
Amazonベストセラーとは、特定カテゴリー上で最も売れている人気商品に対して付与される称号のことです。対象の商品には、検索結果ページや商品ページ内にオレンジ色のラベルが表示されます。多くのユーザーが商品選びの参考にするため、ベストセラーに選ばれた商品は売上向上が期待できます。
しかし「そもそもベストセラーに選ばれる基準は?」「『Amazonおすすめ』とは何が違うの?」と悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Amazonベストセラーについて、選定基準や獲得が重要な理由、獲得するための具体策などを徹底解説します。『Amazonおすすめ』との違いも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
Amazonベストセラーを獲得することで、売上向上のための好循環を生み出すことも可能です。Amazonでの売上を向上させたいと考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
2015年に楽天入社後ECコンサルティング部に所属
作業やアドバイスではなく実行支援の重要性を感じ2020年にEC支援会社のジャグーを創業。
支援企業の中でSOY受賞経験は9店舗。
目次
Amazonベストセラーとは?

Amazonベストセラーとは、Amazon上の特定カテゴリーにおいて、最も売れている人気商品に対して付与される称号です。
検索結果ページや商品詳細ページに、目立つオレンジ色の「ベストセラー」ラベルが付くため、ユーザーからも視認されやすい特徴があります。
ベストセラーラベルは多くのユーザーが商品選びの参考にします。ラベルが付いているかどうかで商品ページのセッション数やCVR(購入率)が大きく変わるため、Amazonでの売上向上のための重要な要素といえます。
Amazonベストセラーに選ばれる基準
Amazonベストセラーに選ばれるための明確な基準は、公式に発表されていません。
しかし、基本的な条件として「対象カテゴリーの売れ筋ランキングでの1位獲得」が必要だと考えられています。Amazon内の各商品カテゴリーには販売実績に基づいたランキングが存在し、ランキングでトップを獲得できれば、ベストセラーラベルの獲得の可能性も高まるといえるでしょう。
ランキングが1時間ごとに更新される点から、直近の販売件数が多いほどカテゴリーランキングで1位獲得しやすいと推定できます。
Amazonベストセラーの表示のされ方
Amazonベストセラーのラベルは、ユーザーが商品を探したり比較したりするさまざまな場面で、オレンジ色の目立つマークとして表示されます。主な表示箇所は以下のとおりです。
検索結果ページ | 商品が一覧で表示されるページ | ![]() |
商品詳細ページ | 個別の商品情報を確認するページ | ![]() |
ランキングページ | 各カテゴリーの売れ筋ランキングが表示されるページ(#1として表示される) | ![]() |
ベストセラーラベルは上記の画面で目立つように表示されるため、ユーザーの目に留まりやすく、自然と注目を集めます。そのため、ラベルを獲得できればCTRの向上や商品詳細ページのセッション数増加、CV数の増加が期待できるのです。
Amazonベストセラーを獲得しやすいカテゴリー
一概に「このカテゴリーならベストセラーを獲得しやすい」と断言はできません。なぜなら、カテゴリーごとの市場規模、競合の数や強さ、トレンドなどが複雑に影響するからです。
しかし、一般的に以下のようなカテゴリーは、競争が比較的激しくなく、新規参入者や中小規模の事業者でもベストセラーを獲得しやすい傾向にあるといえます。
カテゴリー | 概要 |
ニッチなカテゴリー | 特定の趣味や専門分野に特化したカテゴリーは、競合相手が相対的に少なく、独自性の高い商品であれば目立たせやすい |
新しいトレンドや季節性の高いカテゴリー | 新しい需要が生まれたばかりのカテゴリーや、季節によって需要が急増するカテゴリーでは、新規参入でも短期間で売上を伸ばせる可能性がある |
ただしどのカテゴリーであっても、顧客ニーズに応える商品の魅力と、情報を的確にユーザーへ届け、販売につなげるための販売戦略が重要となります。
Amazonベストセラー獲得が重要な3つの理由
Amazonのベストセラーを獲得する重要性として、以下の3点が挙げられます。
- ユーザーからの信頼性が高まりCVRが向上する
- 検索結果ページで目立ちCTR向上を狙える
- 持続的な売上向上の好循環を創り出す
順に解説します。
1.ユーザーからの信頼性が高まりCVRが向上する
Amazonベストセラーのラベルは、商品が「多くの人に実際に選ばれている」「Amazon内でよく売れている」目印です。ラベルを目にすると、ユーザーはその商品に対する安心感や信頼感を持ちやすくなります。
たとえば、初めて購入するカテゴリーの商品を選ぶときや、複数の候補で迷っているときなど、ベストセラーラベルが購入の決め手になる場合も少なくありません。「多くの人が買っているなら大丈夫だろう」「人気があるなら試してみよう」という心理が働き、ユーザーは商品購入を判断しやすくなります。
ベストセラーラベルはユーザーの購入判断を後押しするため、ラベルを獲得できれば商品ページのCVR(購入率)向上が期待できるでしょう。
2.検索結果ページで目立ちCTR向上を狙える
Amazonの検索結果ページには、膨大な数の商品が表示されます。ベストセラーラベルは目立つオレンジ色で表示されるため、ユーザーの視線を自然に引きつけます。
ラベルが付いている商品は、数ある商品の中でも埋もれにくく、ユーザーの目に留まりやすいでしょう。結果として、検索結果から商品ページへのCTR(クリック率)の向上が見込めます。
まずは検索結果からクリックしてもらい、商品の詳細情報を見てもらうことが売上向上の第一歩です。ベストセラーラベルは、クリックされて詳細を見てもらう機会の増加につながります。
3.持続的な売上向上の好循環を創り出す
ベストセラーラベルの獲得は、一時的な売上アップだけでなく、持続的な売上向上サイクルの起点にもなり得るのです。
ラベル付与によってCTRやCVRが向上し販売数が増えると、Amazonの検索アルゴリズム(SEO)での評価が高まります。評価向上は検索結果での表示順位上昇につながり、商品はさらに多くのユーザーの目に触れる機会を得られます。
露出が増えればアクセス数と売上のさらなる増加が期待でき、売上向上の好循環を生み出すことにつながるでしょう。また、継続的に売上が増加すれば、ベストセラーの維持にも期待できます。
AmazonベストセラーとAmazonおすすめの違い
Amazonには「ベストセラー」ラベルの他に、黒色の「Amazonおすすめ」というラベルも存在します。どちらのラベルも商品の販促効果を高めるものですが、両者の違いを正しく理解しておくと、販売戦略を立てる際に役立ちます。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- Amazonおすすめとは
- ベストセラーとAmazonおすすめの更新頻度の違い
- Amazonおすすめに選ばれる基準
順に解説します。
Amazonおすすめとは

「Amazonおすすめ」ラベル(旧称「Amazon’s Choice」)は、特定の検索キーワードに対して、Amazonが「このキーワードで商品を探しているあなたには、この商品がおすすめです」と推奨する商品に付与されるラベルです。黒地に白抜き文字で表示されます。
Amazonおすすめは、あくまで特定の検索キーワードに紐づいているため「カテゴリー全体で最も売れている商品」を示すベストセラーとは異なります。
特定のキーワードに対して、高評価かつ迅速に出荷できる商品が選定されるため、カテゴリーNo.1を示すものではありません。
更新頻度の違い
AmazonベストセラーとAmazonおすすめでは、ラベルの更新頻度にも違いがあります。
ベストセラーランキングは1時間ごとに更新され、直近の販売実績がリアルタイムに近い形で反映されるため、ラベルの付与・解除も比較的頻繁に変動する可能性があります。
一方、Amazonおすすめラベルの更新頻度は、数日から数週間ごとと考えられており、ベストセラーに比べると変動は緩やかです。理由として、販売数だけでなくレビュー評価や価格、返品率など、さまざまな要素を長期的に評価して選定されているためと考えられます。
ベストセラーは「今の売れ筋」を、Amazonおすすめは「安定したおすすめ品」を示す傾向があるといえるでしょう。
Amazonおすすめに選ばれる基準
Amazonおすすめに選ばれるための基準は、ベストセラー同様に、Amazonから公式には公開されていません。しかしこれまでの流れから、以下の要素が総合的に評価されていると考えられます。
- すぐに発送できる商品であること
- ユーザーからの評価が高いこと
- 手頃(適正)な価格であること
- 検索キーワードとの関連性が高いこと
販売実績が最も重要視されるベストセラーに対し、Amazonおすすめは配送スピードや価格、レビュー評価など、さまざまな要素が総合的に評価される傾向にあるといえるでしょう。
Amazonベストセラー獲得のための14の具体策
Amazonでベストセラーを獲得するために取り組むべき具体的な施策を紹介します。
ベストセラーラベル獲得には「販売実績」、つまり「どれだけ多くの顧客に、どれだけ多く購入されたか」が重要です。そのため、あらゆる施策の目的は、最終的に「販売数を最大化させること」に集約されます。
販売数増加のためのアプローチは多岐にわたりますが、大きく以下の4つのステップに分けて、合計14個の具体策を紹介します。
集客力を高めアクセス数を向上する |
1. Amazon SEO対策を行う 2. Amazon広告を運用する 3. カテゴリー設定を最適化する |
商品ページを魅力的にしCVRを高める |
4. 商品タイトルを魅力的にする 5. 商品説明文を充実させる 6. 商品画像を最大限活用する 7. A+コンテンツを活用する 8. 適正価格を設定する 9. セールやクーポンを活用する |
高評価レビューを収集し信頼性を高める |
10. レビュー依頼を行う 11. Vine先取りプログラムを活用する 12. 低評価レビューに真摯に向き合う |
顧客満足度を高め購入者をリピーターに育成する |
13. FBAを活用する 14. 在庫管理を徹底する |
順に解説します。
集客力を高めアクセス数を向上する
ベストセラー獲得のためには、自社の商品ページに多くのユーザーを集めることが重要です。どんなに素晴らしい商品を用意しても、商品の存在を知ってもらえなければ、購入につながることはありません。
商品ページへのアクセス数を増やす集客施策は、売上向上の土台となる、必要不可欠な取り組みです。Amazon内でアクセス数を増やすための主要な3つの施策を紹介します。
集客力を高めアクセス数を向上する |
1. Amazon SEO対策を行う 2. Amazon広告を運用する 3. カテゴリー設定を最適化する |
1.AmazonSEO対策を行う
Amazon SEO(検索エンジン最適化)対策は、ユーザーがAmazon内で商品を検索した際に、自社の商品を検索結果のできるだけ上位に表示させるための施策です。
多くのユーザーは検索結果の1ページ目、特に上部にある商品をクリックする傾向にあり、上位表示はアクセス数増加に直結します。
AmazonのSEOで上位表示を狙うには、以下の5つの要素を高めることが重要です。
- 直近の販売実績
- 商品レビュー
- 購入率
- キーワード対策
- 商品の関連性
AmazonのSEO対策については下記の記事で徹底解説していますので、ぜひ併せて確認してみてください。
関連記事:【決定版】Amazon SEO対策ガイド!SEOアルゴリズムから上位表示対策・キーワード選定方法を完全解説
2.Amazon広告を運用する

Amazon広告は、意図的に商品の露出を増やし、ターゲットとなる顧客層に効率的にアプローチできる手段です。SEO対策による自然検索流入に加え、広告を上手く活用できれば、より短期間でアクセス数を増加させられます。Amazonには主に以下の4つの広告タイプがあります。
広告の種類 | 課金方法 | 掲載面 | おすすめの活用法 |
スポンサープロダクト広告 | クリック課金 | Amazon内 | ・手軽に商品の認知を獲得したい場合 ・Amazon出品初期で予算が限られている場合 |
スポンサーブランド広告 | クリック課金/インプレッション課金 | Amazon内 | ・ブランド認知向上を目指したい場合 ・動画などの目立つ広告を作成するクリエイティブスキルがある場合 |
スポンサーディスプレイ広告 | クリック課金/インプレッション課金 | Amazon内外 | ・Amazon内外に広告を配信し潜在層へアピールしたい場合 ・リターゲティング機能を活用し顕在層を刈り取りたい場合 |
Amazon DSP | 形式と掲載枠によって異なる | Amazon内外 | ・Amazonのビッグデータを活用した詳細なターゲティングを行いたい場合 ・Amazon2出品していない企業がAmazonユーザーへ商品をリーチしたい場合 |
Amazonの広告については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せて確認してみてください。
関連記事:Amazon広告の決定版!初心者でもわかる4つの配信手法やメリット・成功事例を徹底解説!
3.カテゴリー設定を最適化する
商品をAmazonに登録する際に選択するカテゴリーも、アクセス数に影響を与える重要な要素です。ユーザーはキーワード検索だけでなく、カテゴリーを辿って商品を探すことも多いため、自社の商品を最も適切で関連性の高いカテゴリーに登録しておきましょう。
Amazonのカテゴリーは、大きな分類(例:ホーム&キッチン)から、より細分化された小さな分類(例:ホーム&キッチン > キッチン用品 > 調理・製菓道具 > 包丁・ナイフ・はさみ > 三徳包丁)まで、細かく階層化されています。
商品を登録する際は、最も末端の具体的なカテゴリー(ブラウズノード)までの正確な設定が求められます。正確なカテゴリーを選択すれば、特定のカテゴリーに関心を持って商品を探している「購買意欲の高いユーザー」に商品を見つけてもらいやすいです。
どのカテゴリーに登録すべきか迷う場合は、自社の商品と類似している競合商品や、よく売れている商品がどのカテゴリーに登録されているかを確認してみましょう。また、セラーセントラル内にガイドもあるためぜひ確認してみてください。
商品ページを魅力的にしCVRを高める
多くのアクセスを集められても、商品の購入につながらなければ意味がありません。CVR(購入率)を高めるには、商品ページの魅力を高める必要があります。
商品ページでは、いかに商品の価値を伝え、購入への不安を取り除けるかが重要です。商品ページを魅力的にし、CVRを高めるための7つの具体策を解説します。
商品ページを魅力的にしCVRを高める |
4. 商品タイトルを魅力的にする 5. 商品説明文を充実させる 6. 商品画像を最大限活用する 7. A+コンテンツを活用する 8. 適正価格を設定する 9. セールやクーポンを活用する |
4.商品タイトルを魅力的にする
商品タイトルは、検索結果ページやカテゴリーページ、商品詳細ページの上部などに表示されます。ユーザーが最初に目にする部分であり、魅力的でわかりやすいタイトルをつけましょう。CTR向上だけでなく、商品ページ訪問後の購入意欲にも影響を与えます。
効果的なタイトルを作成するためのポイントは以下のとおりです。
検索キーワードを含める | ユーザーが検索に使用するであろうキーワードを自然に含める |
商品の特徴・メリットを簡潔に入れる | スペック情報だけでなく、商品を使うことでユーザーが得られる利点(ベネフィット)をわかりやすく伝える |
ブランド名や型番を含める | ユーザーが特定のブランド名や型番で探している場合に備え、必要に応じて含める |
わかりやすさと具体性のバランスを意識する | 専門用語を避け、誰にでも理解できる言葉で具体的に記述する |
Amazonでは、60〜80文字程度までが見やすいとされていますが、カテゴリーによって推奨される構成や文字数制限が異なります。基本的には「メーカー/ブランド名 + 一般名称/商品名 + 特徴(仕様/色・サイズ・タイプ)+ 型番/容量・重量」という構成を基にして、Amazonのガイドラインに則ったタイトルをつけましょう。
5.商品説明文を充実させる
商品タイトルとメイン画像で興味を持ったユーザーは、次に商品説明文を確認します。商品説明では、商品の詳細な情報やストーリー、使い方などを伝え、ユーザーが抱えるであろう疑問や購入前の不安の解消が重要です。
商品説明文を充実させるには以下のポイントを重視しましょう。
ターゲットユーザーを明確にする | 誰に読んでほしいのかを意識し、ターゲット層に響く言葉遣いや情報を盛り込む |
箇条書き(商品仕様)を活用する | 商品の主要なスペックや特徴を、箇条書き形式で簡潔にわかりやすく記載する |
詳細な説明を記載する | 商品のストーリーや開発背景、具体的な使用シーンの提案などを記載するユーザーの疑問を先回りして解決する |
読みやすさを意識する | 長文の場合は適度な改行や段落分けなどを使用し、視覚的に読みやすいように工夫する |
情報を網羅しつつも、わかりやすく魅力的に伝える点を意識すれば、ユーザーの購入意欲を高められます。
6.商品画像を最大限活用する
商品画像は商品の見た目や質感、サイズ感、使い方などを伝える上で重要です。メイン画像だけではなく、サブ画像まで最大限に活用すると、商品を実際に使用するイメージが伝わりやすくCVRの向上につながります。
商品画像を最大限活用するためのポイントは以下のとおりです。
メイン画像 | 検索結果ページや商品ページなどで最初に表示される最も重要な画像。 Amazonの規約(背景は白無地・商品のみを大きく表示など)を遵守しつつ、最も魅力的なアングルでわかりやすい画像にする |
サブ画像 | メイン画像だけでは伝えきれない情報を補完する画像。 さまざまな角度からのショット、実際に使用しているシーン、サイズ感がわかる画像などを複数枚(最大6枚)用意し、多角的に商品の魅力を伝える |
高画質・高解像度 | ユーザーが画像をズームして詳細を確認できるよう、十分な画質と解像度で画像を用意することがおすすめ |
商品動画(任意) | 可能であれば商品の使い方や動きがわかる短い動画を用意する。 静止画だけでは伝わらない情報を補完でき、商品の理解をさらに深められる |
画像の質と情報量が、ユーザーの購買意欲を大きく左右することを意識しましょう。
7.A+コンテンツを活用する
A+コンテンツ(商品説明コンテンツの拡張機能)は、Amazonブランド登録を行っている出品者が利用できる機能です。
通常の商品説明欄よりもリッチな表現で商品やブランドの魅力を伝えられます。テキストだけでなく、大きな画像や比較表などを配置し、視覚的な訴求力の高いコンテンツを作成可能です。
A+コンテンツを活用すると、Amazonでは表現がしづらいブランドイメージや、商品開発へのこだわりを伝えやすくなります。ブランドへの共感や信頼感の醸成につながるため、CVRの向上が期待できるでしょう。
ブランド登録が済んでいる場合は、積極的にA+コンテンツを活用することをおすすめします。
8.適正価格を設定する
商品の価格は、ユーザーの購入決定を左右する重要な要素です。価格が高すぎれば敬遠され、安すぎれば品質への不安や利益減少につながる可能性があります。市場での競争力と自社の収益性を両立できる「適正価格」の設定が重要です。
適正価格を見極めるには、競合商品の価格調査や仕入原価、販売手数料、各種コストなどを正確に計算しなければなりません。さらに、単に価格のみで勝負するのではなく、品質やブランドといった商品の付加価値を価格に反映できるかも検討しましょう。
一度価格を設定した後も、市場や競合の動向、季節性などに応じて価格を柔軟に見直す戦略的な視点を持つことも重要です。
9.セールやクーポンを活用する
一時的な価格引き下げや割引クーポンの活用は、ユーザーの購入を後押しし、短期間で販売数を伸ばす効果的な施策です。商品の注目度を高め、CVR向上効果も期待できます。
Amazonではさまざまな販促機能を利用可能です。たとえば、特選タイムセールや数量限定タイムセールなどのキャンペーンは、参加に条件があるものの、短期間で売上増加が期待できます。
また、出品者が任意で発行できるクーポンを活用すれば、検索結果や商品ページに割引情報が表示されるため、ユーザーにお得感が伝わりCTRやCVRの向上が見込めます。
プライムデーやブラックフライデーなどの大型イベントへも積極的に参加しましょう。イベント期間中はAmazon自体へのアクセス数が大幅に増加するため、自社の販促のタイミングを合わせることでCVRを高め、販売実績を上げられます。
高評価レビューを収集し信頼性を高める
実際に商品を購入したユーザーからの評価は、他のユーザーの購買決定に影響をします。特に高評価のレビューは、商品の信頼性を客観的に証明し、購入への安心感を与えるため、CVR向上に不可欠な要素です。
良いレビューの蓄積は販売数を向上させ、間接的にベストセラー獲得にも貢献します。効果的に高評価レビューを集め、ストア全体の信頼性を高めるための3つの施策を紹介します。
高評価レビューを収集し信頼性を高める |
10. レビュー依頼を行う 11. Vine先取りプログラムを活用する 12. 低評価レビューに真摯に向き合う |
10.レビュー依頼を行う
Amazonには、出品者が購入者へレビュー投稿を依頼できる公式機能「レビューリクエスト機能」があります。セラーセントラル(出品者管理画面)から簡単な操作で利用でき、商品購入から一定期間が経過したユーザーに対し、Amazon指定の定型文でレビューと出品者評価を依頼するメールが自動送信されます。
レビューリクエスト機能は、Amazonの規約違反のリスクなく安全にレビュー依頼できる点がメリットです。
一方で、個別に購入者へ連絡する場合はAmazonのガイドライン遵守に注意しましょう。たとえば「高評価(星5つ)をお願いします」のような特定の評価を依頼する行為や、レビュー投稿の見返りにプレゼントやクーポンを付与する行為は禁止されています。
規約違反が判明した場合、出品権限の一時停止や剥奪などの重いペナルティを課される場合があるため、規約に反する行為は避けましょう。
Amazonのレビュー依頼については下記の記事で詳しく解説しているので、こちらも併せて確認してみてください。
関連記事:【2025年最新】Amazonレビュー依頼完全ガイド!規約遵守で売上アップを実現するには?
11.Vine先取りプログラムを活用する
「Amazon Vine先取りプログラム」は、Amazonが信頼性を認定したレビュワーである「Vineメンバー」にレビューを投稿してもらう公式プログラムです。商品レビューが30件以下の状態でしか利用できないものの、公平性の高いレビューを素早く集められます。
Vine先取りプログラムの利用には以下の条件があります。
- 出品者が「大口出品」プランを利用していること
- Amazonブランド登録を完了していること
- 対象商品は原則としてFBAを利用していること(アダルト商品などは対象外)
- レビューをしてもらうための在庫を確保していること
- 商品ページに適切な画像と詳細な説明が掲載されていること
- レビューしてもらう商品は無償で提供すること
- 登録する親ASINごとに登録料が発生すること(2025年4月時点では税込22,000円)
特に新商品の発売直後や、レビュー数が少ない商品ページの信頼性を短期間で高めたい場合に有効な施策です。商品の無償提供コストとプログラム登録料を考慮し、費用対効果を見極めた上での活用をおすすめします。
12.低評価レビューに真摯に向き合う
どれだけ良い商品を提供し、丁寧な運営を心がけていても、時には低評価(ネガティブ)なレビューが付く場合があります。低評価レビューは売上に悪影響を与える可能性があるため、放置せず真摯に向き合い、以下のような対応を進めましょう。
コメントで誠意を示す | ・ガイドライン違反以外の低評価には、丁寧な言葉で誠意を示すコメントを返信する ・可能であれば改善策にも触れ、真摯な姿勢をユーザーに伝える |
原因分析と業務改善を進める | ・レビューから原因(品質、説明、梱包など)を分析し、具体的な再発防止策を実施する ・低評価は改善のヒントと捉え、社内で共有し商品改善や情報修正に活かす |
ガイドライン違反は削除依頼を行う | ・規約違反(個人情報、誹謗中傷、無関係な内容など)のレビューは、Amazonへ削除依頼が可能 ・不当なレビューは削除依頼を行い、早めに削除してもらう |
低評価への適切な対応は、長期的な顧客満足度と信頼獲得のために不可欠です。丁寧に対応を進めましょう。
顧客満足度を高め購入者をリピーターに育成する
Amazonでの継続的な売上向上やベストセラーの維持には、新規顧客獲得と並行して、既存顧客の満足度を高め、リピート購入や良い口コミにつなげることが欠かせません。満足度の高いユーザーは、安定した売上基盤となり、ブランド価値向上にも貢献します。
顧客満足度向上とリピーター育成につながる基本的な施策を2つ紹介します。
顧客満足度を高め購入者をリピーターに育成する |
13. FBAを活用する 14. 在庫管理を徹底する |
13.FBAを活用する
FBA(フルフィルメント by Amazon)は、Amazonが出品者に代わり、商品の在庫保管から注文処理、配送、一部カスタマーサービスまでを代行するサービスです。FBAの活用は、出品者の物流・CS業務の負担を軽減し、顧客満足度向上につながります。
FBAを活用するメリットは主に以下のとおりです。
- Primeマークが付与され、ユーザーの購入の後押しになる
- 高品質な配送とCSにより、ユーザーが安心して購入できる
- 出品者は物流やCS業務から解放され、売上を伸ばすためのコア業務に集中できる
AmazonのFBAについては下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせて確認してみてください。
関連記事:Amazon FBAとは?儲からないは嘘?概要やメリット・黒字運営のポイントを徹底解説
14.在庫管理を徹底する
ユーザーが「欲しい」と思ったときに購入できるように、常に適切な在庫量を維持しておきましょう。顧客満足の基本であり、販売機会を損失しないために重要です。
在庫切れは売上機会の損失だけでなく、ユーザーのがっかり感やストアへの不信感を招き、競合へ流れてしまうリスクも生みます。在庫管理を徹底するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 過去のデータや季節性、販促計画などを基に将来の販売数を予測する
- 予測に基づき、過不足のない「適正在庫」を保つ
- 定期的に棚卸しを行い、実在庫数を正確に把握する
- 在庫が一定数を下回ると通知されるシステムを導入する
- FBA利用時は、FBA倉庫への計画的な納品スケジュールを立てる
在庫管理は地道な取り組みですが、徹底することで安定した販売と顧客満足度の向上につながります。
Amazonベストセラーを獲得する際の3つの注意点
Amazonベストセラーの獲得は多くのメリットをもたらしますが、獲得を目指す上で注意しておくべき点もあります。主な注意点を3つ紹介します。
- カテゴリー1位を獲得してもラベルが付かない場合がある
- ランキングが入れ替わるとラベルが外れる
- 外的要因によってランキングが変わる場合もある
順に解説します。
1.カテゴリー1位を獲得してもラベルが付かない場合がある
カテゴリーの売れ筋ランキングで一時的に1位を獲得しても、必ずしもすぐにラベルが付与されるとは限りません。Amazonは選定アルゴリズムや詳細基準を公開していないため、注意が必要です。
瞬間的な1位だけでなく、一定期間の安定した販売実績や販売数量、レビュー評価など、複数の要素が考慮されている可能性があります。「1位なのにラベルが付かない」という状況も起こり得るため、1位獲得がラベル獲得の十分条件ではない点を理解しておきましょう。
2.ランキングが入れ替わるとラベルが外れる
一度獲得したベストセラーラベルも永続的ではありません。ベストセラーは現時点での人気指標であり、市場環境や競合の動向によってランキングが変動すれば、ラベルは外れてしまいます。
たとえば、競合の大型販促や自社商品の季節性終了などにより売上低迷が要因となり得ます。ベストセラーを維持するためには市場変化に対応し、継続的に販売努力を行う必要があるのです。
3.外的要因によってランキングが変わる場合もある
自社や競合の動きだけでなく、コントロールが難しい「外的要因」によってもランキングは変動します。外的要因の例は以下のとおりです。
- 季節性の変化
- 市場トレンドの変化
- メディア露出・SNSでの話題化(バズ)
ランキングが変動した際には、自社や競合の施策だけでなく、上記のような外的要因の影響も分析する視点を持つことが重要です。
Amazonベストセラーを獲得して売上拡大を目指そう
本記事では、Amazonベストセラーの重要性、獲得のための具体策、注意点などを解説しました。
ベストセラーラベルには、ユーザーからの信頼と注目を集め、CTR・CVR向上を通じて売上拡大の好循環を生み出す力があります。獲得のためには、SEOや商品ページ改善、レビュー施策など、売上向上のための施策を地道に継続していくことが重要です。
簡単な道のりではありませんが、本記事を参考に、自社の課題に合わせた施策を着実に実行すれば、ベストセラー獲得の可能性は十分にあります。
もし「何から手をつければ良いかわからない」「自社に合った戦略を知りたい」とお悩みの場合は、ぜひお気軽にジャグー株式会社へご相談ください。
Amazonベストセラーに関するよくある質問
Q.Amazonのベストセラーとは?
Amazonベストセラーとは、Amazon内の特定のカテゴリーにおいて、現時点で最も売れている商品に与えられる称号(ラベル)です。
オレンジ色の「ベストセラー」マークが検索結果や商品ページに表示され、多くのユーザーが商品を選ぶ際の信頼性の高い指標として参考にしています。
Q.ベストセラーの集計期間は?
Amazonはベストセラーランキングの正式な集計期間を公表していません。しかし、ランキングが1時間ごとに更新されることから、基本的には直近の非常に短い期間(数時間〜1日程度)の販売実績が強く影響していると考えられます。
ただし、累計の販売実績なども加味されている可能性もあります。
Q.ベストセラーを獲得しやすい商材は?
一概に「この商材なら獲得しやすい」とはいえません。重要なのは、その商品が属するカテゴリー内の競争環境と、商品の魅力、適切な販売戦略です。
ニッチなカテゴリーや新しいトレンドのカテゴリーは比較的狙いやすい傾向もありますが、どの商材であっても、ユーザーニーズに応え、効果的な施策を継続すれば獲得の可能性はあります。