーザー向けのターゲティング広告やセールが増える可能性が高まっており、店舗側としては新しい販促の機会になるでしょう。

大型イベントの回数拡大と参加率向上

お買い物マラソンのイベントは、2024年から回数・日数ともに増え、参加率が高まったと報告されています。

イベントの開催頻度が上がると、計画的な準備や分析の時間がどうしても短くなります。そのため、店舗運営では「ルーチン化できる施策」と「注力商品の個別施策」をうまく切り分け、短期集中で最大限の成果を狙う工夫が重要です。

アプリ利用促進とアフィリエイト強化

2022年から2024年にかけて、楽天市場アプリの月間アクティブユーザーは20%以上増加しました。アプリに最適化した商品ページやランディングページを作ることで、購買率アップが見込めます。

さらに、インフルエンサーとのコラボ企画や、今後はtiktokを活用したアフィリエイトも検討しているとのこと。SNSや外部メディアを巻き込んだ集客強化がより一層進む見通しです。

2. 売り場改革

定期購入のリニューアル

25年3月には、定期購入のUIが「通常購入ページ」と統合される予定です。これによって、ユーザーはひとつの画面上で通常購入か定期購入かを選択できるようになります。加えて固定費が廃止されるため、店舗側の出品管理が容易になる見込みです。

ただし、定期購入は「通常購入より5%以上の割引設定」が必須です。そのうえ楽天市場ではクーポンが使えないなどの条件もあるため、通常販売時との差別化や価格設計に慎重な見極めが必要になります。

ギフト機能の統一化とソーシャルギフト導入

これまで楽天市場でのギフト対応は店舗独自の設定に委ねられており、ユーザー側が分かりにくいという課題がありました。今後はギフト設定を画面上で統一できる仕様に変え、利用者がスムーズに注文できるようになる見通しです。

また、住所を知らない相手にもギフトを贈れる「ソーシャルギフト機能」を取り入れる予定があるとのこと。LINEギフトのような仕組みを楽天市場で実現することで、ギフト需要の拡大が期待されています。

AI活用による検索とレビュー要約の最適化

25年下旬を目標に、検索結果にAIを導入してパーソナライズ化を進めると発表されました。たとえば「ブラシ」というキーワードで検索した場合、靴磨きのブラシをよく買うユーザーには靴用ブラシが、ヘアケア商品を好むユーザーにはヘアブラシが優先表示されるようになります。

このように、ユーザーの購買履歴や行動データをもとに検索結果が変わるとなると、商品ページの訴求対象を明確にしなければ見込み客に届かない可能性が高まります。顧客ターゲットをしっかり設定し、適切なキーワード・画像・説明文を用意することが重要です。

レビュー欄についても、AIによるポジティブ・ネガティブ評価の要約表示が導入される見込みです。ユーザーが瞬時にレビュー内容を把握できるようになるため、レビュー対策もより一層大切になります。

RPP広告とTDAエクスパンションの拡大

検索連動型のRPP広告は、今後掲載面や日時、ユーザー属性などに応じてAIが自動的に予算配分やCPCを調整するリニューアルが予定されています。イベント時のブースト設定など、より柔軟な運用できるようになる可能性があります。。

また、TDAエクスパンションでは配信先がメタ(Facebook/Instagram)以外の主要メディアにも広がり、クリエイティブそのものをAIで自動生成する仕組みを導入する計画です。広告クリエイティブの手間を大幅に省きながら、多チャンネルで効率良くユーザーへアプローチできるようになると考えられます。

3. 継続的な物流改革

3. 継続的な物流改革

2024年7月に導入された「最強翌日配送」は、対応店舗が売上を伸ばす大きな要因になっていると報告されました。翌日到着が見込まれるという安心感はユーザーにとって魅力的であり、検索結果の上位表示にも影響する可能性があります。

検索アルゴリズムの一部には「迅速な配送」を好評化する要素が含まれているとされており、今後は夜間中の翌日配送などさらに充実した物流オプションが展開される見通しです。自社の在庫管理や出荷体制が整うようであれば、早期に導入を検討するのが賢明でしょう。

4. 店舗コミュニケーションの強化

楽天市場では「Walk Together」というスローガンを掲げ、店舗同士が情報交換できるコミュニティ施策を推進しています。自社運営のなかで行き詰まったとき、外部のノウハウや異なる視点がヒントになることは珍しくありません。

もちろん、なんとなくの付き合いで時間を浪費するのは得策ではありませんが、目的意識を持って他店舗との交流を図ることで、さまざまなアイデアが得られる機会が増えるでしょう。

まとめ|2025年に向けた店舗運営のポイント

2025年の上期戦略では、定期購入の大幅リニューアルやAIによる検索最適化、物流施策の拡充など、大枠の方向性こそ予想の範囲内だったものの、具体的な落としどころが見えてきた印象です。なかでも、以下の取り組みは早めに対応を検討するとよいでしょう。

  • 定期購入の価格設定:通常購入との差別化とクーポン利用の両立が鍵
  • AI検索への最適化:顧客ターゲットを明確化し、訴求内容をより絞り込む
  • 最強翌日配送の導入:物流面の強化でユーザー利便性をアップ
  • モバイルユーザー向け施策:楽天モバイル経由の購買強化に乗じる

新しい施策が本格稼働し始めると、店舗ごとに結果が大きく変わる可能性があります。

ぜひ今回の戦略発表を踏まえて、自社の楽天運営を見直してみてください。

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