FBAマルチチャネルは、Amazon FBAの物流網を利用し、自社ECや楽天市場やYahoo!ショッピングなど他のチャネルで販売した商品の出荷業務を自動化できるサービスです。
FBAマルチチャネルを活用すれば、ECの販路を拡大した際に発生する在庫管理や発送業務の負担を軽減できるでしょう。
しかし、
「導入したいが自社にとって最適なのか判断できない」
「FBAマルチチャネルのメリットやデメリットがわかりにくい」
といった悩みを抱えている担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、FBAマルチチャネルの概要からメリットや注意点、FBAマルチチャネルがおすすめのケースまで詳しく解説します。
さらに、実際の配送料金やFBAマルチチャネルを効果的に活用するポイントも紹介します。
この記事を読めば、FBAマルチチャネルを導入するか判断できるため、販路拡大による物流業務を最適化する際の参考にしてください。
監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
新卒で楽天グループ株式会社に入社し、ECコンサルタントとして
SOY(Shop of the Year)受賞店舗をはじめ多数の上位店舗を支援。
約2万人の社員の中から「楽天賞MVP」を受賞するなど、
高い実績と評価を獲得。
その後、大手企業のEC支援を行うコンサルティング会社を経て、
2020年にEC専門支援会社「ジャグー株式会社」を設立。
楽天市場やAmazonなど複数モールにおける売上拡大・運用最適化を総合的に支援している。
また、グループ会社にて自らもAmazonでの販売事業を展開。
自社ブランド製品はAmazonで「Amazonおすすめ」を多数獲得し、
販売開始から1年で月商1,000万円を突破するなど、売り手としても豊富な実績を持つ。
目次
FBAマルチチャネルとは?
FBAマルチチャネルとは、Amazon以外の販売チャネルで注文を受けた商品の保管や物流業務を、Amazonに依頼できるサービスです。
対象の販売チャネルは、自社ECサイト、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどが含まれます。
FBAマルチチャネルを活用すれば、Amazonの物流システムを利用して、物流業務を効率化できます。
FBAマルチチャネルについて以下の項目に分けてさらに詳しく解説します。
- そもそもFBA(フルフィルメント by Amazon)とは
- Amazon以外の物流を自動化するサービス
- FBAマルチチャネルと通常のFBAの違い
- 利用可能な主な販売チャネルの一覧
順に解説します
そもそもFBA(フルフィルメント by Amazon)とは
そもそもFBAとは「フルフィルメント by Amazon」の略称であり、Amazonで出品する商品をAmazonの倉庫(フルフィルメントセンター)に預けて、物流業務をAmazonに委託できるサービスです。
FBAでは商品の保管から注文処理、配送、返品に関するカスタマーサービスまでをAmazonに依頼できます。
なお、FBAについては以下の記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。
関連記事:Amazon FBAとは?儲からないは嘘?概要やメリット・黒字運営のポイントを徹底解説
Amazon以外の物流を自動化するサービス
FBAマルチチャネルは、上記FBAの物流代行業務の一部をAmazon以外の販売チャネルにも適用できるサービスです。
自社ECサイトや他のECモールで商品が購入されると、注文内容に基づいてAmazonの倉庫から購入者へ商品を直接発送します。
FBAマルチチャネルを利用すれば、店舗は物流業務を自動化して自社リソースを削減できるでしょう。
ただし、自動化されるのは購入後に発生する以下のフルフィルメント業務に限ります。
- 商品保管
- 梱包作業
- 出荷作業
- 返品処理
また、出品登録や在庫数の管理、決済処理などは、それぞれの販売チャネルで運営する必要がある点には留意しましょう。
FBAマルチチャネルと通常のFBAの違い
「FBA(フルフィルメント by Amazon)」と「FBAマルチチャネル」の違いは、サービスが対象とする販売チャネルです。
通常のFBAは、Amazon.co.jpで販売する注文のみを対象とします。一方、FBAマルチチャネルは、Amazon以外のECサイトや実店舗など、幅広い販路からの注文に対応しています。
それぞれの具体的な機能の比較は以下のとおりです。
| 機能 | FBAマルチチャネルサービス | Amazon.co.jpによる出荷 |
| お急ぎ便 | 可 | 可 |
| お届け日時指定 | 可 | 可 |
| Amazon.co.jpカスタマーサービス | 不可 | 可 |
| 在庫管理 | 可 | 可 |
| 注文管理 | 可 | 可 |
| 購入者からの返品対応 | 可(※1) | 可 |
| Amazonギフトサービス | 不可 | 可 |
| 出荷・発送依頼 | 出品者 | Amazon.co.jp |
| 無地ダンボール | 無地ダンボール | Amazon.co.jp仕様 |
| 納品書のカスタマイズ | 任意(※2) | Amazon.co.jp仕様 |
| FBA海外配送 | 不可 | 可 |
| Amazon販売手数料 | 不可 | 可 |
※1:購入者がAmazon以外で購入した商品を返品したい場合、出品者に連絡する必要があります。出品者は返品依頼(返送ラベルのリンク)を作成し、購入者に送信します。購入者はその発送ラベルを印刷して商品をAmazonフルフィルメントセンターに返送します。この返品受付はAmazonの返品受付センターを通じては依頼できません。
※2:一部の大型商品などは納品書が発行されず、定型コメントやメッセージも無効です。
以上のように、物流業務を代行する仕組みは同じですが、どの販売チャネルで売れた注文を処理するかが異なる点と言えます。
利用可能な主な販売チャネルの一覧
FBAマルチチャネルで利用できる主な販売チャネルは以下のとおりです。
- 楽天市場
- Yahoo!ショッピング
- Qoo10
- ShopifyなどのASPカートで構築した自社ECサイト
- オフラインの実店舗への補充
主要なECモールから自社サイト、さらにはオフラインの実店舗まで、幅広いチャネルで活用が可能です。
FBAマルチチャネルを導入する5つのメリット
ここからは、FBAマルチチャネルの導入で得られる以下5つのメリットを解説します。
- 複数ECサイトの在庫を一元管理できる
- 梱包・発送業務を効率化できる
- Amazon品質の配送で顧客満足度が向上する
- 無地ダンボールでの発送でブランドイメージを守れる
- 面倒な返品対応もAmazonに委託できる
順に解説します。
1.複数ECサイトの在庫を一元管理できる
FBAマルチチャネルを導入するメリットの1つ目は、複数のECサイトや実店舗の在庫を一元管理できることです。
FBAマルチチャネルは、在庫管理が複雑になりがちな、複数の販売チャネルで取り扱う商品をAmazon倉庫に集約して一元化できます。
商品の保管先を一元化できれば、在庫管理の手間を軽減して、在庫切れや過剰在庫に対処しやすくなるでしょう。
ただし、商品の保管先を一元化できる一方で、手作業で販売チャネルごとの在庫数を調整する必要があります。
在庫数の調整を効率化するには「ネクストエンジン」のような外部の一元管理システムツールの利用がおすすめです。
一元管理システムを利用すれば、在庫数の変動をリアルタイムで管理し、複数のECモールや倉庫と自動連携できるため、在庫管理の効率をさらに高めてくれるでしょう。
2.梱包・発送業務を効率化できる
FBAマルチチャネルを導入するメリットの2つ目は、注文後の梱包や発送業務を効率化できることです。
商品の受注後に行うピッキングや梱包作業、配送業者への引き渡しといった作業は、多くの時間と人的リソースを必要とします。
FBAマルチチャネルでは、これらの物流業務をAmazonに依頼できるため、リソースを大幅に削減できます。
また、削減したリソースは商品企画やマーケティング、カスタマーサービスの品質向上といった販売戦略に関わるコア業務に充てられるため、迅速な事業拡大を目指せるでしょう。
3.Amazon品質の配送で顧客満足度が向上する
FBAマルチチャネルを導入するメリットの3つ目は、Amazonの配送体制を活用できるため、顧客満足度の向上が期待できることです。
FBAマルチチャネルでは、Amazonユーザーに提供されている配送サービスを、他の販売チャネルでも活用できます。
たとえば、以下の設定を利用することが可能です。
- お急ぎ便
- お届け日時指定便
- 配送状況の追跡
- 置き配
信頼性が高く、柔軟な配送サービスは、顧客満足度の向上に寄与するため、リピート購入の促進も期待できるでしょう。
4.無地のダンボールで配送できるためブランドイメージを守れる
FBAマルチチャネルを導入するメリットの4つ目は、無地のダンボールで配送されるためブランドイメージを保てることです。
FBAマルチチャネルでは、Amazonのロゴが入っていない無地のダンボールで商品を配送するオプションを選択できます。
この仕様により、Amazon以外の販売チャネルで商品を購入したユーザーが「Amazonから商品が届いた」と混乱するのを防ぎます。
自社のブランドイメージを維持したまま、Amazonの物流サービスを利用できる点はメリットと言えるでしょう。
5.面倒な返品対応もAmazonに委託できる
FBAマルチチャネルを導入するメリットの5つ目は、ユーザーからの返品対応もAmazonに依頼できることです。
返品要求があった場合は、出品者の判断により購入者へAmazon倉庫への返送を依頼できます。
Amazonの倉庫へ返送された商品は、その後の検品や再販可否の判断までAmazonが代行し、再販可能であれば、FBAマルチチャネルが利用できる在庫に戻ります。
FBAマルチチャネルでは、返品処理まで効率化できるため、複数の販売チャネルを持つ店舗にとってはメリットと言えるでしょう。
FBAマルチチャネルの配送代行手数料
FBAマルチチャネルを利用すると、配送代行手数料が発生します。
配送代行手数料は、商品の寸法と重量から算出される「サイズ区分」と、以下の「配送区分」によって異なります。
| 配送区分 |
| ・通常配送 ・お急ぎ便 ・お届け日時指定便 |
以下は、国内の注文で配送される「通常配送」の配送代行手数料の料金表です。なお「お急ぎ便」「お届け日時指定便」の手数料は以下のセラーセントラルのヘルプページからご確認いただけます。
| 通常配送 | |||||
| 寸法(商品あたり) | 発送重量(商品あたり) | 配送代行手数料(注文1件あたり商品1点) | 配送代行手数料(注文1件あたり商品2点以上) | ||
| 小型 | 25cm x 18cm x 2.0cm以下 | 250g以下 | 550円 | 430円 | |
| 標準 | 1 | 35cm x 30cm x 3.3cm以下 | 1kg以下 | 570円 | 450円 |
| 2 | 20cm以下 | 2kg以下 | 612円 | 520円 | |
| 3 | 30cm以下 | 2kg以下 | 632円 | 520円 | |
| 4 | 40cm以下 | 2kg以下 | 652円 | 520円 | |
| 5 | 50cm以下 | 2kg以下 | 662円 | 520円 | |
| 6 | 60cm以下 | 2kg以下 | 678円 | 520円 | |
| 7 | 80cm以下 | 5kg以下 | 810円 | 590円 | |
| 8 | 100cm以下 | 9kg以下 | 992円 | 839円 | |
| 大型 | 1 | 60cm以下 | 2kg以下 | 912円 | 721円 |
| 2 | 80cm以下 | 5kg以下 | 922円 | 731円 | |
| 3 | 100cm以下 | 10 kg以下 | 1,102円 | 848円 | |
| 4 | 120cm以下 | 15kg以下 | 1,240円 | 1,018円 | |
| 5 | 140cm以下 | 20kg以下 | 1,283円 | 1,251円 | |
| 6 | 160cm以下 | 25kg以下 | 1,488円 | ||
| 7 | 180cm以下 | 30kg以下 | 2,066円 | ||
| 8 | 200cm以下 | 40kg以下 | 2,793円 | ||
| 特大型 | 1 | 200cm以下 | 50kg以下 | 4,571円 | |
| 2 | 220cm以下 | 4,879円 | |||
| 3 | 240cm以下 | 6,768円 | |||
| 4 | 260cm以下 | 8.181円 | |||
| 5 | 400cm以下 | 16,750円 | |||
なお、配送代行手数料は改定される可能性があるため、公式サイトから最新の情報を確認しましょう。
FBAマルチチャネルで配送依頼するための5つのステップ
FBAマルチチャネルを利用して配送依頼するための手順を以下5つのステップで解説します。
- ステップ1:Amazonで出品用アカウントを作成する
- ステップ2:FBAをセットアップする
- ステップ3:FBAマルチチャンネルに依頼する商品を選択する
- ステップ4:FBA在庫管理画面から「FBAマルチチャネルサービス依頼内容を新規作成」を開く
- ステップ5:お届け先情報などの必要項目を入力する
解説する流れに沿って進めれば、スムーズにサービスを導入できるでしょう。
順に解説します。
ステップ1:Amazonで出品用アカウントを作成する

画像出典元:Amazon
FBAマルチチャネルで配送を依頼するためのはじめのステップは、Amazonの出品用アカウントを作成することです。
FBAマルチチャネルサービスを利用するためには、Amazonの出品用アカウント(セラーアカウント)の登録が必要です。
セラーアカウントには「大口出品」と「小口出品」の2種類のプランがありますが、FBAマルチチャネルを利用するには、大口出品プランの登録が必須となります。
なお、Amazonで出品用アカウントを登録する方法については以下の記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。
関連記事:【2025年最新版】Amazon出店完全ガイド!出店の方法から成果を出す具体策まで解説
なお、すでに大口出品プランに登録済みかつ、FBAを利用中の出品者の方は、この次のステップを省略して「ステップ3」まで進んでください。
ステップ2:FBAをセットアップする
出品用アカウントを作成したら、セラーセントラルにログインし、FBAのセットアップを行います。
在庫商品をFBAで出荷できる設定に切り替えて、Amazonの物流サービスを利用できる状態にします。
また、FBAのセットアップを進めるためには以下7つの必要情報を揃えておきましょう。
- インターネット環境
- 電話番号
- メールアドレス
- クレジットカード
- 銀行口座
- 有効期限内の顔写真入りの身分証明書
- 直近180日以内に発行された各種取引明細書1部
FBAのセットアップが完了すると、商品をAmazonの倉庫へ納品できるようになります。
なお、FBAのセットアップ方法やAmazon倉庫への納品手順について詳しく解説している、以下の記事も併せてご覧ください。
ステップ3:FBAマルチチャンネルに依頼する商品を選択する
商品をAmazonのFBA倉庫に登録し、納品を完了させた後は、セラーセントラルの在庫管理画面に進みます。
管理画面から、FBAマルチチャネルで出荷したい商品を選択します。
なお、対象の商品が複数ある場合は「一括変更」も可能です。
ステップ4:FBA在庫管理画面から「FBAマルチチャネルサービス依頼内容を新規作成」を開く
セラーセントラルの上部メニューにある「在庫」タブから「FBA在庫」を選択して、画面上部に表示されるプルダウンメニューから「FBAマルチチャネルサービス依頼内容を新規作成」を選択します。
表示された「マルチチャネルサービスの出荷依頼を行う」の画面から、出荷依頼の詳細を入力する画面へ遷移します。
ステップ5:お届け先情報などの必要項目を入力する
出荷依頼の画面では、以下のお届け先情報を入力します。
- 購入者の氏名
- 住所
- 電話番号
また、任意の注文番号を設定したり、納品書に記載するコメントを追加したりすることも可能です。
ここまでの設定を完了し、内容に間違いがないかを確認して出荷依頼を確定させます。
以上の手順でFBAマルチチャネルを利用した出荷準備が開始されます。
FBAマルチチャネルの導入前に把握すべき6つの注意点
FBAマルチチャネルの導入を検討するためには、以下で解説する6つの注意点をあらかじめ把握しておきましょう。
- 配送料金が割高になるケースがある
- 配送業者をこちらで指定できない
- ギフトラッピングなど個別対応はできない
- セール時期などに発送が遅れる可能性がある
- フリマアプリなど一部販路では利用が禁止されている
- 代金引換サービスは利用できない(2024年9月廃止)
順に解説します。
1.配送料金が割高になるケースがある
FBAマルチチャネルの導入前に把握すべき注意点の1つ目は、依頼する商品によって配送料金が割高になるケースがあることです。
FBAマルチチャネルは、商品1点あたりの最安の配送代行手数料が550円(通常配送)です。
そのため、Tシャツやアクセサリーといった小型・軽量の商品の場合、配送料が割高になる可能性があります。
取り扱い商品のサイズと重量を考慮して、配送料が割高になるケースは、他の配送方法に置き換えるなどの対策を検討しましょう。
2.配送業者をこちらで指定できない
FBAマルチチャネルの導入前に把握すべき注意点の2つ目は、配送業者を指定できないことです。
FBAマルチチャネルで発送される商品の配送業者は、Amazonが手配するため、出品者や購入者が希望する配送業者を指定できません。
FBAマルチチャネルの配送は、Amazon独自の配送網である「Amazonデリバリーサービスパートナー」や、提携する大手配送業者(ヤマト運輸や日本郵便など)が担当します。
3.ギフトラッピングなど個別対応はできない
FBAマルチチャネルの導入前に把握すべき注意点の3つ目は、ギフトラッピングやメッセージカードの同梱などには対応していないことです。
FBAマルチチャネルは、購入者へのメッセージカードの同梱や、ギフトラッピング・のし紙といった、個別包装や同梱物の封入には対応していません。
また、クーポンやチラシの同梱にも対応していません。
特に、ギフト需要が高い商品を扱う場合は、別の配送方法を検討する必要があるでしょう。
4.セール時期などに発送が遅れる可能性がある
FBAマルチチャネルの導入前に把握すべき注意点の4つ目は、発送の遅延リスクがあり、セール時期などに迅速な配送ができない可能性があることです。
FBAマルチチャネルは、Amazonの配送網を利用するため、特に出荷量が多くなる大型セール期間中や、大型連休前などは発送が遅れるリスクが高まります。
発送タイミングの遅延を考慮した配送スケジュール管理や、ユーザーへの案内を行いましょう。
5.フリマアプリなど一部販路では利用が禁止されている

画像出典元:メルカリ|ヘルプセンター
FBAマルチチャネルの導入前に把握すべき注意点の5つ目は、フリマサイトなどの一部販路では利用すべきでないことです。
メルカリやラクマなどのフリマサイトでは、規約で「手元にない商品」の出品を禁止しています。
FBAマルチチャネルを利用したフリマアプリでの無在庫販売は、規約違反とみなされアカウント停止などのペナルティを受けるリスクがあるため、利用範囲には注意が必要です。
6.代金引換サービスは利用できない(2024年9月廃止)
FBAマルチチャネルの導入前に把握すべき注意点の6つ目は、2024年9月から代金引換サービスが利用できなくなったことです。
以前のFBAマルチチャネルサービスでは「代金引換サービス」を利用できましたが、2024年9月20日のAmazon公式の発表により代金引換サービスの提供が終了しました。
新規出荷依頼で代金引換を選択できないため、代金引換を希望する顧客には、他の決済方法で対応する必要があります。
※参考:amazon seller central|FBAマルチチャネルサービスの代金引換
FBAマルチチャネルの導入を検討すべきケース3選
ここまで解説した内容を踏まえて、FBAマルチチャネルの導入を検討すべき以下3つのケースを紹介します。
- 在庫管理を最適化したい場合
- 販売チャネルが増えて統合したい場合
- 売れ残りを見越して他のチャネルで併売したい場合
自社の状況がこれらのケースに当てはまるかを確認すれば、導入の判断がしやすくなるでしょう。
1.在庫管理を最適化したい場合
FBAマルチチャネルの導入を検討すべきケースの1つ目は、複数の販売チャネルの在庫管理を最適化したい場合です。
FBAマルチチャネルは、複数のECサイトや実店舗で商品を併売しているものの、在庫管理の複雑化が課題となっている場合に効果を発揮します。
複数箇所で管理している在庫をAmazonの倉庫に一元化すれば、売り残しによる機会損失や、過剰在庫によるキャッシュフローの悪化を軽減できるでしょう。
ただし、各販売チャネルのシステムに在庫情報を反映させる作業は残るため、外部ツールを併用して、在庫のシステム反映も自動化するのがおすすめです。
2.販売チャネルが増えたため物流業務を統合して効率化したい場合
FBAマルチチャネルの導入を検討すべきケースの2つ目は、販売チャネルの拡大により物流業務を統合して効率化を狙いたい場合です。
売上や利益拡大のために複数の販売チャネルに展開すると、商品管理や物流業務が分散して非効率になりがちです。
FBAマルチチャネルを導入すれば、商品の保管先を一元化できるだけでなく、物流業務をAmazonに依頼して効率化できます。
効率化した結果として、ブランド全体の物流業務の品質を均一化できるため、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
3.売れ残りを見越して他のチャネルで併売したい場合
FBAマルチチャネルの導入を検討すべきケースの3つ目は、売れ残りを見越して他の販売チャネルで計画的に併売したい場合です。
たとえば、主力商品を主にAmazonで販売していた場合、Amazonでの売れ行きが鈍化してもFBAマルチチャネルを活用すれば、他の販売チャネルでスムーズに併売を行えます。
在庫を物理的に移動させる手間とコストをかける必要がなくなるため、不良在庫化のリスクを低減できるでしょう。
FBAマルチチャネルを使った配送料金の一例
ここでは、FBAマルチチャネルを利用した際の配送代行手数料の一例を紹介します。
配送手数料は「小型」「標準」「大型」「特大型」の4つのサイズ区分に分かれているため、それぞれ実際の商品を例に表にしています。
| 小型サイズ | |
※画像出典元:Amazon | ・商品: USBフラッシュメモリ ・寸法: 12.9 × 7.6 × 0.9(cm) ※梱包サイズ ・商品重量: 0.008 kg |
| 通常配送 | 550円 |
| お届け日時指定便 | 619円 |
| お急ぎ便 | 595円 |
| 標準サイズ – 1 | |
※画像出典元:Amazon | ・商品: ワイヤレスマウス ・寸法: 9.9 × 6.0 × 3.9(cm) ・商品重量: 0.075 kg |
| 通常配送 | 570円 |
| お届け日時指定便 | 640円 |
| お急ぎ便 | 615円 |
| 大型サイズ – 3 | |
※画像出典元:Amazon | ・商品: キーボード ・寸法: 44.2 × 14.9 × 1.8(cm) ・商品重量: 0.498 kg |
| 通常配送 | 1,102円 |
| お届け日時指定便 | 1,204円 |
| お急ぎ便 | 1,158円 |
| 大型サイズ – 5 | |
※画像出典元:Amazon | ・商品: インクジェットプリンター ・寸法: 49.0 x 39.4 x 19.4(cm) ※梱包サイズ ・商品重量: 3.9 kg |
| 通常配送 | 1,283円 |
| お届け日時指定便 | 1,485円 |
| お急ぎ便 | 1,428円 |
配送料金を把握するためには、公式料金表を確認しながら、自社商品の寸法と重量を当てはめて計算してみてください。
FBAマルチチャネルを効果的に活用する3つのポイント
FBAマルチチャネルを効果的に活用するには、以下で紹介する3つのポイントを押さえて運用しましょう。
- 在庫配置と補充計画の最適化
- 一元管理システムの導入による自動化
- チャネル別の出荷優先度設定
FBAマルチチャネルサービス以外にも、外部ツールとの連携による自動化などを組み合わせることで、物流コストの削減と業務効率の最大化を図ることが可能です。
1.在庫の補充計画の最適化
FBAマルチチャネルを効果的に活用するポイントの1つ目は、適切な在庫数を計画的に確保することです。
在庫の総数が不足していたり、過剰に在庫を抱えたりする状況が続くとFBAマルチチャネルを導入する効果は薄くなってしまいます。
そのため、過去の販売データに基づいた需要予測で、FBA倉庫に適切な量の在庫を補充しましょう。
欠品による機会損失を防ぎつつ、長期間在庫の保管を回避する計画を立てることが重要と言えます。
2.一元管理システムの導入による自動化
FBAマルチチャネルを効果的に活用するポイントの2つ目は、一元管理システムを導入して出荷依頼や在庫数の反映まで自動化することです。
FBAマルチチャネルで効率化できる範囲は、注文後のピッキングや梱包作業、配送業務といった物流業務や返品対応に限られます。
FBA倉庫への商品登録や、販売チャネルごとの在庫数の反映は自社で行う必要があります。
そのため、以下の外部の一元管理システムを併用して、出荷指示や受注情報も含めて自動化する方法がおすすめです。
| 項目 | ネクストエンジン | シッピーノ | クロスモール |
|---|---|---|---|
| ツールの概要 | ・複数のネットショップの受注・在庫・商品をまとめて管理できる ・業界最大手のEC一元管理システム | ・ネットショップの出荷業務に特化した自動出荷システム ・FBAや楽天スーパーロジスティクスとの連携に強みを持つ | ・商品登録から在庫管理、受注管理まで、ECサイトのバックヤード業務を幅広くカバーする一元管理システム |
| 主な特徴 | ・連携できるECモールやカートの数が業界トップクラス ・アプリによる機能の拡張性が高い ・幅広い業務をカバーできる汎用性 | ・出荷業務の自動化に特化している ・シンプルな機能で導入 ・設定が比較的容易 ・FBAとの連携がスムーズ | ・アパレル商材に必須の色・サイズ管理(SKU管理)に強い ・セット商品の在庫連携機能が充実 ・発注や仕入れ管理機能も搭載 |
| FBA連携で解決できること | ・各ECモールで受けた注文情報を自動で取り込み、FBAへの出荷依頼を完全自動化する ・FBA在庫の変動を各モールの在庫数へリアルタイムで反映させ、売り越しを防止する | ・受注からFBAへの出荷指示、出荷完了後の購入者へのメール送信まで、出荷に関する一連のプロセスを完全に自動化できる ・手動での出荷依頼作業をゼロにすることを目指せる | ・FBA在庫と各ECモールの在庫数を自動連携し、管理を一元化できる ・受注管理から商品登録までを一括で行い、FBAへの出荷データ作成も効率化できる |
| 料金体系の目安 | 月額3,000円〜(受注件数に応じた従量課金制) | 月額9,800円〜(出荷件数に応じた従量課金制) | 月額10,000円〜(プラン別の固定料金 + 受注件数に応じた従量課金) |
| おすすめの店舗 | ・多数のECモールに出店している ・将来的に機能を追加・拡張したい ・バックヤード業務全体を効率化したい | ・出荷業務の自動化から始めたい ・FBAをメインの物流拠点としている ・シンプルな操作性を重視する | ・アパレルや雑貨などを扱っている ・セット販売や予約販売が多い ・仕入れや発注の管理も一元化したい |
| 公式サイト | NEXT ENGINE | Shippinno Inc. | CROSS MALL |
FBAマルチチャネルと外部ツールの併用により、出品業務から物流業務、在庫管理までのリソースを削減できれば、売上向上のためのコア業務に集中できるでしょう。
3.チャネル別の出荷優先度設定
FBAマルチチャネルを効果的に活用するポイントの3つ目は、販売チャネル別で出荷の優先度を設定することです。
FBAマルチチャネルでは、出荷依頼時に以下の配送区分を選択できます。
| 配送区分 |
| ・通常配送 ・お急ぎ便 ・お届け日時指定便 |
配送区分を販売チャネルごとに戦略的に設定しましょう。
たとえば、利益率の高い自社ECサイトからの注文は「お急ぎ便」を標準とし、顧客満足度を最大化します。
一方で、セール品が多いECモールは「通常配送」でコストを抑えるなど、チャネルの特性に合わせて優先度を設定してみましょう。
FBAマルチチャネルに関するよくある質問(Q&A)
ここでは、FBAマルチチャネルの導入に関してよくある以下3つの質問に回答していきます。
Q. 注文から何日で購入者に届きますか?
Q. 配送状況の追跡はできますか?
Q. 置き配の指定は可能ですか?
順に回答していきます。
Q. 注文から何日で購入者に届きますか?
配送スピードは、出荷依頼時に選択するプランによって異なり、Amazonでは以下のとおり配送スケジュールを公開しています。
- 1~2営業日(お急ぎ便)
- 3営業日(通常配送)
- お届け日時指定
参考:amazon seller central|マルチチャネルサービス: Amazon以外の販売経路で注文された商品の出荷|配送時間
Q. 配送状況の追跡はできますか?
配送状況の追跡は可能です。Amazonの倉庫から商品が出荷されると、利用された配送業者と追跡番号(トラッキングID)がセラーセントラルに通知されます。
この追跡番号を利用して、各配送業者のWebサイトからリアルタイムで配送状況の確認が可能です。
また、購入者へ追跡番号を通知すれば、安心して商品の到着を待ってもらえるでしょう。
Q. 置き配の指定は可能ですか?
置き配の指定も可能です。注文作成時に、配送オプションとして玄関前や宅配ボックス、ガスメーターボックスなど、配達場所を指定できます。
なお、配送オプションを設定しない場合は自動で「置き配-玄関先」が選択されます。
ただし、マンションのセキュリティ規則や配送先の住居環境によっては、置き配を利用できない場合もあるため、トラブルを避けるため、購入者へ配達場所を確認しましょう。
まとめ:FBAマルチチャネルを活用して物流業務を最適化しよう!
FBAマルチチャネルは、複数の販売チャネルを展開する店舗にとって、物流業務の効率化と顧客満足度の向上を両立できるAmazonが提供するサービスです。
自社の課題とサービスの特性を照らし合わせて、最適な物流体制を構築する手段として、導入を検討する価値はあると言えるでしょう。
しかし、
「手数料が複雑で費用対効果がわかりにく」
「自社に最適なサービスなのか判断できない」
とお困りの方は、ぜひお気軽にジャグーにご相談ください。
ジャグー株式会社では、ECモールの豊富な経験と実績をもつコンサルタントが専門的なサポートを行っています。
FBAサービスだけではなく、Amazon運営全体の売上改善や社内運用の仕組み化など、戦略から販売までを一気通貫したEC支援をご提供します。
EC運営全般に関するご相談は、ぜひジャグー株式会社へお気軽にお問い合わせください。
