最終更新日:2026.7.29

RFM分析とは?基本手順・Excel実践・顧客セグメント別施策まで解説

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RFM分析とは?基本手順・Excel実践・顧客セグメント別施策まで解説

RFM分析とは、顧客を「最終購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「購買金額(Monetary)」の3つの指標でスコアリングし、セグメントごとに合った施策を打つための顧客分析手法です。

「RFM分析の意義やメリットがわからない」
「具体的な分析手順が知りたい」
「セグメント分けの後、どんな施策を打てばいいか判断できない」

この3つでつまずく店舗は少なくありません。アクセス数やCVR(転換率)、新規とリピートの人数までは見ていても、新規獲得の変化の要因やリピートの購買頻度、LTVまで追えている店舗は多くありません。

本記事では、RFM分析の基本、Excelでの実践手順、5つのセグメント別の施策例、デシル分析・CPM分析との使い分け、LTVとの関係までを順に解説します。

ジャグーが多くのEC事業者の顧客分析でLTV向上につなげた知見も交えています。ぜひ自社の受注データでのRFM分析に活用してください。

目次

RFM分析とは何か

3つの指標の意味、分析でわかること、向く業種、LTVとの関係までを順に整理します。要点は次の4つです。

順に解説します。

R・F・M各指標の意味と読み方

R・F・M各指標の意味と読み方

RFM分析は、その名のとおりR・F・Mという3つの指標で顧客を評価する手法です。それぞれの読み方と意味は下記のとおりです。

指標読み方意味スコアの考え方
RRecency(リーセンシー)最終購買日からの経過日数直近に買った顧客ほど高スコア
FFrequency(フリークエンシー)一定期間の購買回数回数が多い顧客ほど高スコア
MMonetary(マネタリー)一定期間の購買金額合計金額が大きい顧客ほど高スコア

3つの指標に絶対的な優先順位はありません。

どれを重く見るかは商材の性質で変わります。

たとえば消費ペースが一定のリピート商材では、最近買ったか(R)や買い続けているか(F)が利益に直結し、Mの比重を下げて設計することもあります。

自社の商材にとって、どの指標が「利益に結びつく行動」を表すのか。ここを最初に見極めておくと、後段のスコアリングがぶれません。

RFM分析で何がわかるのか

RFM分析を行うと、これまで感覚で語っていた顧客像を数値で定義できます。3指標の組み合わせから、たとえば次のような顧客が見分けられます。

  • 誰が「優良顧客」なのか(高R・高F・高M)
  • 誰が「離反しかけている」のか(低R・高F・高M)
  • 誰が「新規だが伸びしろの大きい層」なのか(高R・低F・中M)

数値でステータスを把握できれば、打ち手の優先順位も明確になるはずです。

EC運用の現場でも、受注データの匿名識別情報(マスクアドレス)を名寄せキーに使い、「特定商品を買った顧客のLTV」「次回購入のタイミング」「次に買う商品」「クーポンの効果測定」までを初めて可視化できた、という声があります。

店舗全体の新規・リピート数までしか見えていなかった状態から、商品単位・顧客単位で行動を追える状態へ。ここがRFM分析の入口です。

RFM分析が向いている業種・向いていない業種

RFM分析は、繰り返し購買が起こる業種でこそ力を発揮します。向き・不向きの目安は下記のとおりです。

向いている業種向いていない業種
EC・通販、小売、飲食、美容など、繰り返し購買が多い業種不動産・自動車・BtoBなど、購買頻度が極端に低い業種

判断の軸は「消費ペースが一定で、継続利用が前提の商材かどうか」です。

RFM分析はあくまでリピート商材向けの手法だと押さえておきましょう。

向いている商材例は、28日で1本を使い切る化粧水(SK-II)、冷凍牛肉、シャンプー、電動歯ブラシの替えブラシなどです。

いずれも「消費して、また買う」サイクルが読みやすい商材です。

逆に購入サイクルが長い商材ほど精度は下がります。購買頻度が低い業種なら、金額軸だけのデシル分析や、育成段階を追うCPM分析への切り替えも一案です。詳しい使い分けは後半で解説します。

LTV計算とRFM分析の関係

RFM分析の集計期間を決めるときは、LTV(顧客生涯価値)の回収という視点をもつと設計がぶれません。

LTVは本来「生涯」にわたる価値を指しますが、実務では新規獲得にかけた広告費や販管費などのコストを回収できる期間に区切って考えると、FとMをどの期間で集計するかが定まります。

新規顧客の獲得にはコストがかかっており、かけたコストを回収するには一定期間内にリピートしてもらうことが重要です。

集計期間を無限に延ばすのではなく、投資回収の目線で区切ることがRFM分析を施策に結びつける土台になります。

RFM分析のやり方・手順【Excelで実践】

ここからは、Excelを使ったRFM分析の手順を5ステップで解説します。

専用ツールがなくても、Excelの基本的な関数で一通りの分析は実行可能です。各ステップで使う関数名まで示すので、手を動かしながら読み進めてください。

  1. 分析に必要なデータを準備する
  2. R・F・M各指標を集計する
  3. スコアリングとランク付けを行う
  4. 顧客をセグメントに分類する
  5. セグメント別に施策を設計する

順に解説します。

1.分析に必要なデータを準備する

1.分析に必要なデータを準備する

最初のステップは、分析の土台となるデータの準備です。

RFM分析に最低限必要なのは、顧客ID・購買日・購買金額の3項目で、期間は1年分を目安にそろえることが基本です。

データがそろったら、分析前にクレンジングを行います。重複データの削除、テスト注文の除外、返品・キャンセル分の処理を済ませておくと、集計のずれを防げます。

分析期間は、商材の購買サイクルに応じて直近1〜2年で設定するのが一般的です。

楽天市場で運用している場合は、受注データに含まれる「マスクアドレス」を活用できます。

顧客IDごとに固定される匿名のメールアドレスで、購入履歴を名寄せする際のキーとして使えます。個人情報を直接扱わずに同一顧客をひもづけられるため、データ準備の段階で押さえておきたいポイントです。

2.R・F・M各指標を集計する

2.R・F・M各指標を集計する

データが整ったら、顧客ごとにR・F・Mの3指標を集計します。それぞれ次のExcel関数で算出できます。

指標使う関数集計の内容
RDATEDIF関数、またはTODAY()-MAX(購買日)最終購買日からの経過日数を計算する
FCOUNTIF関数顧客ごとの購買回数を数える
MSUMIF関数顧客ごとの購買金額を合計する

Rは、基準日から最終購買日を差し引いた経過日数です。

Fは同一顧客IDの出現回数をCOUNTIFで数え、Mは同一顧客IDの金額をSUMIFで合計します。顧客IDをキーにすれば、3つの関数で顧客ごとのR・F・M値が一覧になります。

上記の集計値が、次のスコアリングの入力値です。

関数の指定範囲がずれると全体に影響するため、顧客IDの並びと参照範囲は集計後に一度確認しておきましょう。

3.スコアリングとランク付けを行う

集計したR・F・Mの実数値は、そのままでは大小を比べにくいため1〜5点の5段階スコアに変換します。

閾値は、四分位数(QUARTILE関数)で分布を等分する方法が扱いやすく、IFS関数やIF関数の入れ子で各顧客へスコアを自動で割り当てられます。下表は閾値設定のイメージです。

スコアR(最終購買日からの経過日数)F(購買回数)M(購買金額合計)
530日未満多い大きい
360〜90日中程度中程度
1180日以上少ない小さい

注意したい部分は、閾値を業種・商品の購買周期に合わせた調整です。

教科書どおりの一律基準ではうまくいきません。商品の消化日数や、顧客が効果を感じるまでの利用期間に応じて、RやFの基準を変える調整が要ります。

スコアには「取得文脈」を重ねて見る視点も欠かせません。同じスコアでも、セール期間中に獲得した新規ユーザーとセール外の新規ユーザーとでは、その後のLTVが変わります。

取得経路の違いを解釈に加えれば、判断の精度が上がります。

4.顧客をセグメントに分類する

各顧客にR・F・Mのスコア(それぞれ1〜5点)が付いたら、合計点(3〜15点)やスコアの組み合わせで顧客をセグメントに分類します。代表的な分類例は下表のとおりです。

セグメントRFM
優良顧客
離反予備軍
新規顧客
一般顧客
休眠顧客

Excel上では、セグメントごとに条件付き書式で色分けしておくと、どの層にボリュームがあるのかを視覚的に把握できます。

自動セグメントの発想は楽天のメルマガ配信にも見られます。

楽天の自動配信は、ウェルカム(高R・低F)、購入(高R・高F)、カテゴリ閲覧、休眠読者(低R・低F)といった区分で送り分けられており、RFMセグメントに近い実例です。自社で分類する際の参考になります。

関連記事:楽天メルマガで成果を上げる運用ポイント10選!配信手順や成功事例も紹介

5.セグメント別に施策を設計する

分類が終わったら、各セグメントの顧客数と売上構成比を確認し、優先度の高い層から施策を立案します。

どのセグメントにどれだけの顧客がいて、売上のどれくらいを占めているのかが見えれば、限られたリソースの振り向け先も決めやすくなるはずです。

運用は一度きりではなく、月次を目安にRFM分析を回し、施策の効果を見ながら改善するサイクルにすることが望ましいです。データを見て終わりにせず、改善策を練って打ち手を実行に移すところまでやり切ることが成果を分けます。

【応用】生成AIでRFM分析の解釈と施策のアイデア出しをする方法

分類までできたら、生成AIを解釈と施策立案のパートナーとして使う方法もあります。

RFM分析の結果を貼り付け、業種や商材の前提とあわせて指示すると、セグメントごとの課題整理から施策案、メール件名までを一度に引き出せます。

下記はプロンプトの一例です。

以下は当社のRFM分析結果です。業種:[EC通販]、販売商品:[化粧品]、[データを貼り付け]
①各セグメントの現状と課題を分析してください。
②優先度が高い順に、セグメントごとに施策を3つずつ提案してください。
③各施策のメール件名を3案ずつ出してください。

AIの出力はたたき台として扱い、自社の商材知識と現場の判断で取捨選択します。アイデア出しの時間を短縮する用途として活用しましょう。

RFM分析の顧客セグメント別マーケティング施策【具体例】

ここからは、5つのセグメント別に打つ施策を解説します。

設計の出発点は、セグメントごとに「ゴール」を決めることです。全体像は下表のとおりです。

セグメント主な施策の方向性
優良顧客VIP限定の特別感(先行案内・限定クーポン)
離反予備軍段階的なWin-back(再来店の掘り起こし)
新規顧客オンボーディングで2回目購買を促す
一般顧客回遊促進とクロスセルで優良層へ引き上げる
休眠顧客再活性化アプローチと切り捨て判断

施策を打つ前に、各セグメントで「何を達成したいのか」を決めておきましょう。ゴールが曖昧だと、効果を測る基準も定まりません。

ゴールが決まれば、そこから逆算して施策の内容とKPIが決まります。

1.優良顧客(高R・高F・高M)

優良顧客は、直近も買っていて(高R)、購買回数も多く(高F)、金額も大きい(高M)層です。スコアの目安は、R・F・Mすべてが4以上、合計12点以上を抽出の目安にします。ゴールはLTVの最大化です。

優良顧客への施策は割引よりも「特別感」を優先し、収益性を保ちながら関係を深めることがポイントです。具体的な例として以下が挙げられます。

  • VIP限定セール
  • 新商品の先行案内
  • ポイント倍率UP
  • バースデークーポン など

ジャグーが支援したアパレルの事例では、リピーター比率が60%を超える店舗で、毎週水曜日に新商品を先行案内するメール施策を実施しました。

リピーターが多い店舗はブランドのファンが多く、「毎週水曜に新作が出る」というイメージが定着すると、ユーザーはその日を待つようになります。

値引きではなく「複数枚買うと使えるクーポン」で特別感を演出したところ、メールの開封率は40%台から60%近くまで改善しました。

新作の発売日を固定したことで発売初速が伸び、楽天市場のレディースファッションランキングでも上位を獲得。そこから新規顧客の獲得にもつながっています。

値引きで買う理由を作るのではなく、新商品の先行提供という体験を先に届けたことが効いた事例です。

2.離反予備軍(低R・高F・高M)

2.離反予備軍(低R・高F・高M)

離反予備軍は、かつてはよく買っていた(高F・高M)のに、最近の購買が途絶えている(低R)層を指します。

スコアの目安はR2以下・F4以上・M4以上で、最終購買から90〜180日ほど経過した顧客が該当します。優先度が高いセグメントで、ゴールは再購買を1回起こすことです。

有効なのは段階的なWin-backシナリオです。経過日数に応じて以下のようにアプローチを変えます。

経過日数アプローチ
90日後メール(件名例:「最近お会いできていなくて寂しいです」)
120日後リマインド
150日後高M顧客への電話やDM
180日後反応がなければ休眠へ移行

注意したいのは、施策そのものが離反を生むケースです。

同じ広告枠に同じ割引率・同じ商品を繰り返し出すと、セールのときしか買わない層(バーゲンハンター)ばかりが残ります。

リピーター全員へ一律にセール内容を送れば、飽きられる可能性もあります。誰に何を送るかの配信設計を見直すことが欠かせません。

3.新規顧客(高R・低F・低M)

新規顧客は、初めて買ったばかり(高R)で購買回数も金額も少ない(低F・低M)層です。

スコアの目安はR4以上・F1・M1〜2。ゴールは2回目の購買につなげることで、初回から30日以内に2回目を起こせるかが長期のLTVを左右します。

施策は購買後の日数に沿って以下のように組みます。

  • 3〜7日に使い方ガイド
  • 14日後に関連商品と2回目限定の10%OFFクーポン(サンキュークーポン)
  • 30日後にレビュー依頼
  • 45日後に期限リマインド

サンキュークーポンは「新規限定」と「2回目以降」で切り分け、取得期間1ヵ月で割引率のA/Bテストを行うと精度が上がります。ウェルカムキャンペーンは購入後3日目の自動配信が有効です。

消費ペースの管理もポイントです。美容商材では、推奨の消費ペース(たとえば30日)と実際の2回目購入の乖離を追い、乖離が大きい顧客は「正しく使えていない」リスクありと判定します。

乖離が大きい場合は使い方リマインドで利用を後押ししましょう。

関連記事:楽天サンキュークーポンでリピーター増!7つの活用ポイントを徹底解説

4.一般顧客(中R・中F・中M)

一般顧客は、R・F・Mがいずれも中程度の層を指します。

スコアの目安はR3・F2〜3・M2〜3で、全セグメントのなかでも顧客数が大きくなりやすい層です。ゴールは、この中間層の優良顧客への引き上げです。

施策としては、クロスセル提案、累計購入金額に応じた会員ランク設計、定期便やサブスクへの誘導、「あと〇円で送料無料」のようなゲーミフィケーションが有効です。

人数が多い層なので、少しの引き上げでも全体の売上への影響は大きくなり、回遊の設計も効きます。

ジャグーの検証では、商品ページに「関係のない店舗内ランキング」を置く場合と「類似商品一覧」を置く場合をA/Bテストしたところ、類似商品一覧の方が離脱を大きく抑えられました。

中間層に次の候補を自然に提示して回遊を促すことが、FとMの引き上げにつながります。

関連記事:【2026年最新版】楽天市場の定期購入で売上安定化!リニューアル後の対応方法を徹底解説

5.休眠顧客(低R・低F・低M)

休眠顧客は、R・F・Mのいずれも低く、長らく購買が途絶えている状態にあります。

スコアの目安はR1・F1・M1です。ゴールは再活性化ですが、同時に「どこまで追うか」の切り捨て判断もセットで考えます。

施策の具体例は以下のとおりです。

  • 「お久しぶりメール」に20〜30%OFFを添える
  • 補充品の案内を送る
  • 年2〜3回の大型セール時にアプローチする など

打ち手には2つの方向があり、1つはクーポンで購入理由を作ること、もう1つは新商品・新企画でラインナップへの飽きを解消することです。

休眠読者向けのキャンペーンは、配信施策のなかで開封率が高くなる傾向も確認されています。

一方で、全員を追い続けるのは得策ではありません。LTVが低い顧客は見切ったうえで投資対効果を改善していく、という割り切りも必要です。

見切る際の目安は、1年を超えて反応がなく低Mであることです。

実施前には「施策コスト÷期待購買率÷期待単価」でROIを試算し、採算が合う場合のみ実行します。

RFM分析の3つのメリット

RFM分析を導入すると顧客対応の精度とコスト効率の両面で効果が見込めます。ここでは代表的な3つのメリットを、順に解説します。

  1. 顧客価値を数値で可視化できる
  2. 優先度の高い顧客層を素早く特定できる
  3. 限られた予算で施策のROIを高められる

1.顧客価値を数値で可視化できる

1つ目は、顧客価値を数値で可視化できる点です。

感覚や経験則ではなく、購買データで顧客を客観的に評価できます。勘で「この人はVIP」と判断していた状態から、スコアで優良顧客を定義できる状態へ変わります。

数値になると、施策の良し悪しまで検証できます。たとえば50%オフクーポンは売上こそ立っても、その後の利益まで追えている店舗は多くありません。

「割引が利益に結びついたのか」まで見極められる点に、可視化の実務的な価値があります。

2.優先度の高い顧客層を素早く特定できる

2つ目は、優先度の高い顧客層を素早く特定できる点です。

RFM分析を行えば、リソースの限られた中小規模の事業者でも売上貢献度が高い層(優良顧客や離反予備軍)を見つけ、施策の優先順位を決められます。

全顧客へ均等にリソースを配る非効率から抜け出せる点が強みです。

たとえばトップページを訪れるユーザーはリピーターの比率が高く購入意欲も強いため、アクセス割合が低くても優先度を上げる判断がありえます。RFM分析で層を定義しておくと、打ち手の順位づけがぶれません。

3.限られた予算で施策のROIを高められる

3つ目は、限られた予算で施策のROIを高められる点です。

全顧客へ一律ではなくセグメント別に相手を絞れば、コスト効率が上がります。優良顧客にはロイヤルティプログラム、休眠顧客には再活性化クーポン、と用途別に予算を配分可能です。

よくある失敗例が、新規獲得への施策で既存客ばかりに反応されるケースです。

あるスーパーDEALでは購入者の大半がリピーターだった、という実例もあります。一方、配信対象を絞ると費用対効果は改善します。

コスメ系店舗では通常のRメール配信のROASが850%〜950%、セグメントを絞った自動配信は1020%まで向上しました。

届ける相手を絞るほど、同じ予算で成果が上がる数字です。

RFM分析のデメリットと限界

RFM分析は万能ではありません。導入前に、精度が下がる条件と、そもそも機能しにくいケースを理解しておくと、誤った運用を避けられます。ここでは4つの限界を解説します。

  1. 商材の消費ペースが異なると精度が下がる
  2. 購入頻度が低い業種では機能しにくい
  3. 定性情報を反映できない
  4. 顧客数が少ないと精度が下がる

1.商材の消費ペースが異なると精度が下がる

一般的なRFM分析は、全員に同じものさしを当てます。

「30日以内に買った人はスコア5、90日以上買っていない人はスコア1」のように、業種や商品を問わず一律の基準を使います。しかし実際には商品によって前提がバラバラです。

たとえば商品Aは1ヵ月で使い切り、商品Bは2ヵ月かかるとします。同じ「30日以内に2回目購入」という基準を当てると、商品Bの顧客は不当に低く評価されがちです。

効果を実感するまでの期間も商品ごとに違い、3ヵ月で満足する商品もあれば、1年続けないと効果が出ない商品もあるでしょう。一律の基準では、こうした差を正しく測れません。

だからこそ、商品の特性に合わせて、R(何日で「最近買った」とみなすか)やF(どのくらいの頻度を「優良」とみなすか)の基準値を変える必要があります。

一律・機械的にRFMを当てはめると失敗する、という点はデメリットとして押さえておきましょう。

2.購買頻度が低い業種では機能しにくい

RFM分析は、繰り返し購入する商品やサービスに適しており、購入頻度が低いものには効果が薄いという性質があります。

不動産・自動車・冠婚葬祭など、年1回以下の購買が中心となる業種では、Fスコアがほとんどの顧客で低くとどまり、差をつけられません。

この点は、向いている商材の裏返しでもあります。「消費して、また買う」というサイクルを持たない低頻度の業種では、Fが指標として働きにくくなります。

購買頻度が低い業種では、金額軸だけを見るデシル分析や、顧客の育成段階を追うCPM分析の活用を検討しましょう。

3.定性情報を反映できない

RFM分析が見るのは購入回数・金額・直近購入という数字だけで、なぜ買ったのかという動機までは読み取れません。

たとえばセール時にポイントを10倍にすると、「セールのときだけ買う」層が増えます。FもMも高くRFM上は「優良顧客」に見えますが、値引き価格でしか買わず利益率は上がりません。

対策として「セール時」と「通常価格時」で集計を分ける方法があります。流入経路によって動機が異なれば、同じF・MでもCVRやLTVに差が出るため、ひとつの判断基準になります。

4.顧客数が少ないと精度が下がる

顧客データの母数が小さいと、RFM分析の精度は下がります。

セグメントに分けた結果1つのグループあたりの人数が少なくなりすぎると、たまたまの偏りが傾向のように見えてしまい、判断を誤りやすくなるためです。

顧客数が数百件に満たないような規模では、無理にRFMで細かく分けるより、金額順に10等分するデシル分析や担当者による手動分類の方が実務的な場合もあります。

データ量が積み上がってから本格的なRFM分析へ移行する、という段階的な進め方も選択肢です。

RFM分析とデシル分析・CPM分析との違いと使い分け

RFM分析とデシル分析・CPM分析との違いと使い分け

RFM分析とあわせて検討されることが多いのが、デシル分析とCPM分析です。

3手法は目的も見る指標も異なります。それぞれの違いを解説します。

手法使う指標向いている用途
RFM分析最終購買日・購買頻度・購買金額の3軸セグメント別の施策設計まで踏み込みたい場合
デシル分析購買金額のみ(10等分)優良顧客をざっくり把握したい場合
CPM分析購入回数・金額に初回/最終購入日を加える顧客の育成段階・離反の動態を追いたい場合

デシル分析との違い

デシル分析は、すべての顧客を一定期間の購買金額順に並べ、10等分する手法です。

顧客が1,000人なら100人ずつ「デシル1〜10」に分けます。RFM分析との違いは軸の数です。デシルが購買金額(M)だけを見るのに対し、RFMは最終購買日・購買頻度・購買金額の3軸で多面的に評価します。

使い分けの目安としては、現在の売上貢献度を素早くつかみたいときはデシル分析が手軽です。

将来の行動予測や離脱防止まで踏み込むCRM施策を組みたいときはRFM分析が向きます。顧客数が少ない場合も、まずはデシルで大枠をつかむ進め方が扱いやすいでしょう。

CPM分析との違い

CPM分析は、購入回数・購入金額に加えて「初回購入からの経過日数」「最終購入日からの経過日数」などの時間軸の指標を組み合わせ、顧客を育成段階(新規・優良・離反など)に分類する手法です。

RFM分析が直近の購入に焦点を当てて即時的な顧客価値を判断するのに対し、CPM分析は初回購入からの経過時間を重視し、顧客ライフサイクル全体の動きを追跡します。

使い分けとしては、単発の施策で優先順位を付けたいときはRFM、離反の兆しを早く捉えて長期の顧客育成を追いたいときはCPMが向きます。

RFMで現状のスコアを見つつCPMで動態変化を追う、という併用も有効です。

RFM分析が成果につながった事例2選

「商材の特性に合わせてR・F・Mの重み付けを変える」という考え方は、実際の案件でどう活きるのでしょうか。ジャグーが担当した2つの事例を紹介します。

  1. 美容商材を販売する事業者の事例
  2. 食品(牛肉)を販売する事業者の事例

1.美容商材を販売する事業者の事例

たとえば「30日で1本を使い切る化粧水」を売っているとします。毎日きちんと使えば30日で手元からなくなり、そこで2回目を買うのが自然な流れです。

2回目が60日後、90日後とズレていれば、正しく使えていないか途中で離脱した可能性が高いといえます。こうした顧客が多いと、長期の売上(LTV)は伸びません。

ジャグーが担当した美容商材の案件では、指標の重み付けを商材に合わせて調整しました。Rは「30日経ったタイミングで2回目を買ってくれているか」を重視、Fは「1年間で平均何回買ってくれているか」を重視し、Mは今回それほど重視しませんでした。

理由は獲得コストの回収です。新規を1人獲得するには広告費などがかかり、回収には2回目・3回目のリピートが要ります。

1回だけ高額商品を買って離脱する顧客(Mは高いがFが低い)より、コンスタントに買い続ける顧客(Fが高い)の方が、この商材では利益に直結するという判断です。

2.食品(牛肉)を販売する事業者の事例

直近で担当したEC案件に、食品(牛肉などの原料)を販売する事業者様のケースがあります。牛肉を5キログラム〜10キログラムほどのブロックで販売していた事業者様です。

商材ならではの制約が冷凍庫のスペースです。まとまった量が届くため、次回購入いただくには、初回に買った分を消化しきってもらう必要があります。

そこで次回購入を早めるため、商品を使ったレシピのチラシを同梱し、SNSにも調理画像とレシピを投稿して、食材の消化ペースを引き上げました。

その上で消化が見込まれるタイミングを狙い、メルマガやSNSで購入者へアプローチしました。消費ペースをコントロールしてからRを設計するという進め方です。

RFM分析を施策に落とし込むために

RFM分析は、顧客を最終購買日・購買頻度・購買金額の3指標でスコアリングし、セグメント別に施策を打つ顧客分析手法です。

Excelでも、データ準備・集計・スコアリング・分類・施策設計の5ステップで実践できます。RFM分析を導入すれば、勘に頼った顧客評価を数値で可視化し、優先度の高い層を特定して予算の使い道を絞れるでしょう。

しかし成果を左右するのは分析そのものより、その後の打ち手です。

商材の消費ペースに合わせて重み付けを変えること、取得経路や流入文脈という定性面まで見て「優良顧客もどき」を見抜くこと、分析で満足せず改善策を実行しきること。

この3点が、RFM分析を売上と利益に結びつける分かれ目です。

ジャグーはこれまで多くのEC事業者の顧客分析と施策設計に伴走し、LTV向上につなげてきました。自社のデータでRFM分析を始めたいものの、指標の重み付けやセグメント別の施策設計に迷う場合は、ぜひ一度ご相談ください。

Jagooは、豊富な成功事例と失敗事例を踏まえて最短距離で進めるEC戦略・運用のプロフェッショナルです。
売上拡大・利益拡大はもちろん、継続し続けられる「仕組み化」に至るまで完全コミット。 楽天をはじめとする大手ECモール出身者が経営しているからこそ実現する、ただの作業代行ではない本気で勝ち抜くEC戦略をご提供致します。

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