
楽天市場の定期購入では、ユーザーが1度定期購入をすれば2回目以降は指定した頻度で自動的に商品が届くサービスです。
出店者にとっては売上の安定化や、利益の予測を立てやすいというメリットがあります。
また、2025年3月末に定期購入サービスがリニューアルされることをご存知でしょうか?
これまで定期購入があまり根付いてこなかった楽天市場ですが、今回のリニューアルで大きく改善され、今後の楽天市場での売上向上のポイントとなる可能性があります。
しかし、2025年3月に迫ったリニューアルに向けて、準備が進んでいない出店者も多いのではないでしょうか。
そもそも自社の商材が定期購入に向いているかどうかを、悩まれている方もいるかもしれません。
そこで本記事では楽天市場の定期購入について、概要や定期購入のメリット、定期購入を活用した売上の伸ばしかた、2025年3月のリニューアル概要について徹底解説します。
元楽天ECCだからこそ解説できる最新情報にも触れていますので、定期購入の利用を検討している方はぜひ最後まで読んでみてください。

監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
2015年に楽天入社後ECコンサルティング部に所属
作業やアドバイスではなく実行支援の重要性を感じ2020年にEC支援会社のジャグーを創業。
支援企業の中でSOY受賞経験は9店舗。
目次
楽天市場の定期購入とは?
楽天市場の定期購入は、同じ商品をユーザーの指定に応じて継続的に届ける販売方法です。
定期購入の利用には、販売店舗が特定の商品を定期購入対応に指定し、ユーザーがお届け間隔や開始日を申し込みます。申し込み後は指定の間隔で自動的に注文が確定し、商品が届けられる仕組みです。
たとえば、使用頻度が高く継続性のあるミネラルウォーターや洗剤などの消耗品は、定期購入に適した商品と言えます。
なお、2025年3月末に予定されている定期購入サービスのリニューアルで申し込みや利用料は不要となりますが、現行サービスでは定期購入品を販売する店舗は以下のオプション料金が発生します。
▼現行の「定期購入サービス(店舗負担)」の利用料 ※2025年2月時点
項目 | 金額・詳細 |
月額利用料 | 5,000円 |
システム利用料 | システム利用料 + 2.0% |
定期購入に向いている商材は?
既述したように使用頻度が高く継続使用される商品など、定期購入に向いている商材には以下の特徴があります。
- 定期的な購入を必要とする消耗品
- 内容物の詰替えが可能な商品
- 継続して使い続けることで効果を得られる商品
具体例として「楽天24(※)」の店舗で取り扱われる商品群が挙げられます。
たとえば以下のジャンルの商品です。
定期購入の販売に向いている商品ジャンル |
・飲料 ・食品 ・日用品 ・化粧品 ・ベビー用品 ・ペット用品 ・ヘルスケア商品 ・サプリメント |
なお、自社商材が定期購入に適しているか判断できない場合は、専門的なアドバイスを受けるのが有効です。
我々ジャグー株式会社では、楽天市場の豊富な運用経験や出店者様の支援を実施した実績から、適切なジャンルを選定するノウハウを持っています。無料相談も行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
※楽天24とは、日用品や化粧品や食品など生活に必要な商品がお得に購入できる楽天グループ株式会社直営の店舗のことです。

【重要】2025年3月に定期購入がリニューアルされる
楽天市場では、2025年1月30日に定期購入サービスの大幅なリニューアル概要とスケジュールを発表しました。
2025年3月に、定期購入のリニューアルが予定されており、今回のリニューアルでは、これまで楽天市場で定期購入が浸透しなかった課題を解決し、出店者やユーザーが定期購入の利用を促進する目的があります。
リニューアル後の定期購入サービスをうまく活用すれば楽天市場における売上の上積みを図ることができるでしょう。
また、リニューアルの背景や具体的なスケジュールについて、次から詳しく解説するため事前準備をスムーズに行うためにも、ぜひ最後までご覧ください。
リニューアルの背景
楽天市場の定期購入がリニューアルする背景には、長年解消されない要因が存在していました。
これまで定期購入が根付かなかった主な要因は以下の2つと言われています。
- ポイント設定を途中で変更できない
- 定期購入オプション料金がかかる
- 通常購入商品とページが分かれていた
- 楽天ポイントアップの対象外だった
なお、それぞれの要因について具体的な内容や出店者に与える影響は以下のとおりです。
課題 | 内容 | 影響 |
ポイント設定を途中で変更できない | ・初回購入時のポイント倍率が次回以降も引き継がれる(例:初回購入のポイントが10倍だと、2回目以降もポイントが10倍が適用される) | 店舗側の利益率が低下しやすい |
定期購入オプション料金がかかる | ・月額5,000円のオプション料金 | ・顧客獲得単価(CPA)が下がっても運営コストの負担が増える ・導入を躊躇させる要因となる |
通常購入商品とページが分かれていた | ・定期購入は通常購入とは別ページで販売 ・販売実績が通常購入と合算されない | ・検索順位が上がりにくい ・アクセスが増えない ・新規顧客が獲得しにくい |
楽天ポイントアップの対象外だった | ・楽天SPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象外 ・定期購入の方がお得にならないケースがあった | ・定期商品の購入率低下 ・リピート率の低迷 |
以上の要因が、楽天市場において多くの出店者が定期購入を導入しなかった理由とされています。
しかし、2025年3月末のリニューアルではこれらが改善される予定です。
また、定期購入画面のUIやUXの向上によって、ユーザーにとっても利便性が向上し、新たな購買パターンとして根付く可能性があります。
さらに出店者は、リニューアル後の定期購入制度を活用すれば売上の上積みが期待できるため、しっかりと確認して対応していきましょう。
リニューアルのスケジュール

定期購読のリニューアルは「2025年3月末の新システム実装」に向けて、以下のスケジュールで進んでいきます。
日付 | イベント |
2025年2月 | 既存の「定期購入商品」の設定変更が可能になる |
2025年3月末 | 新システムの実装完了 |
2025年3月末以降 | ・定期購入の購入申込開始・商品レビュー以降の申請開始 |
2025年6月末 | 移行完了予定 |
すべての移行プロセスは2025年6月末までに完了する予定です。
なお、移行申請に関する具体的なサポート情報は、2025年2月頃に楽天市場からサポートニュースとして配信される予定です。
また、ジャグー株式会社ではYouTubeチャンネルで楽天の定期購入のリニューアルに関する最新情報を配信していきます。
ぜひチャンネル登録をしていただき、最新情報を見逃さないようにしましょう。

定期購入リニューアルに関する詳細な内容については、以下の見出しでさらに掘り下げて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
楽天市場で定期購入を利用するメリット

2025年3月末のリニューアルを控えている楽天市場の定期購入ですが、ここで現行のサービスを含め、定期購入を利用するメリットを「店舗側」と「ユーザー側」で解説していきます。
主なメリットはそれぞれ以下のとおりです。
店舗側のメリット | ユーザー側のメリット |
1. 売上が安定する 2. 売上の予測がしやすくなる 3. 事前に在庫を用意しやすい 4. リピート率が高くなる傾向にある 5. 長期間顧客として接点を持てる | 1. 1度の購入手続きで済む 2. 買い忘れを防げる 3. 楽天ポイントが貯まりやすい |
次から「店舗側のメリット」と「ユーザー側のメリット」それぞれに分けて詳しく解説します。
店舗側の5つのメリット
楽天市場に出店する店舗が、定期購入の機能を利用するメリットは以下5つです。
順に解説します。
1.売上が安定する
定期購入は、申し込みしたユーザーが解約しない限り自動的に商品の注文が行われるため、通常購入よりも売上が安定するメリットがあります。
特に、消耗品やリピート率の高い商材であるほど、ユーザーの購入習慣に組み込まれやすく、安定した売上を確保できます。
さらに、楽天市場のユーザー数は国内トップクラスのため、定期購入をうまく活用できれば大きな売上も期待できるでしょう。
2.売上の予測がしやすくなる
定期購入ではユーザーが指定した間隔で継続的に商品が購入されるため、店舗は売上の予想が立てやすくなる点もメリットのひとつです。
一方で通常購入は、ユーザーの任意のタイミングで購入されるため、売上の予測が難しい傾向があります。
定期購入を利用して売上の予測が容易になれば、商品管理の効率化やマーケティング戦略にも役立ちます。
そのため、定期購入は店舗にとって短期的な利益だけでなく、長期的な経営戦略を支える重要な施策となるでしょう。
3.事前に在庫を用意しやすい
定期購入は在庫管理を効率化するメリットもあります。
たとえば、購入タイミングが一定になることで商品の出荷タイミングを予測しやすくなるため、在庫が不足する前に商品の仕入れが可能です。
また、必要最低限の在庫を確保することで余剰在庫の発生が抑えられ、保管スペースにかかるコストや物流費用の削減にもつながります。
そのため、定期購入は店舗全体の運営コストを抑えるだけでなく、利益率の向上にも貢献します。
4.リピート率が高くなる傾向にある
定期購入はリピート率を高める効果も期待できます。
リピート率とは、全体のユーザーの中で同じ商品を2回目以上購入したユーザーの割合を指します。
定期購入は商品を継続的に購入してもらうサービスのため、リピート率を効率的に増やすことが可能です。
楽天の調査から、通常購入と継続購入それぞれの継続率を同一商品で算出した結果、定期購入商品は、購入者の半数が5回以上継続していることがわかります。
一方で、通常購入の場合、購入者の半数が1回のみの購入に留まっていることから、定期購入の効果が大きいことがわかります。

また、定期購入は同じ商品を扱う競合にユーザーを奪われにくくなるメリットもあります。
特に楽天市場のように多くの店舗が同じ商品をさまざまな価格や付加価値をつけて提供しているECサイトにおいて、定期購入は有効な販売戦術のひとつと言えるでしょう。
5.長期間顧客として接点を持てる
定期購入は長期的にユーザーとの接点確保ができる点もメリットと言えます。
通常購入ではユーザーが商品を一度購入して取引が終了するケースが多い一方で、定期購入は複数回商品を購入する前提の仕組みです。そのため、店舗はユーザーと長期間にわたり接点を持つことができるようになります。
定期購入の利用により顧客ロイヤリティが促進され、ファン化やLTV(顧客生涯価値)の向上にもつながるでしょう。
ユーザー側の3つメリット
店舗にとってメリットの多い定期購入ですが、楽天市場を利用するユーザーにも以下3つのメリットがあります。
順に解説します。
1.1度の購入手続きで済む
楽天市場のユーザーが定期購入を利用すれば、1度申し込みをするだけで、2回目以降はユーザー情報の入力や決済情報の入力作業が不要など、手間が省けます。
また、1度の購入手続きで自動的に商品が手元に届くため、日々忙しい生活を送るユーザーにとっては買い物の負担が減らせる点もメリットです。
店舗にとっても定期購入は利便性を重視する現代のライフスタイルに適したサービスと言え、ユーザーニーズを満たす商品を販売できれば安定した利益につながるでしょう。
2.買い忘れを防げる
定期購入を利用すれば自動的に商品が届けられるため、買い忘れを防げる点もメリットと言えます。
たとえば、日用品や消耗品など特定の商品をリピート購入している場合に定期購入を利用すれば、買い忘れによる在庫不足を防げるため、安心感を得られます。
また、楽天市場の定期購入はライフスタイルに合わせてお届けサイクルを設定できるため、お届け日の短縮や延長、次回のみスキップなどで調整すれば、余計な買い物を防ぐことも可能です。
そのため、定期購入は買い忘れを防ぐだけでなく、ユーザー満足度を高め、自社商品の長期的な利用を促進する効果も期待できます。
3.楽天ポイントが貯まりやすい
定期購入の購入1回ごとに楽天ポイントが加算されるため、気付かないうちに楽天ポイントが貯まっていくのもメリットと言えるでしょう。
定期購入では注文確定から20日後にポイントが確定するため、購入手続きが省けるだけでなく楽天ポイントも自動的に貯まっていきます。
さらに、貯まった楽天ポイントは、次回以降の定期購入の支払いで使用したり、通常の楽天ショッピングに利用したりできる点もメリットです。
楽天市場の定期購入を活用する際の3つの注意点

楽天市場の定期購入は店舗とユーザー双方にとってメリットがある一方で、店舗側は活用する際に注意すべき点があります。
ここからは、店舗が定期購入機能を活用する際の以下3つの注意点を解説します。
順に解説します。
1.相性の良い商材と悪い商材がある
定期購入には、取り扱う商材によって相性の良し悪しがある点に注意が必要です。
定期購入に「適している商品」と「適していない商品」の一例は以下のとおりです。
定期購入に”適した商品”の一例 | 定期購入に”適していない商品”の一例 |
1. 日用品 2. 消耗品 3. 洗剤 4 ミネラルウォーター 5. 食品 | 1. 高額な商品 2. 嗜好品 3. SALE等で頻繁に価格が大幅に変動する商品 |
定期的に必要となる日用品や消耗品は買い忘れを防げるため、定期購入に適しています。
一方で、高額で必ずしも定期的に必要とされない商品は、定期購入に向いていないでしょう。
そのため、定期購入を導入する際は、自社商品がユーザーの継続的なニーズと合っているかを慎重に見極めることが重要です。
2.クレジットカード以外の決済種別とは相性が悪い
定期購入では自動決済が可能なクレジットカード以外との相性が悪いため、コンビニ決済などを利用するユーザーの獲得は難しい点には注意しましょう。
楽天市場の定期購入では以下複数の支払い方法に対応しています。
- クレジットカード決済
- 楽天バンク決済
- 代金引換
- コンビニ決済
この中で定期購入の利便性を最大限に活かすためには、クレジットカード決済が最も適しています。
なぜなら定期購入の利点は「自動的に商品が届くこと」であり、都度コンビニ決済や銀行振込を行う場合は手間がかかるため定期購入の利便性が損なわれてしまいます。
そのため、クレジットカードを持たないユーザーにとっては、定期購入の魅力が低下し、定期購入自体を選択しない可能性が高くなります。
3.価格コントロールに注意が必要
定期購入では価格設定の適切なコントロールにも注意が必要です。
たとえば、定期購入で販売している商品を、SALE時に定期購入より安い価格で通常商品として販売してしまうと、定期購入者のメリットがなくなり解約が増える可能性があります。
楽天市場では「楽天スーパーSAIE」や「楽天大感謝祭」など、販売価格を割り引くSALEやイベントが多いため、定期購入の価格を下回らない値段設定にすることが重要です。
定期購入を利用する前に知っておくべきポイント
注意点の次は、店舗が定期購入を利用する前に知っておくべきポイントを以下2つご紹介します。
これから定期購入の利用を検討している場合は、よく確認して自社店舗の販売戦略に合っているか確認しましょう。
また、2025年3月末に定期購入サービスのリニューアルが予定されていますので、2025年2月頃に楽天市場から配信されるサポートニュースも確認するようにしてください。
契約期間の縛りがない
楽天市場の定期購入は契約期間に縛りがなくユーザーの都合でいつでも解約できるため、同じユーザーからいつまでも安定した売り上げを確保できるとは限りません。
そのため、契約を長く継続してもらうための店舗側の工夫や努力が必要です。
たとえば、商品の品質を常に高めたり、メッセージカードやサンプル品を同梱するなど、ユーザーに「この店舗で定期購入を続けたい」と思ってもらえる付加価値を提供することが重要です。
そのため、定期購入者との定期的にコミュニケーションを行い、良好で長期的な関係を築くための店舗努力が必要な点は覚えておきましょう。
クーポンは対象外となる
楽天市場内で利用できる「RaCoupon(ラ・クーポン)」などは、定期購入には適用されない点(2025年2月時点)も把握しておく必要があります。
また、店舗独自のクーポンも含めて定期購入には適用できないため、定期購入と通常購入を並行して販売する場合は、クーポンの取り扱い方法を把握した上で、それぞれの特性に合わせた販売戦略を立てることが重要です。
なお、2024年11月28に楽天市場から発表された定期購入のリニューアル概要に、クーポンに関する言及はありませんが、2025年3月末のリニューアル実装後にこの取り扱いも変更になる可能性があるため、最新情報をお確かめください。
楽天市場の定期購入で売上を伸ばす8つのポイント

楽天市場で定期購入機能を利用する際の、メリットや注意点がわかったところで、実際に定期購入を利用して売上を伸ばすためのポイントも以下8つに分けてご紹介します。
- 定期購入の存在を多くの人に知ってもらう
- 初回購入のハードルを下げる
- 同梱物を用意する
- 商品余りを防ぐ
- 頒布会を利用する
- 顧客ロイヤリティを高める仕組みを構築する
- 定期解約の原因を明確にする
- 決済手段をクレジットカード決済に変更してもらう
順に紹介していきます。
なお、はじめからすべて取り入れるのではなく、自社の特性や販売戦略に合った項目から確認をして実施していくのがおすすめです。
1.定期購入の存在を多くの人に知ってもらう
定期購入で売上を伸ばすためには、自社店舗で定期購入を提供していることをアピールし、多くのユーザーに認知してもらうことが重要です。
たとえば、アピールする方法としては以下の方法が効果的です。
- SNS(InstagramやXなど)を活用したPR
- 店舗ページへのバナーの配置
- 通常商品へのメッセージカードなど同梱物によるPR
- メルマガによる定期購入品販売のPR
なお、SNSの活用がおすすめなように楽天市場のユーザーだけでなく、自社商品に興味を持つすべての人に「定期購入を提供している」ことをアピールすることがポイントです。
できるだけ多くの方法を試して、積極的に認知を広げましょう。
2.初回購入のハードルを下げる
定期購入は最初の購入手続きのハードルを下げることが重要です。
定期購入の存在を知って、実際に商品ページに訪れたとしても、初回の申し込みがなければ売上にはつながりません。
そのため、競争の多い楽天市場で定期購入に申し込みしてもらうためには、ユーザーニーズである「お得感」や「利便性」を訴求しましょう。
具体的には以下の方法でアピールするのがおすすめです。
お得感のアピール | 利便性のアピール |
1. 初回分を値下げする 2. 初回分にプレゼントを付ける | 1. 1回の購入で完了する 2. 買い忘れを防げる 3. 購入にかかる手間を削減できる 4. 契約内容の確認や変更が簡単 5. 楽天ポイントが効率よく貯まる 6. 定期購入の休止や解約がいつでも可能 |
これらの施策を組み合わせて心理的ハードルを下げることで、多くのユーザーに定期購入を申し込んでもらいやすくなるでしょう。
ただし、注意点として、初回購入価格と2回目以降の購入価格の差額が大きくなればなるほど、F2転換率(初回購入者数が2回目の購入に転換した割合を示す指標)が低くなる傾向があるため、極度な値下げは控えましょう。
3.同梱物を用意する
継続率を高めるために、チラシやパンフレットなどの同梱品を用意するのも効果的です。
同梱物とは、商品とセットで届ける広告物や印刷物のことで、開封率がほぼ100%のため、積極的に利用しましょう。
活用例として、以下の同梱物がおすすめです。
同梱物 | 目的 |
利用者の声を記載したチラシ | 継続率の改善のため |
使用方法の説明書 | 「効果が感じなかった」を防ぐため |
サンプル商品 | クロスセルを図るため(例:化粧水の定期商品に美容液のサンプルを同梱 |
同梱物は商品の到着時にユーザーに驚きや満足感を与え、定期購入の継続や他商品への関心を引き出す施策として有効です。
4.商品余りを防ぐ
定期購入で多い解約理由のひとつが「商品が余った」という理由と言われています。
定期購入のメリットは一定間隔で自動的に商品が届くことですが、ユーザーが定期購入品を使い切る前に、次回分が届いてしまうと商品の余剰が発生してしまいます。
そのため、商品余りを防止して定期購入の解約率を下げるには、使用方法を解説した同梱物がおすすめです。
解説書には商品の具体的な使用量や頻度を分かりやすく伝えるとともに、次回のお届けをスキップできることや、お届け頻度の変更が可能であることを明記しておきましょう。
手間がかかる取り組みですが、このような付加価値を提供すれば解約率の低下やユーザー満足度を向上させ、売上アップにも貢献できるでしょう。
5.頒布会を利用する
頒布会モデルを導入しユーザーに飽きられない工夫をすることも売上を伸ばすポイントのひとつです。
なお、頒布会とは毎回異なる商品を定期的にお届けする仕組みです。

定期購入の解約理由のひとつに「毎月同じ商品が届くことによるマンネリ化」が挙げられます。
この課題の解消法として、特に食品を扱う店舗の場合は、毎月異なる商品が届く「頒布会モデル」の導入がおすすめです。
たとえば、季節ごとのおすすめ商品や、限定商品を定期的にお届けすることで、ユーザーに「次回は何が届くのか」というワクワク感を提供できます。
さらに、頒布会は店舗が選んだ商品をお届けできるため、新商品を試してもらう機会にもなり、クロスセルの促進や他商品の定期購入につながる可能性があります。
頒布会モデルを導入し、ユーザーに飽きさせない仕組みを取り入れることで解約率を低下させつつ、売上の向上にもつなげられるでしょう。
6.顧客ロイヤリティを高める仕組みを構築する
定期購入品に愛着を持ってもらう仕組みを取り入れることも重要です。
一般的に定期購入の平均継続回数は3回までと言われており、4回目以降は解約率がぐんと下がると言われています。そのため、特に3回目までの解約率を下げるために顧客ロイヤリティを高める施策を実施しましょう。
たとえば、以下のようにお届けする回数に応じて同梱物を切り替えるなどの施策が効果的です。
お届け回数 | 同梱物 | 目的・効果 |
初回 | ・商品の詳細説明・生産者の声・正しい使用方法 | ・ユーザーが商品を最大限に活用できるようサポート・初回から信頼を築く |
2回目 | ・実際の利用者の声(特に「3ヶ月目以降で効果を実感した」など) | ・継続利用の価値を伝える・ユーザーのモチベーションを維持 |
3回目 | 手書きのお礼の手紙 | ・店舗への信頼感や親しみを醸成・解約を思いとどまらせる可能性を高めるため |
こうした細やかな配慮を積み重ねることで、ユーザーの満足度が向上し、顧客ロイヤリティ化が促進されます。
定期購入は単なる販売手法ではなく、ユーザーとの長期的な関係を構築する機会と捉え、継続率向上を目指しましょう。
7.定期解約の原因を明確にする
定期購入の解約が発生した場合には、解約理由を可能な限り収集して対策を講じることが重要です。
解約理由を把握すれば、適切な改善策を実施できるため将来的な解約を防ぎやすくなります。
なお、解約理由が判明したら、解約要因を挽回するコンテンツを準備し、ユーザーの目に届くようにすることが効果的です。
解約理由に合わせた具体策の一例は以下のとおりです。
解約理由 | 対応策 |
商品が余っているから | 解約しなくても次回お届けをスキップできることを案内する |
効果を感じなかったから | たとえば「利用3ヶ月目以降で効果を感じる方が多い」ことを、実際のデータを用いて説明する |
価格が高い | 想定できる代替商品よりも安いことを伝える |
これらの施策を実施することで、ユーザーの不安や不満を解消し、解約を防ぐだけでなく再度定期購入を検討してもらえるきっかけを作れるでしょう。
8.決済手段をクレジットカード決済に変更してもらう
定期購入では、クレジットカード払いを利用するユーザーの方が継続率が高い傾向があります。
上記「2.クレジットカード以外の決済種別とは相性が悪い」で解説したとおり定期購入と相性が良いのは、その都度決済作業が不要なクレジットカードのため、他の決済方法だと解約率が高まる傾向にあります。
コンビニ払いなどの決済手段を利用しているユーザーに向けて、メルマガや同梱物などで、利便性やお得さをアピールしてクレジットカード払いへの切り替えを促しましょう。
定期購入リニューアルの概要
ここからは2025年3月末に予定されている定期購入サービスのリニューアルについて概要を解説します。
このリニューアルは、これまでの課題を解消し、店舗側とユーザー双方に対する利便性の向上を目的としています。
リニューアルをする背景やスケジュールについては、上記「【重要】2025年3月に定期購入がリニューアルされる」で紹介しましたが、ここでは「店舗向けの変更点」と「ユーザー向けの変更点」の概要を解説していきます。
それぞれの変更点は以下のとおりです。
店舗向け8つの変更点 | ユーザー向け4つの変更点 |
1. 通常商品・定期購入商品の統合 2. 定期購入価格の設定ルール 3. 利用申込・月額利用料の廃止 4. リニューアル後の注文確定の流れ 5. 「定期購入価格」改定の自動反映 6. お届け2回目以降の商品別・店舗別ポイント変倍の変更 7. 在庫連動のタイミングについて 8. ユーザーからの申込内容の変更・キャンセルの受付可否の設定機能の提供終了 | 1. 商品ページや楽天市場サーチでの価格表示 2. スマートフォン版「申し込み履歴」の表示改善 3. お届けサイクルの変更 4. 利用拡大のためのプロモーション開始 |
次から「店舗向け」「ユーザー向け」それぞれの変更点を解説します。
店舗向け8つの変更点
定期購入のリニューアルによる店舗向けの変更点は以下の8つです。
- 通常商品・定期購入商品の統合
- 定期購入価格の設定ルール
- 利用申込・月額利用料の廃止
- リニューアル後の注文確定の流れ
- 「定期購入価格」改定の自動反映
- お届け2回目以降の商品別ポイント変倍の変更
- 在庫連動のタイミングについて
- ユーザーからの申込内容の変更・キャンセルの受付可否の設定機能の提供終了
順に解説します。
1.通常商品・定期購入商品の統合

これまで楽天市場では、通常商品と定期購入商品をそれぞれ別の画面で登録・編集する必要がありました。
しかし2025年3月末のリニューアルにより、両者を統合し1つの画面で登録や編集が可能になります。
この変更により定期購入商品の登録時に発生していた制約が解消され、通常商品と同じ設定が可能になります。
以下は、従来と統合後の主な違いをまとめたものです。
項目 | 従来の定期購入商品 | 統合後の定期購入商品 |
商品登録画面 | 通常商品とは別画面 | 通常商品と同じ画面で管理可能 |
商品画像の登録枚数 | 最大3枚 | 最大20枚 |
販売価格の設定 | 商品単位 | SKU(※)単位 |
商品の販売形式 | 通常商品へ変更不可 | 通常商品のみの販売形式へ変更可能 |
たとえば、従来では商品画像の登録枚数が最大3枚でしたが、統合後は通常商品と同じく最大20枚の画像が登録できるため、商品の特長や魅力をより広くアピールできます。
2.定期購入価格の設定ルール
リニューアル後は、定期購入商品に新たな価格設定ルールが導入され、定期購入価格は通常購入価格よりも5%以上安く設定する必要があります。
この価格設定ルールは、ユーザーに「定期購入の方がお得である」という明確なメリットを伝え、定期購入の申し込みへの促進を目的としています。
なお、割引率は商品ページに表示されるため、ユーザーは通常価格と定期購入価格を簡単に比較できる仕組みになっています。
リニューアル後の定期購入の価格設定ルールに従い具体的な割引率を提示すれば、ユーザーは価格面で魅力を感じ、継続的な購入につながりやすくなるでしょう。
3.利用申込・月額利用料の廃止
リニューアル後は、店舗が定期購入サービスを利用する際の申し込み手続きや月額利用料が廃止されます。
従来、楽天市場で定期購入サービスを利用するには月額5,000円のオプション機能の申し込みが必要でしたが、申し込みや利用料はともに不要となります。
そのため、店舗運営者は定期購入商品を出品する際にコストを気にする必要がなくなるため、これまで利用料がハードルだった店舗にとっては導入を検討しやすくなるでしょう。
4.リニューアル後の注文確定の流れ
2025年3月末のリニューアルにより、楽天市場における定期購入の注文確定処理が変更されます。リニューアル後の注文確定の流れは、公式が提供する図解に基づいて次のように整理されます。

ユーザーが初回(1回目)の定期購入を申し込むと注文が確定され、注文確定日からお届け日までに10日間のお届け準備期間が設けられます。
なお、商品の受注処理は通常商品と同様で、初回のみユーザー側で注文のキャンセルはできない仕組みです。
また、お届け準備期間は全店一律で「10日間」となり、店舗側で利用できた早期注文確定機能が廃止されます。
2回目以降の定期購入は、注文確定日の3日前に最新の価格が反映された状態で、定期購入者へお届け予定のメール通知が届きます。
その後、定期購入のキャンセルやお届け間隔の変更がなければメール通知の3日後に注文が確定され、1回目と同様にお届け日まで10日間の準備期間が設定されるスケジュールです。
新しい注文確定のフローは、店舗にとって在庫管理や注文処理の効率化につながり、ユーザーにとっても利便性の向上が期待されています。
5.「定期購入価格」改定の自動反映
従来は定期購入価格を変更しても、既存の購入申込に対して価格改定が反映されない仕様となっていました。
しかし、2025年3月末のリニューアル後は、注文確定日の3日前に定期購入価格を改定した場合、改定後のお届け分には自動的に新しい価格が反映され、ユーザーへメール通知されます。
この変更により、店舗側は価格調整が容易になるだけでなく、最新の価格情報をユーザーに提供しやすくなります。
6.お届け2回目以降の商品別ポイント変倍の変更
これまでの定期購入では、初回に設定したポイント倍率が継続される仕様となっていましたが、リニューアル後は2回目以降のポイント倍率が1倍に変更されます。
たとえば、従来では初回の定期購入注文時に店舗側でポイントの倍率10倍に設定した場合、2回目以降も定期購入が終了するまでポイント倍率が10倍になっていました。
従来の仕様では、ユーザーにとってはメリットですが、店舗にとってはポイントの負担が利益を圧迫するため、定期購入が根付かない要因のひとつでした。
しかし、リニューアル後は2回目以降のポイント倍率が自動で1倍になるため、店舗のコスト軽減による定期購入を利用する店舗の増加が期待されます。
7.在庫連動のタイミングについて
従来の定期購入では、購入申し込み時に全お届け回数分の在庫が一括で引き落とされていましたが、リニューアル後は各回の注文確定時に1回分の在庫が引き落とされます。
従来の仕様では在庫数が過剰になるケースや、在庫不足のリスクを生む要因となっていました。
しかし、定期購入のリニューアル後は在庫管理が効率的になることが期待されます。
なお、在庫不足の対策として、 新たに在庫不足予測機能が追加されます。
毎週月曜日に今後4週間分の在庫が不足している場合は、楽天から店舗宛てにメールで通知されます。
その後、お届け準備期間10日間のうち、在庫不足による注文確定保留期間は5日間の猶予があるため、在庫不足のメールが届いたら早急に在庫を補充しましょう。
8.ユーザーからの申込内容の変更・キャンセルの受付可否の設定機能の提供終了
これまでの定期購入では、ユーザーによる申込内容の変更やキャンセルの受付可否が店舗の裁量に委ねられていました。
しかし、2025年3月末のリニューアル後は店舗側での受付可否設定機能の提供が終了し、全店舗でユーザーによる申込内容の変更・キャンセルの受付が可能となります。
この変更は、キャンセル方法が明確でないことによるユーザーの不安を軽減するためです。
また、消費者庁のガイドライン『通信販売の申し込み段階における表示についてのガイドライン』においても、オンライン申込における「変更・キャンセル」を明確することが推奨されているという背景があります。
ユーザー向け4つの変更点
定期購入のリニューアルによるユーザー向けの変更点は以下の4つです。
順に解説します。
1.商品ページや楽天市場サーチでの価格表示

2025年3月末のリニューアルでは、商品ページや楽天市場サーチにおける価格表示が改良され、通常購入価格と定期購入価格が同じ画面に表示されます。
たとえば、Amazonの商品ページでの表示形式に近い仕様となり、通常価格と定期購入価格が並列に記載され割引率が一目で伝わるデザインに変更されます。
商品ページでは定期購入価格の割引率が明示されるため、ユーザーにお得感をアピールして、定期購入を促進するメリットがあります。
2.スマートフォン版「申し込み履歴」の表示改善

従来では「定期購入の申し込み履歴」を確認するには、PC版のみでしたが、リニューアル後はスマートフォンでも確認できるように表示が改善します。
この改善により、ユーザーはスマートフォンから手軽に定期購入の履歴を確認したり、申し込み内容をチェックしたりできるため、利便性が大幅に向上します。
そのため、外出先や隙間時間に利用履歴を確認したいユーザーに利便性を感じてもらいやすくなり、楽天市場の定期購入の利用を促進する効果が期待されています。
3.お届けサイクルの変更

定期購入のリニューアルにあわせて、ユーザー自身がお届けサイクルを変更できる機能が導入されるため、ユーザーの利便性が大幅に向上します。
従来の定期購入では、お届けサイクルの変更は店舗側への問い合わせが必要でしたが、リニューアル後は、ユーザーが自分のライフスタイルや消費ペースに合わせて簡単に変更できるようになります。
そのため、店舗側ではお届けサイクルの変更に柔軟に対応し、解約率の低減や継続率の向上につながる工夫が必要です。
4.利用拡大のためのプロモーション開始
2025年3月末のリニューアルでは、これまで定期購入や頒布会での購入では対象外だったSPU(スーパーポイントアッププログラム)のポイント付与が対象となるプロモーションが開始されます。
さらに、同じ月に3店舗以上の定期購入を利用すると、ポイントが5倍になるキャンペーンも開始される予定です。
店舗にとってリニューアル後のプロモーションやキャンペーンを活用すれば、定期購入の利用者を増やすチャンスと言えるでしょう。
定期購入のリニューアルに向けて店舗が対応すべき3つのこと
楽天定期購入のリニューアルに向けて店舗が対応すべきことは主に以下の3つです。
新しいシステムに迅速に適応するために、解説する内容を参考に対応を実施してみてください。
1.既存の定期購入商品の設定変更

1つ目は「既存の定期購入商品の設定変更」です。
リニューアル後は新しい機能やルールが適用されるため、これまでの設定では不整合が生じる可能性があります。
そのため、条件設定の変更が必要です。具体的な条件や対応内容は以下のとおりです。
条件 | 内容 | 対応内容 |
販売オプション条件 | ・「定期購入商品(定期購入設定のみ)」を販売している ・「定期購入ボタン」のみ表示している ・「注文ボタン」「定期購入ボタン」の両方が非表示である | 注文ボタン定期購入ボタンの両方を表示し「定期購入商品(通常+定期購入設定あり)」に変更する |
定期購入価格条件 | 定期購入価格が通常購入価格より5%以上やすく設定されていない | 定期購入価格を通常購入価格より5%以上やすく設定する |
なお、この設定変更の対応は、2025年2月からリニューアル日の前日までに行う必要があります。
2.定期購入の申込や商品レビュー移行の申請

2つ目は「定期購入の申込や商品レビュー移行の申請」です。
この対応は同一商品に対し「通常商品」と「定期購入商品」で分けて販売している店舗は、必要に応じて定期購入の申し込みや商品レビューの移行申請が必要です。
なお、詳細は2025年1月時点で明らかになっておらず、2025年2月頃に楽天から配信されるサポートニュースを確認しながら作業を行ってください。
また、対応期限は2025年3月末のリニューアル実装後、2025年6月末までです。
3.新規必須項目の入力

3つ目は、新規で入力が可能となる「カタログIDの入力」です。
リニューアルにともない、商品登録・編集画面の統合が行われるため、これまで入力できなかったカタログIDの入力が可能となります。
カタログIDは、楽天市場での商品情報を正確に管理するために重要な項目であり、リニューアル後は必須項目として入力が求められます。
なお、リニューアル後にカタログIDの入力をしていない場合、新規登録や商品更新時にエラーが発生するため、2025年3月末のリニューアル実装後、速やかにカタログIDを設定しましょう。
定期購入を活用して売上の安定化を図ろう!
楽天市場の定期購入は店舗にとってもユーザーにとっても利用するメリットのあるサービスです。
ユーザーにとっては初回申し込みをするだけで希望した商品が自動的にお届けされるため、買い物の負担や買い忘れのリスクが軽減します。
また、店舗にとっては定期購入が解約されない限り継続した注文につながるため、売上の安定化が期待できます。
しかし、ユーザーに定期購入を利用してもらうには、相性の良い商品の選定の他、初回申し込みのハードルを下げたり、解約されないための工夫をしたりする必要があります。
さらに、楽天市場で2025年3月末に予定している定期購入サービスのリニューアルに向けてしっかりと準備することも重要です。
これから定期購入の利用を検討している店舗様や、定期購入をうまく活用できていない店舗様は、ぜひお気軽にジャグー株式会社にご相談ください。
ジャグー株式会社では、楽天市場の出店者様に対し、楽天市場出身者による専門的なサポートを行っています。
定期購入だけでなく店舗全体の売上改善や社内運用の仕組み化など、戦略から販売までを一気通貫したEC支援をご提供します。
2025年3月末にリニューアル予定の定期購入サービスの最新情報をご提供していきます。楽天運用に関するご相談があればお気軽にお問い合わせください。
