
楽天GOLDは、HTMLやCSSを使用して、デザイン性の高いページを作成できる楽天の公式機能です。
しかし、2023年末にスマートフォン用トップページ機能が廃止され、2025年末にはPC版トップページ機能も廃止予定です。
そのため、
「これまで楽天GOLDを使ってページを作っていたのにどうすればいいの……?」
「新しいページへの移行方法がわからない」
と悩んでいる担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、楽天GOLDの概要からトップページ機能終了後の活用方法まで、徹底解説します。
コンテンツページ機能との違いも具体的に解説しますので、ぜひ確認してみてください。
トップページ機能は廃止されても、楽天GOLDにはまだまだ活用方法がたくさんあります。競合との差別化のためにも、本記事をぜひ参考にしてみてください。

監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
新卒で楽天グループ株式会社に入社し、ECコンサルタントとして
SOY(Shop of the Year)受賞店舗をはじめ多数の上位店舗を支援。
約2万人の社員の中から「楽天賞MVP」を受賞するなど、
高い実績と評価を獲得。
その後、大手企業のEC支援を行うコンサルティング会社を経て、
2020年にEC専門支援会社「ジャグー株式会社」を設立。
楽天市場やAmazonなど複数モールにおける売上拡大・運用最適化を総合的に支援している。
また、グループ会社にて自らもAmazonでの販売事業を展開。
自社ブランド製品はAmazonで「Amazonおすすめ」を多数獲得し、
販売開始から1年で月商1,000万円を突破するなど、売り手としても豊富な実績を持つ。
目次
楽天GOLDとは?
楽天GOLD(ゴールド)とは、楽天市場の出店者が無料で利用できる容量1GBまでのサーバースペースを指します。
通常、楽天市場の店舗ページはRMSを用いて作成しますが、楽天GOLDを活用するとHTMLやCSS、JavaScriptなどの言語によって自由なデザインのオリジナルページを制作することが可能です。
楽天GOLDでのデザインの自由度の高さを活かせば、店舗のブランドイメージを細部までこだわって表現したり、動きのあるリッチな表現を取り入れたりして、独自性の高いページを作成できます。
楽天GOLDを活用するメリット
楽天GOLDには主に以下の3つのメリットがあります。
- 出店者であれば無料で活用できる
- デザイン性の高いページが作成できる
- 画像やファイル置き場として利用できる
楽天GOLDを活用すればデザイン性の高いページを作成できるだけでなく、1GBまでの無料のファイルサーバーを利用できます。
商品画像を管理するR-Cabinetとは別に、高画質な画像やPDF形式の取扱説明書、カタログなどを保管する場所として有効に活用できるでしょう。
楽天GOLDを活用するデメリット
一方で、楽天GOLDには以下のようなデメリットも存在するため注意が必要です。
- HTMLやCSSの知識が必須
- 商品ページには使用できない
- アクセス解析を導入できない
自由なデザインの実現にはHTMLやCSSなどの専門的な知識が必須であり、社内に人材がいない場合は学習コストや外注費が発生します。
また、ユーザーが購入するための商品ページは作成・編集の対象外であり、外部アクセス解析ツールの設置もできないため、詳細なユーザー行動の分析が難しいという制約もあるのです。
楽天GOLDとRMSの違い
楽天GOLDとRMS(Rakuten Merchant Server)の違いは主に以下のとおりです。
比較項目 | RMS | 楽天GOLD |
---|---|---|
デザインの自由度 | 楽天が定めた制約の範囲内 | 制限がなく自由にデザイン可能 |
必要な専門知識 | 不要 | 必要(HTML、CSSなど) |
主な特徴 | パーツを組み合わせるだけで簡単に構築できる | オリジナリティの高いページや動的なコンテンツも実現できる |
手軽にページを構築したい場合はRMSを使用し、オリジナリティあふれるページを作成したい場合は楽天GOLDを活用するといいでしょう。
【重要】楽天GOLDのトップページ機能は終了する

多くの店舗で活用されている楽天GOLDのトップページ機能ですが、ユーザーの利用環境の変化に伴い、サービスの終了が決まっています。スマートフォン版とPC版それぞれの終了時期について知っておきましょう。
スマートフォン版トップページは既に終了済み
楽天市場のスマートフォン版トップページにおける楽天GOLDの利用は、2023年12月末をもって完全に終了しています。スマートフォン版の店舗トップページは、楽天が提供する「新店舗トップページ」の機能を使って作成する仕様に統一されました。
以前のようにHTMLを駆使してスマートフォン版のトップページを自由に構築することはできません。すでにご対応済みの店舗がほとんどと考えられますが、万が一まだ旧仕様のままである場合、ページが正しく表示されないなどのリスクがあるため、早急な確認が必要です。
PC版トップページは2025年12月末に終了予定
スマートフォン版に続き、PC版のトップページ機能も2025年12月末で終了となる予定です。期限を過ぎると楽天GOLDで作成されているPC版トップページは表示されなくなり、自動的に「新店舗トップページ」へ切り替わります。
そのため、現在のデザインを活かしつつ新しい仕様に最適化させるためには、期限までに楽天市場が提供する「新店舗トップページ」の機能に移行しておきましょう。
なお、トップページ以外のページを作成する場合は、後述する楽天GOLDのページ制作機能や、RMSのコンテンツページ機能を活用することになります。
トップページ以外で「今後も使える」3つの機能
楽天GOLDのトップページ機能は終了しますが、以下の3つの機能は引き続き利用が可能です。
- HTML/CSS/JavaScriptによる自由なページ制作機能
- 1GBまで無料の独自サーバースペース
- 独自ディレクトリ(/gold/)でのページ公開
順に解説します。
1.HTML/CSS/JavaScriptによる自由なページ制作機能
楽天GOLDの特徴である、HTMLやCSS、JavaScriptなどを使った自由なページ制作機能は、引き続き利用できます。トップページは作成できなくなりますが、デザイン自由度の高さを活かせるページは他にもあるのです。
たとえば、セールや季節のイベントに合わせた「特集ページ」や、特定商品の魅力を深く、豊かに伝えるための「ランディングページ(LP)」などの作成時に効果的です。
RMSのテンプレートでは表現しきれない、ブランド独自の世界観やリッチなコンテンツを提供できれば、ユーザーの購買意欲を掻き立てる「勝負ページ」として活用できます。
2.1GBまで無料の独自サーバースペース
1GBまで無料で使えるファイルサーバー機能も継続します。楽天GOLDのサーバースペースは、商品画像などを管理するR-Cabinetとは別の保存領域です。
楽天GOLDのサーバースペースを有効活用すれば、R-Cabinetの容量を節約したり、R-Cabinetの制約ではアップロードできない高画質な画像を特集ページで使用したりできます。
また、PDF形式の取扱説明書やカタログなどをアップロードし、ページ上からユーザーが直接ダウンロードできるようにすることも可能です。ファイルへの直接リンクが可能なため、使い方の幅は広いといえます。
3.独自ディレクトリ(/gold/)でのページ公開
楽天GOLDで作成したページは「https://www.rakuten.ne.jp/gold/店舗アカウント名/」という、店舗固有のURLで公開されます。「/gold/」というパスが含まれるURLは、楽天市場のドメイン内にありながらも、RMSのシステムからは独立したページとして扱われます。
この固有URLを活用すると、特定のキャンペーンやブランドヒストリーの紹介など、目的を絞った独立性の高いページを運用可能です。外部サイトのような位置づけで、自由度の高いコンテンツを展開できる点は、楽天GOLDならではの強みといえるでしょう。
「楽天GOLD」と「コンテンツページ」どちらを使うべき?

今後のページ作成において、楽天GOLDを使い続けるべきか、それともRMSの新機能「コンテンツページ」へ移行すべきか、悩まれる方も多いでしょう。結論として、どちらか一方を選ぶのではなく、それぞれの長所を理解し、目的に応じて併用していくことがおすすめです。
それぞれの機能がどのようなケースに適しているかを解説します。
- 「コンテンツページ」がおすすめなケース
- 「楽天GOLD」がおすすめなケース
- 目的に応じて「併用」がおすすめ
「コンテンツページ」がおすすめなケース

HTMLの専門知識がない、もしくはページ作成に多くの時間をかけられない場合には、RMSの「コンテンツページ」機能がおすすめです。パーツをドラッグ&ドロップする直感的な操作でページを作成でき、専門知識はほとんど必要ありません。
掲載した商品の価格や在庫状況が自動で更新されるため、セールページの運用効率を向上できる点もポイントです。また、楽天のアクセス解析ツールであるR-Karteによる効果測定も可能で、データに基づいたページ改善を手軽に行えます。
楽天市場のコンテンツページについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せて確認してみてください。
関連記事:楽天コンテンツページとは?作成手順・メリット・7つの活用法を解説
「楽天GOLD」がおすすめなケース

ブランドの世界観を細部まで徹底的に表現したい場合や、JavaScriptを用いて動きのあるリッチなページを作りたい場合は、楽天GOLDがおすすめです。デザインの自由度が高く、テンプレートの制約を受けないため、競合との差別化を図れます。
ただし、HTMLやCSSの専門知識が必要であったり、制作を外注する必要があったりと、コンテンツページに比べて運用のハードルは高くなります。クオリティを追求する分、コストと時間がかかることは念頭に置いておきましょう。
目的に応じて「併用」がおすすめ

今後の楽天市場で成果を出していくためには、コンテンツページと楽天GOLDを併用していくと良いでしょう。両者の長所を活かして、戦略的な使い分けが重要です。
たとえば、更新頻度が高く、効率性が求められるセールページや、基本的なお買い物ガイドは「コンテンツページ」でスピーディーに作成します。一方で、ブランドイメージを強く訴求したい大型イベントの特集ページや、主力商品のLPは「楽天GOLD」でリッチに作り込む、などの使い分けがおすすめです。
以下のような目的に応じた使い分けができれば、効率良く競合との差別化を図れ、店舗の魅力をさらに高めていけます。
目的・シーン | おすすめ機能 | 理由 |
楽天スーパーSALE・お買い物マラソン | 楽天GOLD | ブランドイメージを前面に出したリッチな作り込みで、イベントの高揚感を演出し、回遊性とCVRを最大化する |
毎月の定例セール・新商品案内 | コンテンツページ | 商品情報の自動更新機能を活かし、少ない工数でスピーディにページを立ち上げ、運営効率を高める |
ブランドストーリー・コンセプト紹介 | 楽天GOLD | テンプレートに縛られず、動画やアニメーションを駆使して世界観を深く伝え、ファンの育成につなげる |
お買い物ガイド・FAQ | コンテンツページ | テキストと画像のシンプルな構成で十分なため、手軽に作成・更新できるコンテンツページが最適 |
トップページ機能終了後の楽天GOLDの具体的な活用法
トップページ機能終了後の楽天GOLDの具体的な活用方法は以下の2つです。
- 特集・LPを「勝負ページ」として作り込む
- ファイルサーバーとして店舗運営効率化に利用する
順に解説します。
特集・LPを「勝負ページ」として作り込む
今後の楽天GOLD活用は、特集ページやランディングページ(LP)制作が中心となるでしょう。
ブランドの世界観を丁寧に伝えるリッチなデザインのページや、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンなどの大型イベント用に作り込まれたセールページなど、販売に注力したい場面で楽天GOLDの高いデザイン自由度を活かすことがおすすめです。
大型イベントに向けて勝負ページを作り込む際は、イベントのスケジュールをあらかじめ確認し、計画的に進めましょう。余裕を持って進めれば、クオリティの向上だけでなくミスの削減にもつながります。
楽天市場のLPについては以下の記事で詳しく解説しています。LP制作テンプレートも配布しているので、ぜひ活用してみてください。
関連記事:楽天市場のLP作成の重要性と転換率向上のためのポイント12選を解説
ファイルサーバーとして店舗運営効率化に利用する
楽天GOLDの最大1GBの無料ファイルサーバー機能を活用し、店舗運営の効率を上げましょう。R-Cabinetにはファイルサイズや容量に制限がありますが、楽天GOLDには画像ファイルの大きさに関する制限がありません。
「R-Cabinetは商品登録用」「楽天GOLDは販促用の素材置き場」というように役割を明確に決めておくと、データ管理がしやすくなり、日々の店舗運営の効率化にもつながります。
楽天GOLDから新トップページへ移行する際の注意点3つ

現在楽天GOLDを活用しており、これから新トップページに移行しようと考えている場合は、以下の3つの点に注意しておきましょう。
- 移行スケジュールを明確にしておく
- コピーではなくコンテンツを再編集する
- デザインのバックアップを必ずとっておく
順に解説します。
移行スケジュールを明確にしておく
既存のコンテンツを棚卸しし、新しいトップページの仕様に合わせてデザインや構成を考え、実際に制作するには、予想以上に時間がかかるものです。
期限直前になって慌てて作業を始めると、ページの品質が低下したり、移行が間に合わずトップページが正しく表示されなくなったりする恐れがあります。
可能な限り早く構成を固め、制作まで余裕を持った計画的なスケジュールを立てておくことがおすすめです。
コピーではなくコンテンツを再編集する
楽天GOLDで作成するページと新トップページは、ページの根本的な構造が異なります。そのため、従来のページから情報をコピー&ペーストするだけではうまく移行できません。
新トップページはスマートフォンでの閲覧を意識しており、画面サイズに応じてレイアウトが自動で調整されるレスポンシブデザインが採用されています。
新トップページに移行する際は、機能の特性をしっかりと理解し、それに合わせて画像サイズやテキスト量を調整する必要があります。既存ページをコピーするだけでなく、再編集する視点を持ち、計画的に移行を進めましょう。
デザインのバックアップを必ず取っておく
万が一のトラブルに備え、楽天GOLDのデータは必ずバックアップを取っておきましょう。FTPソフトを使用すれば、サーバー上にあるHTMLファイル、CSSファイル、画像データなどをすべてパソコンにダウンロードして保存できます。
バックアップを取っていなかった場合、予期せぬ理由でサーバーからデータが消えてしまった際に、これまでのデザイン資産を失ってしまうリスクがあります。
楽天GOLDは楽天が提供するサーバーですが、アップロードしたデータの構築や管理は各店舗の責任範囲であり、データの復旧サポートは対象外である点にも注意が必要です。
移行のためのリソースが足りなければ外注もひとつの手
基本的に、新トップページへの移行作業はHTMLなどの専門知識が不要なため、自社内で対応可能です。既存のバナー画像を新トップページの推奨サイズに合わせて調整し、各パーツに設定したり、テキスト情報をコピー&ペーストしたりといった作業が中心となります。
初心者でも比較的進めやすいため、まずは自社で実施することをおすすめします。
しかし、以下のような場合は、外部の制作会社やコンサルタントに相談してみても良いでしょう。
- 新トップページの制約の中でも、デザイン性を追求し競合と差別化を図りたい
- 楽天GOLDを活用した特集ページやLPを本格的に作り込み、店舗の売上を最大化したい
- 移行作業に割く時間や人材が社内に無く、商品開発や顧客対応といったコア業務に集中したい
専門家の知見を借りれば、クオリティの向上と時間の節約を両立できる可能性があります。
おすすめの楽天市場のコンサルティング会社は以下の記事で紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
関連記事:【2025年】楽天市場のおすすめコンサルティング会社28選比較!比較ポイントも徹底紹介
楽天GOLDからの移行を今から準備しておこう
本記事では、楽天GOLDのトップページ機能終了に関する情報と、今後の新たな活用戦略について解説しました。
トップページ機能は終了するものの、楽天GOLD自体は特集ページやLP制作、ファイルサーバーとして今後も活用可能です。
そして、今後は楽天GOLDやコンテンツページなどを併用しながら、効率的に店舗の魅力を伝えていく戦略が重要となります。
今から計画的に準備を進め、新しい楽天市場の仕様に適応しつつ、自店舗ならではの魅力を発信し続けていきましょう。
楽天GOLDからの移行や今後の活用法についてお悩みの場合は、ぜひ一度、ジャグー株式会社にご相談ください。
楽天GOLDに関するよくある質問
Q.楽天GOLDを商品ページに使えますか?
いいえ、楽天GOLDを商品ページそのものの作成・編集に使うことはできません。商品ページは、従来通りRMS(店舗運営システム)を使用して作成・管理する必要があります。
Q.楽天GOLDの利用料金はかかりますか?
楽天GOLDの基本的な利用料金は無料です。楽天市場に出店している店舗であれば、追加の費用を支払うことなく、1GBまでのサーバースペースを利用できます。もし1GB以上の容量が必要になった場合は、RMSの管理画面から有料で容量を追加申請することが可能です。
Q.新トップページへ移行後、GOLD内のファイルは消えますか?
いいえ、新店舗トップページへ移行しても、楽天GOLDのサーバー内にアップロードしたHTMLファイルや画像データが自動的に消えることはありません。あくまで「トップページとして表示する機能」が使えなくなるだけで、楽天GOLDのサーバー機能自体は存続します。そのため、特集ページやLPのデータ置き場、画像ファイル置き場などとして、これまで通り問題なく利用ができます。