ECサイト運営における利益の把握と改善方法

売上は確実に上がっているのに利益が残らない…。

こんな状況に陥っていませんか?
どれだけ頑張って売上を伸ばしても利益が確保できなければ経営は厳しくなる、ということはビジネスの常識です。

では、どうやって利益を残すのか?
方法はいくつかありますが、まずは自店舗の利益を把握することが第一歩となります。

本コラムではECサイト運用における利益の把握、改善方法について紹介していきます。
売っても売っても儲からない状態を防ぎ、計画的な店舗運営を行うきっかけなれば幸いです!

利益は「商品単位」で把握する

利益を把握するといっても、日次の利益、月次の利益、年間の利益、どの単位で利益を見ればよいのか。
ECサイト運営においての答えは「商品の利益」です。

商品の利益は、自店舗の利益を構成する最小単位となります。
商品単位で利益を把握することで、
「どの商品が自店舗の利益に貢献しているのか」
「どの商品が赤字の原因になっているのか」
を発見しやすく、全体的な黒字・赤字の課題となる部分が発見しやすくなります。

また、小さな単位で利益をみることで、日常的に計算がしやすく、スピード感を持って改善に繋げることが可能です。

「商品の利益」の見方

利益の種類は、売上から原価を引いた「粗利」、粗利から変動費を引いた「限界利益」、限界利益から固定費を引い「営業利益」などがあります。
(会計上では他にも種類がありますが、ここでは割愛します)

上記のうち、ECサイトで商品1個を販売したときの利益は「限界利益」で考えられます。
ここからはこの限界利益、限界利益率について解説していきます。

限界利益の計算方法

限界利益の計算方法は下記の通りです。

販売価格 – 原価 – 変動費 = 限界利益(商品1個を販売して得られる利益)


原価:商品を仕入れるためのコスト
変動費:商品を販売すればするほど掛かるコスト

3000円のシャツを1着販売する場合を例として考えてみましょう。

つまり、この3000円のシャツを1着販売することで得られる利益は650円となります。

このように限界利益を計算すると、その商品を販売することでどの程度利益が得られるか分かります。
逆に、限界利益がマイナスになっていれば、売れば売るほど赤字になってしまうことが分かります。

また、限界利益は広告やポイント還元、値引きなどの施策の原資となるため、「この商品に対して、どれ程販促費を掛けることができるか」が分かります。

限界利益率の計算方法

前述の限界利益を基に商品を分析する指標が「限界利益率」となります。
限界利益率の計算方法は下記の通りです。

限界利益(額) ÷ 販売価格 × 100 =限界利益率(%)

この限界利益率は、店舗全体の利益に対する当該商品の貢献度を計る指標で、数値が高ければ高いほど自店舗の利益に貢献している商品であるとが分かります。
商品ごとに限界利益率を計算することには、下記のメリットがあります。

  • どの商品がどのように利益に貢献しているか、全体像が把握できる。
  • 意図しない赤字に繋がっている商品があれば特定できる。
  • 想像以上に利益を出している商品があれば特定できる。

限界利益を上げる方法

ここまでは限界利益と限界利益率の意味と計算方法について紹介してきました。
では、どうやって限界利益を上げるのか?
方法は大きく3つのパターンあります。
この3パターンは、限界利益の計算式を基に考えることができます。

販売価格 – 原価 – 変動費 = 限界利益

  1. 販売価格を上げる (例:値上げ)
  2. 原価を下げる (例:仕入先の変更)
  3. 変動費を下げる (例:包装材の見直し)

上記のように、計算式に含まれる数値をコントロールすることできれば限界利益を上げることが可能です。

限界利益の活用方法

最後に、限界利益を実際の店舗運営で活用する方法について解説していきます。

1. 自店舗の商品の限界利益率を計算してみる

自店舗で販売している商品の限界利益と限界利益率を確認してみましょう。
まずは売れ筋商品から、限界利益と限界利益率を計算していきます。

限界利益 = 販売価格 – 原価 – 変動費
限界利益率 = 限界利益(額) ÷ 販売価格 × 100

2. 取るべきアクションを検討する

実際に商品の限界利益を計算したところで、その商品の利益がイメージより高いか、低いが分かったと思います。
そこから把握した限界利益と限界利益率を見て、必要があれば数値を上げるためのアクションを検討します。

  • 販売価格の変更
  • 販促の規模を調整する
  • 商品内容を見直す

限界利益率を見る際の留意点は下記の通りです。

  • 限界利益率が低いからダメというわけではない。

前述したように限界利益率が高ければ全体利益に対して貢献度が高いと言えますが、入口商品など限界利益率が低くても集客に貢献している商品もあると思います。
利益を上げる以外の役割がある商品であれば、無理に限界利益を上げる必要はありません。

  • 売上規模が小さい場合は、まず規模拡大を優先。

利益の土台となる売上の規模が小さい場合、そもそも得られる利益が少なくなります。
自店舗の年商3000万円以下(目安)であれば、まずは売上拡大を図り、EC事業を軌道にのせて継続することを考えましょう。

まとめ

自店舗の利益を把握し、運営に活用できるイメージはできましたか?

現状を把握するだけではなく継続してPDCAを回して売上だけでなく利益を上げましょう!
そして、上がった利益を集客や仕組み作りの投資に回すことで、継続的に店舗が成長できるサイクルを作っていきましょう!

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