
2025年2月14日に発表された楽天グループ株式会社の2024年通期決算では、5年ぶりの営業黒字化が大きな注目を集めました。
しかし、その一方で最終損益(純損失)は依然として1,600億円を超える赤字となっています。
本記事では、今回の楽天決算のポイントとともに、楽天市場をはじめとするEC領域の今後の展望、そして今後予定されている楽天市場の施策について解説します。
目次
楽天グループの2024年通期決算の2つのトピック
今回の通期決算には以下の2つのトピックがありました。
- 5年ぶりの営業利益黒字転換
- 楽天モバイルのEBITDAが単月黒字化を達成
順に解説します。
5年ぶりの営業利益黒字転換

2022年通期における楽天グループの営業損益は、529億円の黒字でした。
5年ぶりの営業黒字というニュースは大きく報道されましたが、その要因には投資先企業の会計処理方法変更による一時的な利益(約1,000億円)が含まれています。つまり、純粋な事業成長だけが要因ではない点は押さえておきたいところです。
また、最終損益(純損失)は1,624億円の赤字でした。赤字幅が縮小しているとはいえ、今後も楽天モバイルなどへの積極的な投資が続くことを考えると、利益面の安定化にはまだ時間がかかる可能性があります。
楽天モバイルのEBITDAが単月黒字化を達成

楽天モバイルは、広告収益やエコシステム連携を含めた形での収益拡大により、EBITDAベースで単月黒字を達成しました。
ただし、キャンペーン広告や他サービスとの連携で得られる収益が含まれているため、通信契約数やARPU(1契約あたりの収益)の向上だけで達成したわけではない点に注意です。
国内EC流通総額の現状と楽天市場の動向
楽天市場の動向について押さえておきたいポイントは以下の2点です。
- 楽天市場を含む国内ECセグメントの状況
- 広告収入の伸びが増収をけん引
順に解説します。
楽天市場を含む国内ECセグメントの状況

楽天グループのインターネットサービスセグメント(楽天市場、楽天トラベル、楽天ブックス、楽天GORAなど)は、売上収益1.3兆円(前年比+5.8%)と好調に推移しています。
一方で、国内ECの流通総額は6.0兆円(前年比-1.5%)となり、楽天創業以来初めて前年比マイナスの結果になりました。
SPU(スーパーポイントアッププログラム)の改定や、2023年7月の全国旅行支援の終了の影響を考慮した“実質プラス成長”という数値も発表されましたが、一部補正の上で算出されている点に注意が必要です。
広告収益の伸びが増収をけん引

楽天の主な収益源は下記のとおりです。
- 流通額に伴う売上手数料
- 事業者が支払う広告収益
- サービスの変動手数料
流通総額が微減したにもかかわらず、楽天の売上収益は前年比+8.1%を記録しています。これは、店舗・メーカーからの広告出稿が増え、手数料収益などが拡大したことが主な要因と考えられるでしょう。
楽天市場の今後はどう変わる?
楽天市場の今後の変化として、以下の2つのポイントがあげられます。
- 2030年10兆円目標の再定義
- 今後取り組みが重点強化される4つの施策
順に解説します。
2030年10兆円目標の再定義

楽天は「2030年に国内EC流通総額10兆円」という目標を掲げてきましたが、今回の決算資料では「中期的に10兆円を目指す」と表記が変わりました。
2025年は前年比一桁台半ばから後半の成長を見込むとしており、今後数年間の伸び率はやや弱まるかもしれません。
とはいえ、EC全体の市場規模が今後も拡大していくことはほぼ確実であり、中長期的には楽天市場の流通総額も再度上昇していくと考えられます。
今後取り組みが重点強化される4つの施策

楽天カンファレンスで示された「4つの重点項目」は以下のとおりです。
マーケティング改革とロイヤルユーザーの拡大
モバイルデータを活用したターゲティング広告や、イベント開催頻度の増加による流通額拡大を図ります。
店舗にとってはイベント施策への対応が増加するため、特に注力したい商品に対する施策を考える時間を増やすことが重要です。
売り場改革

定期購入機能のリニューアルやギフト機能の改善、AIによるレビュー要約や個人最適化された検索など、購入体験の向上を目指した取り組みが本格化します。
物流改革(最強翌日配送)
2024年7月から開始されている「最強翌日配送」によって、ユーザー利便性を高める取り組みが強化されています。
今後、検索結果への優遇措置が追加される可能性もあり、店舗としては配送オペレーションの効率化と合わせて注視しておきたいポイントです。
店舗コミュニケーションの強化

「Walk Together」のスローガンのもと、店舗間コミュニティをさらに充実させる方針です。
AIを活用した店舗運営支援ツールも拡充され、店舗が効率的に情報共有やデータ活用できる環境を整備していくとされています。
まとめ|これから楽天市場に力を入れるのも遅くない!
2024年通期の楽天決算は、営業黒字化という大きなニュースとともに、EC流通総額の一時的なマイナス成長という現実も浮き彫りにしました。
今後は広告収益や物流改革といった施策で収益機会を拡大しながら、中長期的に流通額を10兆円に近づける方針が示されています。
EC事業者としては、こうした市場の変化や新たな施策にアンテナを張り、着実に自社の売上拡大につなげることが重要です。
ジャグー株式会社では、楽天市場をはじめとする各種ECモールの最新情報の発信を行っています。また、無料相談も行っていますので、今後の施策や店舗運営についてお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。