Amazon広告とは、Amazonのプラットフォーム上で配信される広告サービスです。Amazonが保有する膨大なデータを利用してターゲティングができるため、購入意欲の高いユーザーにアプローチができます。
また、Amazonのプラットフォーム外に訴求できる広告フォーマットもあるため、Amazonで売上を伸ばしたい方はぜひ活用しましょう。
ただしそうは言っても、Amazonの広告は大きく4種類に分けられますが、どの広告にどのような特徴があり、それが自社に合っているかわからないという方も多いのではないでしょうか。
せっかく予算をかけるであれば、自社にあった成果の出る広告を活用したいですよね。
本記事ではAmazonの広告について、それぞれの特徴やメリット、注意点などを徹底解説しています。
各広告フォーマットについて詳細に解説しているので、自社に最適な広告がきっと見つかるでしょう。
EC運営のプロだからこそ解説できるポイントや、Amazon広告運用の成功事例も紹介しているので、ぜひ参考にして自店舗の売上向上に役立ててみてください。
また、Amazon以外にも、楽天市場やYahoo!ショッピングの広告について詳しく解説しているので以下の記事もぜひご覧ください。
関連記事:【2024年】初心者でもわかる!楽天広告の種類・運用方法を元楽天ECCが徹底解説
関連記事:ECのプロが伝授!Yahoo!ショッピング広告の目的別選び方と種類・運用方法を徹底解説
監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
2015年に楽天入社後ECコンサルティング部に所属
作業やアドバイスではなく実行支援の重要性を感じ2020年にEC支援会社のジャグーを創業。
支援企業の中でSOY受賞経験は9店舗。
目次
Amazon広告はなぜ重要なのか
Amazonにおいて広告は、売上を伸ばすためには重要な施策です。
なぜなら、売上を伸ばすためには集客数の確保が必要であり、広告はより多くのユーザーに自社商品をリーチするために有効な手段だからです。
なお、AmazonをはじめとするECモールの売上は以下の計算式で算出されます。
売上=アクセス数×購入転換率×客単価 |
上記の「アクセス数」とは集客のことであり、購入転換率や客単価にはある程度限界値はありますが、アクセス数は施策次第で際限なく伸ばすことが可能です。
また、アクセス数を伸ばすためには検索順位対策(SEO対策)も重要であり、Amazonで広告を活用して販売実績が伸びれば、SEOにも好影響を与えます。
AmazonのSEOにおいて、販売速度(直近の販売実績)が順位を決める要素に含まれるとされているため、広告からの販売数を増やすことができれば、自然検索順位の向上が期待できます。
なお、AmazonのSEOについて以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
関連記事:Amazon SEO(現在制作中)
Amazon広告には4つのプラットフォームがある
具体的に、Amazon運営における広告の種類は以下4つに分けられます。
- スポンサープロダクト広告(内部向け)
- スポンサーブランド広告(内部向け)
- スポンサーディスプレイ広告(内外部向け/2023年1月より外部にも配信可能になっている)
- Amazon DSP(内外部向け)
次から上記4つの広告種ごとの配信面や、メリットとデメリット、費用から注意点まで網羅的に解説していきます。
以下の表で広告別の特徴をまとめていますので、気になる広告から確認してみてください。
種類 | 課金方式 | 掲載面 | おすすめの活用法 |
スポンサープロダクト広告 | クリック課金 | ・検索結果ページの広告枠 ・商品ページ内の下部にある広告枠 | ・手軽に商品の認知を獲得したい場合 ・Amazon出品初期で予算が限られている場合 |
スポンサーブランド広告 | クリック課金/ インプレッション課金 | Amazon 検索結果 | ・ブランドの認知向上を目指したい場合 ・動画などの目立つ広告を作成するクリエイティブスキルがある場合 |
スポンサーディスプレイ広告 | クリック課金/ インプレッション課金 | Amazon 内外 | ・Amazon内外に広告を配信し潜在層へアピールしたい場合 ・リターゲティング機能を活用し顕在層の刈り取りを行いたい場合 |
Amazon DSP | 形式と掲載枠によって異なる | Amazon 内外 | ・Amazonのビックデータを活用した詳細なターゲティングを行いたい場合 ・Amazonに出品していない企業がAmazonユーザーへ商品をリーチしたい場合 |
スポンサープロダクト広告(SP)
画像出典元:Amazon
スポンサープロダクト広告(SP)は検索上位に表示され、購買意欲の高いユーザーにリーチできるため商品の売上アップはもちろん、自社ブランドの認知拡大を期待できる広告です。
また商品単体で露出され、広告感が薄いためページに馴染みやすく、クリックされやすい特徴があります。
SP広告の掲載箇所は次の2箇所です。
- 検索結果ページの広告枠
- 商品ページ内の下部にある広告枠
SP広告は検索キーワードに連動して表示される「クリック課金型」の広告のため、ユーザーの目につきやすく、クリックされなければコストが発生せず、使いやすい広告です。
また、最低クリック単価は2円〜設定が可能であり、予算と入札額を自由に設定できるため、低予算でコントロールしやすく広告運用をはじめて利用する店舗でも活用しやすい広告と言えるでしょう。
スポンサープロダクト広告の5つのメリット
スポンサープロダクト広告を活用するメリットは以下の5つです。
- 広告出稿しやすい
- ユーザーが商品を見つけやすい
- 購入意欲の高いユーザーに訴求できる
- 低予算から広告運用を始められる
- クリエイティブ作成などの手間がない
順に解説します。
1.広告出稿しやすい
SP広告は下記の条件を満たすだけで活用できる出稿しやすい広告です。
- Amazonに出品している
- 大口出品で出品している
- 商品詳細ページを作成している
- Amazonショッピングカートを取得している
上記は、Amazonで売上を伸ばしていくために自然と対策している項目のため、特別な対応を行わなくても、出稿しやすい広告と言えるでしょう。
2.ユーザーが商品を見つけやすい
SP広告はユーザーの目に留まりやすい表示位置に掲載されるのもメリットと言えます。
具体的には、商品の検索結果上部や商品詳細ページ内の関連商品枠など、目立つ位置に広告が掲載されるため、商品の露出を増やしたい場合や新商品の認知を広めたい場合に有効な広告です。
3.購入意欲の高いユーザーに訴求できる
ユーザーの求める商品キーワードに対して広告が配信されるため、購入意欲の高いユーザーに訴求できるのもメリットです。
SP広告は、検索結果のページ枠や商品ページに関連商品として通常の商品カタログに紛れて表示されるため、広告感が薄くクリックを促しやすい特徴があります。
そのため、ターゲティングを工夫すれば、他社の商品を検索したユーザーから認知され、新規顧客の獲得につながるでしょう。
4.低予算から広告運用を始められる
SP広告は低予算で運用をはじめられるのもメリットと言えます。
SP広告はクリック課金型のため、ユーザーが広告をクリックした場合のみ費用が発生します。
また予算上限を設定できるため、低予算から始められ、予算のコントロールがしやすいのが特徴です。
そのため、Amazonへ商品を出品したばかりで、予算が限られている場合でも気軽に広告運用を始められます。
5.クリエイティブ作成などの手間がない
配信される広告の商品画像や商品名は既存の登録情報を元にして自動で作成されるため、クリエイティブな手間が必要ないのもうれしい点です。
他の広告種では、広告専用のバナーやキャッチコピーの用意が必要な場合もあります。
一方、SP広告は、商品ページに掲載している画像や商品情報を元に自動で広告を作成してくれるため、広告出稿の事前準備の必要がなく、簡単に広告運用を始めることができます。
スポンサープロダクト広告にかかる費用
SP広告の費用は市場やカテゴリによって幅があるものの、おおよそ以下のとおりです。
項目 | 詳細 |
最低クリック単価 | 2円〜 |
クリック単価の平均 | 5〜10円 |
月間出稿料の平均 | 3万円〜(市場やカテゴリによって異なる) |
広告出稿にかける予算上限は自由に設定でき、少額からでも広告運用を始められるのがSP広告の特徴です。
広告の運用費用は入札額によって決まるため、入札額が高いほど広告が上位に表示されやすくなります。ただし、広告費用がかさむためROAS(広告費用対効果)を見極めながら運用しましょう。
なお、SP広告に限らずAmazon広告の費用は、店舗の規模や市場動向、競合の状況によっても変動するため、一般的に相場を算出することは困難であるとされています。
そのため、上記単価は参考値としてご覧いただき、自社で判断が難しいと感じたら、Amazonのコンサルティングや運用代行に相談するのもおすすめです。
以下の記事で、Amazonのコンサルティングと運用代行について詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
スポンサープロダクト広告のターゲティング方法
SP広告のターゲティング方法はキーワードを設定する方法で「オートターゲティング」と「マニュアルターゲティング」の2種類に分けられます。
それぞれの特徴やメリット・デメリットは以下のとおりです。
ターゲティング方法 | オートターゲティング | マニュアルターゲティング |
特徴 | ・Amazonが自動でKWを選択する ・KWを個々に設定しないターゲティング方法 ・広告主が「広告グループ名」「広告対象商品」「入札額」を設定する ・商品詳細ページの情報(特に商品名)に関するKWが検索されたときに広告が表示される | ・商品キーワード、マッチタイプ、入札額を細かく設定できる ・Google 広告や Yahoo! 広告の検索広告と同様に広告を表示したいKWを個々に設定する |
メリット | ・広告主はKWを決める必要がない ・ノウハウがなくてもある程度売上を作れる ・広範囲のユーザーに表示される可能性がある | ・狙ったKWを指定できる ・除外KWを設定できる |
デメリット | ・KWの効果測定ができない ・広告主が狙いたいKWで広告を表示できない ・購買意欲がないユーザーにも表示されるため、ROASが低くなる可能性がある | ・広告運用のノウハウが必要 ・KWごとの効果測定を行わないと効果的に運用できない |
以上のことから、SP広告のノウハウが不足している場合は「オートターゲティング」である程度売上を確保するのがおすすめです。
また今後、広告経由の売上をしっかり伸ばしたりしたい場合は、細かな設定ができる「マニュアルターゲティング」を利用してみましょう。
スポンサープロダクト広告の4つの注意点
次に、スポンサープロダクト広告を活用する上で注意が必要な点は次の4つです。
- オートターゲティングのみだと効果が頭打ちになる
- キャッチコピーやロゴの掲載はできない
- 遷移先は商品詳細ページしか設定できない
- 出稿できない商品がある
順に解説します。
1.オートターゲティングのみだと効果が頭打ちになる
SP広告でオートターゲティングのみを使用していると傾向として、広告効果が頭打ちになることが多いとされています。
オートターゲティングは、広告運用のノウハウがなくても一定の効果があるため便利ですが、効果測定ができなかったり、ROASの最適化が困難です。
そのため、売上を拡大していくためには、キーワード設定をしながら狙ったターゲットへ効果的に広告を配信できるマニュアルターゲティングへ切り替えて運用することも重要です。
2.キャッチコピーやロゴの掲載はできない
SP広告は、専用のキャッチコピーやロボの掲載はできないため、物足りなく感じる可能性があります。
上記「スポンサープロダクト広告の5つのメリット」では、クリエイティブなスキルが必要ないとした一方で、SP広告は通常の商品画像でのみ掲載が可能な広告のため、バナーを使ったキャッチコピーやロゴは掲載できません。
クリエイティブなスキルを発揮して、キャッチコピーやロゴで訴求したい店舗にとっては、有効活用できない場合があります。
3.遷移先は商品詳細ページしか設定できない
SP広告をクリックした時の遷移先は、該当商品の詳細ページのみです。
店舗ページや外部サイトへのリンクを設定できないため、ユーザーのランディング先をコントロールできないのはデメリットに感じるかもしれません。
リンク先を自社ブランドのストアページや外部サイトに設定したい場合は、後述するスポンサーブランド広告の「ストアスポットライト」のような広告を活用しましょう。
4.出稿できない商品がある
SP広告には、スポンサー広告のガイドラインで、下記のような出稿できない商品が設定されています。
スポンサー広告に掲載できない商品 |
・ポルノ、性的に露骨な商品、おもちゃやエンターテインメント、性的行為を高めると主張する商品、その他類似の性質の商品やサービス(「成人向け」または性的な目的で宣伝される商品を含む)などの成人向け商品。 ・美容およびパーソナルケア:生来の身体的特性を永久かつ物理的に変えると主張する商品は禁止されています。 ・コンペ、懸賞。 ・薬物検査キット。 ・疾患診断キット。 ・デジタルおよびコンピューターハッキングサービスと商品。 ・エッチングクリーム、その他の苛性ソーダ入りクリーム、ジェル、液体、または溶液。 ・偽造書類サービス。 ・代謝を高めたり、性欲を増強したり、食欲を抑えたり、他の自然な身体機能を高めたりすると主張する、脂肪燃焼サプリメントやそれに類する商品。 ・エフェドリンアルカロイド、サルビアジビノラムまたはサルビノリンAを含む食品およびサプリメント。 ・高脂肪、高塩分、高糖分の食品(HFSS)(英国のみ) ・一攫千金的な商品。 ・性別予測キットおよび同様の検査商品。 ・グラフィティ関連の塗料、マーカー、クリーム、ノズル、リフィル、ハウツー動画およびその他のコンテンツ。 ・違法ドラッグや娯楽用ドラッグおよび薬物関連の道具。 ・医療従事者向けに販売される医療機器。 ・亜酸化窒素キャニスターと充電器。 ・非金属性のアウトドア用狩猟ナイフとキャンピングナイフ ・カンナビジオール(CBD)、THC、その他の大麻を含有するオイル、サプリメント、化粧品や美容商品、または摂取可能な商品。 ・父子鑑定、不倫検査、または性的暴行検査キット。 ・処方薬と器具。 ・Amazonのカテゴリー、商品、出品制限に準拠していない商品。 ・病気や依存症の診断、治療、緩和、手当て、あるいは予防を行うと主張する商品。 ・不適切に「FDA認証済み」、「FDA承認済み」であると主張する商品、または関連画像にFDAロゴを含む商品(詳細については、こちらを参照してください)。 ・プライバシーの侵害を目的として作られた商品(スパイカメラなど)、または法執行を回避するために作られた商品(警察無線スキャナーなど)。 ・違法薬物の密輸を目的とした偽装品など、法律、規制、または当社のポリシーで禁止されている他の商品を偽装することを目的としている商品。 ・疑わしい、または潜在的に危険な活動に使用される可能性がある商品。 ・ギャンブルサービスに関連した商品。 ・知的財産権または個人の権利を侵害する、侵害を奨励する、または侵害を可能にする可能性のある商品。 ・硝酸ナトリウム ・タトゥーおよびボディブランディング用商品。 ・タバコ、電子タバコ、ベープ、およびタバコグラインダー、シガレットペーパーやケース、電子タバコ用リキッド、水パイプ、灰皿などの関連する付属品 ・UV日焼けサービスおよび機器。 ・武器 |
詳細は、Amazon adsの「スポンサー広告のガイドラインおよび承認ポリシー」をご確認ください。
自社商品が掲載禁止の商品に該当していないか、広告を利用する前に必ず確認しましょう。
スポンサーブランド広告(SB)
スポンサーブランド広告とは通称「SB」と言われ、自社ブランドや商品の認知度向上を目的に活用する広告です。
検索キーワードに連動した広告配信や、商品カテゴリに応じて広告が配信されるのが特徴です。
SB広告の掲載箇所は主に以下のとおりです。
- 検索結果ページの最上部、内部
- 商品詳細ページ
画像出典元:Amazon
画像出典元:Amazon
なお、SB広告を利用するには商標登録されており、Amazonにブランド登録した商品だけが広告配信されるため、利用には一定のハードルがあることを把握しておきましょう。
SB広告は、広告掲載箇所が目につきやすく、特定の商品リストへ遷移させることが可能なため、複数の商品を紹介したい時にも有効です。
また、遷移先を自社ストアページに設定することも可能なため、ブランド認知だけでなくブランド全体の世界観も伝えたい場合におすすめの広告です。
さらに、複数商品を見せることができるため、クロスセルを図りたい時にも活用できます。
スポンサーブランド広告の3つの表示形式
SB広告には以下の3つの表示形式があり、目的に応じて適切な広告フォーマットを選択することで効果の最大化を図れます。
- 商品コレクション広告
- ストアスポットライト広告
- 動画広告
順に解説します。
1.商品コレクション広告
商品コレクションはLP(ランディングページ)を指定して類似商品を表示する広告です。
使用されるLPはAmazonのASIN(商品の識別番号)から自動生成される場合と、AmazonストアページをLPにする2通りに分かれます。
商品コレクション広告に必要な、クリエイティブとしては次の設定が必要となります。
- ブランド名やロゴ
- 商品画像
- 見出し
- カスタム画像
2.ストアスポットライト広告
ストアスポットライト広告とは、広告リンク先が3つ以上のストアページに設定される広告です。
上記、商品コレクションは「商品詳細ページ」への誘導を促す広告であるのに対し、ストアスポットライト広告は「ストアページ」への誘導を促す広告であると言えます。
ストアスポットライト広告のクリエイティブは、次のとおりです。
- ブランド名
- ロゴ
- 3ページ以上のストアページリンク
- 見出し
3.動画広告
動画広告は、任意の商品ページをリンク先として設定できる広告です。
配信される動画広告は、15秒〜45秒で作成された動画を自動リピート再生します。そのため、静止画が多いAmazonページ内で目立つ訴求ができ、ブランドの認知度向上や商品の購買の促進を期待できます。
なお、動画のクリエイティブ仕様は細かく設定されているため「Amazonセラーセントラル」から以下の手順で動画広告用のガイドラインを確認しましょう。
- 「Amazon広告キャンペーンマネージャー」を開く
- 「広告フォーマット」を選択
- 「動画」を選択
また、動画広告はスマートフォンで視聴するユーザーが多い傾向のため、長尺の動画を作成しても最後までみられるとは限りません。
そのため、最初の3秒以内で印象を与えるクリエイティブとなるよう工夫が必要です。
スポンサーブランド広告の3つのメリット
スポンサーブランド広告を活用するメリットを3つ解説します。
- 自社ブランドや商品が認知されやすい
- ストアページに誘導できる
- 動画広告で訴求できる
順に解説します。
1.自社ブランドや商品が認知されやすい
SB広告は、Amazonユーザーに自社ブランドと商品を見つけてもらいやすいメリットがあります。
なぜなら、ユーザーが求める商品の検索結果に関連する商品に対して広告が表示されるからです。
また、自社ブランドのロゴや動画広告を活用すれば、さらにブランドの印象をアピールできます。
たとえば、新商品を販売する際にSB広告を活用し、自社ブランドとセットで露出すれば認知を獲得しやすくなるでしょう。
2.ストアページに誘導できる
SB広告のリンク先を自社ストアページに設定できるのもメリットのひとつです。
たとえば、自社独自のイベントやキャンペーン実施時にSB広告でストアページに誘導できれば、自社商品全体でお得感を感じてもらいやすくなり、ブランドイメージの向上につながります。
また、商品詳細ページと比較してストアページは自社ブランドのイメージをより訴求しやすいため、他社商品への離脱を防ぎつつ、売上拡大にも貢献するでしょう。
3.動画広告で訴求できる
動画広告でより効果的な訴求ができる点もSB広告を活用するメリットと言えます。
静止画が多いAmazonモール内に、情報量の多い動画広告を配信できれば、商品の特徴が伝わりやすくなります。
ただし、動画広告を配信する際はクリエイティブなスキルが必要かつ、はじめの数秒でユーザーの目に留まる工夫が必要です。
SP広告と比較して少し難易度は上がりますが、商品の魅力を推し出した動画広告で競合他社と差別化したアピールが可能です。
自社ブランドや商品力アップのために、ぜひチャレンジしてみましょう。
スポンサーブランド広告にかかる費用
SB広告に必要な費用は市場やカテゴリによって異なりますが、おおよそ以下のとおりです。
項目 | 詳細 |
最低クリック単価 | 2円〜 |
クリック単価の平均 | 5〜10円 |
月間出稿料の平均 | 3万円〜(市場やカテゴリによって異なる) |
SP広告と同様に少額からでも広告運用を始められるのが特徴です。
ただし、他のスポンサー広告と比較して配信面が少ないため競争が激しくなりやすく入札額が高くなる傾向にあります。
そのため、SB広告単体で配信するのではなく、他の広告を組み合わせて予算管理をしながら、効果的な広告運用をするのがおすすめです。
スポンサーブランド広告のターゲティング方法
SB広告のターゲティング方法は以下の2種類に分けられます。
- キーワードターゲティング
- 商品ターゲティング
それぞれの特徴やメリットは以下のとおりです。
ターゲティング方法 | キーワードターゲティング | 商品ターゲティング |
特徴 | 特定のキーワードが検索された際に広告表示させるターゲティング方法 | Amazonが提案するカテゴリーや商品に関連する検索結果や商品詳細ページに広告を表示させるターゲティング方法 |
メリット | ・上位表示を狙いたい検索キーワードを設定できる ・認知度向上やCVR(転換率)の向上が期待できる | ・顕在層以外の広範囲のユーザーにアプローチが可能 ・自社ブランドや商品の認知度向上を期待できる ・広告運用の幅を広げるのにおすすめ |
スポンサーブランド広告の2つの注意点
ここでは、SB広告を活用する際の2つの注意点を解説します。
- 事前にAmazonブランド登録を済ませておく
- 配信面が少なく入札額が高くなる傾向にある
順に解説します。
1.事前にAmazonブランド登録を済ませておく
SB広告を出稿するには、Amazonブランド登録を済ませておく必要があります。
また、Amazonブランド登録をするためには、自社ブランドの商品を商標登録しておく必要があります。
商標登録の手続きは申請から半年〜1年と長い時間を要するため、SB広告を活用したい場合は、Amazonへの出店準備段階から、早めに商標登録手続きをしておきましょう。
なお、SP広告は商標登録やAmazonブランド登録は必要ないため、SB広告で出稿できない商品は、SP広告からはじめるのがおすすめです。
2.配信面が少なく入札額が高くなる傾向にある
SB広告は他のスポンサー広告に比べて配信面が限られているため、競争が激しくなりやすく入札額が高騰する傾向があります。
さらに目立つ位置に広告が配信されることも、競争が激しく入札額が高くなる要因のひとつです。
そのため、SB広告を活用する際は、広告配信のタイミングや他の広告の組み合わせを考慮して、ROAS(広告の費用対効果)を意識した費用管理が重要です。
スポンサーディスプレイ広告(SD)
スポンサーディスプレイ広告(SD)は、商品の認知度向上や購買を促進する目的で活用できる広告です。
SD広告の配信先は主に以下のとおりです。
- 商品詳細ページやカスタマーレビューの側面
- 商品検索結果ページ上部
- おすすめ出品の下部
- Amazonと提携しているアプリやサードパーティのWebサイト
画像出典元:Amazon
また、SD広告の特徴も以下の表にまとめていますのでご覧ください。
特徴 | 詳細 |
リターゲティング機能 | 指定した商品や商品カテゴリーについて検索、閲覧、購買したユーザーにターゲティングする |
商品ターゲティング機能 | 特定の商品や商品カテゴリーに関連付けて広告を表示する |
課金方式 | クリック課金型とインプレッション課金型の2通り |
SD広告は、Amazon内外に配信される広告のため、自社商品の潜在層へのアプローチにより認知度向上や、新規ユーザーの獲得が期待できます。
さらに、リターゲティング機能があるため、自社商品を閲覧したものの購入まで至らなかったユーザーへ広告を配信することができるため、購入まで至らなかったユーザーの刈り取り施策としても有効です。
またターゲティング機能が充実しているため、競合商品を指定して広告を配信するなど自社商品のシェア拡大を図りたい場合にもおすすめの広告です。
スポンサーディスプレイ広告の2つの表示形式
SD広告には以下2種類の表示形式があります。
- 画像広告
- 動画広告
それぞれの特徴や配信する際の設定を解説します。
画像広告
画像広告では、1つ以上の商品詳細ページを遷移先として設定できます。
1つの広告に対して複数の商品詳細ページのリンクを登録する場合、遷移先の商品がランダムで表示されるため、自社ブランド全体のイメージを伝えるクリエイティブな画像が求められます。
また、広告に表示される画像は、キャンペーン作成時に自動的に商品のサムネイル画像が選択されますが、カスタム画像を設定すれば作成した画像へ変更が可能です。
なお、画像作成に必要な項目は以下のとおりです。
必要項目 | 詳細 |
画像サイズ | 1200×628ピクセル以上 |
ファイルサイズ | 5 MB 以下 |
ファイル形式 | PNG、JPEG、または GIF |
コンテンツ | 画像にテキスト、グラフィック、ロゴが追加されていない |
動画広告
動画広告も同様に、1つ以上の商品詳細ページを遷移リンク先として設定できる広告です。
1つの広告に複数リンクを登録した場合、画像広告と同様にランダムで商品詳細ページに遷移するため、特定の商品だけではなく登録する商品全体の特徴が伝わる内容にしましょう。
なお、配信できる動画の仕様は主に以下のとおりですが、他にも細かく条件を定められているため「Amazon 広告キャンペーンマネージャー」から動画広告用の作成ガイドラインをご確認ください。
必要項目 | 詳細 |
アスペクト比 | 16:9 |
サイズ | 1920×1080(最小) |
最大ファイルサイズ | 500 MB |
ファイル形式 | H.254、MPEG-2、MPEG-4 |
長さ | 6~45秒 |
フレームレート | 23.976、24、25、29.97、29.98、または30 fps |
ビットレート | 1 Mbps(最低) |
動画ストリーム | 1つのみ |
言語 | 広告の地域と一致させる必要があります |
サンプルレート | 44.1kHz または48 kHz |
コーデック | PCM または AAC |
ビットレート | 96 kbps(最低) |
フォーマット | ステレオまたはモノラル |
音声ストリーム | 一つのみ |
スポンサーディスプレイ広告の3つメリット
スポンサーディスプレイ広告を活用する3つのメリットを見ていきましょう。
- リターゲティングできる
- 広告の掲載場所が広くインプレッション増加に期待できる
- 新規顧客を狙いやすい
順に解説します。
1.リターゲティングできる
SD広告のリターゲティング機能を活用すると、自社商品に関心を持ったものの購入に至らなかったユーザーに対し、ピンポイントで広告を配信して購買を促進できます。
リターゲティングでは、一度自社商品の詳細ページに訪れて離脱したユーザーや、同じカテゴリーの商品を検討したことのあるユーザーに対して広告の配信が可能です。
購買検討層に繰り返し自社商品をアピールできるため、見込み客の購入意欲を高め、CVR(転換率)の向上が期待できます。
2.広告の掲載場所が広くインプレッション増加に期待できる
SD広告は掲載箇所が広く詳細にターゲティングを行えるため、インプレッション(広告表示回数)の増加が期待できます。
インプレッションが増加すれば、自社ブランドや商品の認知度が向上するでしょう。
また、特定のユーザーが自社商品の広告を繰り返し目にすることで、購入意欲の向上にもつながり、売上アップが見込めます。
3.新規顧客を狙いやすい
SD広告はAmazonサイト外にも配信されるため、自社商品を認知していない新規顧客の獲得を狙いやすいのがメリットです。
たとえば、TwitchやIMDbなどのAmazon所有管理サイトやサードパーティのリンク先などにSD広告が掲載される可能性があります。
ターゲティング方法により潜在層にも広告が届くため、新規顧客の獲得も狙える広告なのです。
スポンサーディスプレイ広告にかかる費用
SD広告にかかる費用は、以下の2つのクリック課金制(CPC)とインプレッション課金制(CPM)の2つの費用の合計で算出されます。
2つの課金方式はそれぞれ「Amazon 広告キャンペーンマネージャー」で自由に出稿したり一時配信停止をしたりできます。
なお、目的別のおすすめの課金方式については以下の表を参考にしてください。
目的 | おすすめの課金方式 |
広告のクリック数の最大化 | クリック課金制 |
広告クリックからのコンバージョン(CV)最大化 | クリック課金制 |
広告の表示回数の最大化 | インプレッション課金制 |
また、SP広告、SB広告と1日の入札額や予算上限額を自由に設定できることから、一般的に費用の相場を算出することは困難とされています。
そのため、広告運用がはじめてという場合は、まずは低予算で出稿してみましょう。
スポンサーディスプレイ広告のターゲティング方法
SD広告のターゲティング方法は以下の2種類が用意されています。
- オーディエンスターゲティング
- コンテキストターゲティング
それぞれの特徴やメリットを以下の表にまとめていますので参考にご覧ください。
ターゲティング方法 | オーディエンスターゲティング | コンテキストターゲティング |
特徴 | 特定の商品を閲覧したり、購入したりしたユーザーに対し広告を表示する | 特定の商品やカテゴリに合わせて広告を表示する |
メリット | ・興味関心の高いユーザーに直接アプローチできる ・再購入や関連商品の購入を促進できる可能性が高い | ・類似商品へのクロスセルが可能 ・関連性の高いカテゴリを見ているユーザーへの露出が期待できる ・商品やカテゴリの文脈に沿った広告表示ができる |
スポンサーディスプレイ広告の2つの注意点
ここでは、SD広告を活用する上で注意すべき点を2つ解説します。
- CPA(顧客獲得単価)が高騰しやすい
- 特定キーワードを指定したターゲティングはできない
順に解説します。
1.CPA(顧客獲得単価)が高騰しやすい
SD広告は広範囲への広告配信が可能ですが、CPA(顧客獲得単価)が高騰しやすい点に注意が必要です。
SD広告はAmazonサイト外にも配信される可能性があるため、新規顧客へのアプローチがしやすい一方で、購入意欲の高くないユーザーの多くがクリックする場合があります。
そのため、クリック数が増加しても、購入数が少ないとCPAが高くなってしまいます。想定外の出費を予防するためには、広告の効果を分析しながら定期的に予算上限額を調整しましょう。
2.特定キーワードを指定したターゲティングはできない
SD広告のターゲティング設定では、特定のキーワードや配信先を指定できません。
そのため、広告が意図しない商品キーワードや配信枠に表示されてしまい、想定した以上の広告費用が発生する可能性があるため注意しましょう。
余計な広告費用を発生させないための対策も定期的な予算設定が重要です。広告キャンペーンのROASをチェックし、必要に応じて広告の予算上限額を調整しましょう。
なお、チェックする頻度は毎日が望ましいですが、最低でも週に2回以上はチェックするのがおすすめです。
Amazon DSP
Amazon DSP(Demand-Side Platform)は、SD広告と同様にAmazon内外に広告を配信できる広告サービスです。
Amazon DSPの特徴は主に以下の3つです。
- Amazonの膨大な閲覧、購買データを活用した広告配信が可能
- Amazonで商品を販売していない広告主も配信可能
- ブランドセーフティ機能がある
ただし、上記3つのスポンサー広告とは異なり、Amazon DSPを利用するには、Amazonに認定された代理店への依頼、あるいはAmazonに直接依頼する必要がある点は把握しておきましょう。
Amazon DSPの配信面
Amazon DSPを利用した広告の配信面を紹介します。
以下の表で「Amazon内」と「Amazon外」に分けて記載していますので参考にご覧ください。
▼Amazon内
配信面 |
トップページ |
検索結果ページ |
商品詳細ページ |
タイムセールページ |
レビュー一覧ページ |
決済完了ページ |
オーダーページ |
▼Amazon外
配信面 | Amazon Publisher Services (APS) | Google Ad Exchange |
特徴 | 広告を出稿してもらって収益を得たいメディア側が活用するサービス | Googleのディスプレイ広告と同じ広告枠に配信可能なプラットフォーム |
メリット | ・APSを利用するメディアのサイトやアプリに広告を配信可能 ・Amazonの豊富なデータを活用 ・APSが提供する広告最適化の利点を組み合わせ可能 ・より効果的な広告キャンペーンを実施可能 | Amazonのデータを活用しながら広告配信が可能 ・Googleと連携しているwebサイトなどに広告を配信可能 ・Googleの広範なネットワークを活用できる |
Amazon DSPのメリット
Amazon DSPを活用するメリットは以下4つが挙げられます。
- Amazonのデータをターゲティングに活用できる
- Amazon外のプラットフォームにも広告を配信できる
- Amazonに出品していなくても配信できる
- リターゲティングの精度が高い
順に解説します。
1.Amazonのデータをターゲティングに活用できる
Amazon DSPを利用するメリットは、Amazon保有のオーディエンスデータ(ユーザーの購買や閲覧などの幅広いデータ)を広告配信のターゲティングに活用できる点です。
Amazon DSPでオーディエンスデータを活用できれば、購入意欲の高いユーザーにアプローチしやすくなるため、効果的に売上向上につなげることができます。
なお、オーディエンスデータは2種類あり、特徴やメリットは以下のとおりです。
オーディエンス種類 | Amazon Core Audiences | Advertiser Audience |
特徴 | Amazonの閲覧、購買、アクセスデータをセグメントに活用できる | 自社で保有するデータを元にターゲティングできる |
メリット | ・Amazonの豊富なユーザーデータを利用できる ・精度の高いターゲティングが可能 | ・自社データの活用が可能 ・Amazonデータとの掛け合わせも可能 ・カスタマイズされたターゲティングが実現できる |
自社で保有するユーザーデータとオーディエンスデータとの掛け合わせで、より精度の高いターゲティングを行い、広告運用の最適化を目指しましょう。
2.Amazon外のプラットフォームにも広告を配信できる
Amazon DSPは、Amazon以外のプラットフォームにも広告を配信できます。
たとえば、Amazonオリジナルの「Prime Video」や「Amazon Freevee」などの広告スペースや、Amazonの提携Webサイトなど、Amazon外部にも広告が配信できる点もメリットと言えるでしょう。
また、SD広告と異なり静止画のバナー広告も配信できるため、工夫次第ではより多くのユーザーに自社のブランドや商品をアピールできます。
3.Amazonに出品していなくても配信できる
Amazon DSPは、Amazonで出品していなくても配信が可能です。
自社サイトのみで販売している商品でもAmazonDPSを活用してビックデータを使ったターゲティングができる点はメリットと言えます。
ただし、カート機能があり決済ができるECサイトを遷移先にできない点には注意が必要です。利用者が多いAmazonのユーザーに対し、外部の自社サイトへ誘導して認知を広げたいという企業にはおすすめの機能です。
4.リターゲティングの精度が高い
Amazon DSPはリターゲティングの精度も優れています。
たとえば、「特定の商品ページに訪れたが購入に至らなかったユーザー」など細かなセグメントを設定して、Amazon内外に広告を配信できます。
そのため、潜在層に積極的な露出を図りつつ、未購入で離脱したユーザーへの再訴求を行って、取りこぼしを減らす戦略がとれるため、中長期的な売上拡大を目指す企業にはメリットと言えるでしょう。
Amazon DSPにかかる費用
Amazon DSPは「インプレッション課金型」の広告で、広告が1,000回表示されるごとに費用が発生する仕組みです。
Amazon DSPの最低出稿料は、Amazonへ直接依頼する場合と、代理店へ依頼する場合で異なります。
それぞれの費用は以下のとおりです。
依頼先 | Amazon | 代理店 |
最低出稿料 | 300万円〜 | 50万円〜(代理店によって異なる) |
運用手数料 | なし | おおよそ出稿料の10~20%の手数料 |
Amazonへ依頼する場合の最低出稿料は300万円からと決まっていますが、代理店へ依頼する場合は出稿料に運用手数料がプラスされます。
運用手数料の計算方法は、サービス範囲によっても異なるため、最低出稿料は同額でも運用手数料に違いがあります。
そのため、複数の代理店へトータル費用の見積もりを依頼して比較するのがおすすめです。
Amazon DSPの注意点
Amazon DSPを利用する場合、ROAS(広告費用対効果)が悪くなりやすいため注意が必要です。
Amazon DSPは主に、Amazon外の潜在層への広告アプローチとリピーター獲得を狙った広告です。
そのため、比較的購買意欲が低いユーザー層に届きやすく、広告がクリックされても購入に至らないケースが多い傾向になるため、結果としてROASが悪くなりやすい広告です。
そのため、Amazon DSPを利用する際は、中長期的な顕在層の増加を目指す広告と割り切って運用しましょう。
Amazon広告の運用のポイント
ここまでに、Amazonで利用できる4種類の広告について解説しました。
ここからは、それぞれの広告を効果的に運用するポイントを以下3つ解説します。
- 広告の予算配分を意識する
- キーワードごとに面を取る
- 商品ページを最適化する
順に解説します。
広告の予算配分を意識する
ひとつ目のポイントは、広告の予算配分を意識することです。
はじめて広告運用をする場合に広告ごとの予算配分を判断できない場合は、以下の配分にすることをおすすめします。
広告の種類 | 予算配分 |
スポンサープロダクト広告(SP) | 70% |
スポンサーブランド広告(SB) | 20% |
スポンサーディスプレイ広告(SD) | 10% |
SP広告の予算配分が多いのは以下の理由からです。
- 検索上位に表示されやすい
- 広告がクリックされやすい
- もともとの露出枠が多い
一方で、SD広告はAmazon外に広告を出すことも可能ですが、クリック率を比較するとSP広告の1/10〜1/100にまで減るため、予算の消化が少なくなる傾向です。
また、SB広告はクリエイティブなスキルが必要で出稿のハードルが高いということや、SP広告と表示位置が重複する場合もあるため、SP広告の半分以下の配分で構わないでしょう。
なお、いきなり3種類の広告を運用するのはハードルが高いと感じる場合は、SP広告から出稿してみるのがおすすめです。
キーワードごとに面を取る
2つ目のポイントは、商品キーワードの細かな設定をすることです。
たとえば、以下のポイントでキーワードごとに検索結果表示の分析をしてみましょう。
- どのキーワードで広告を出すか?
- 競合はどのようなキーワードで広告を出しているか?
- 該当商品に対し、どのようなキーワードでどの順位が取れているか
分析の結果をみると、キーワードによってSP、SB、SDそれぞれの広告で表示されているか、検索結果の傾向を確認できます。
そのため、効果が高いキーワードを見極めて広告を出稿してみたり、反対に効果の低いキーワードに対する広告は予算を調整したりしましょう。
商品ページを最適化する
3つ目のポイントは、商品ページの最適化です。
Amazonのユーザーは商品ページをじっくり見て購入を検討するユーザーが少ない傾向にあるため、商品ページが煩雑だと離脱されてしまう可能性が高くなります。
広告の活用でアクセス数が増えても購入されなければ意味がないので、以下の項目を参考に商品ページを見直しましょう。
- 商品名
- 商品画像
- 商品の箇条書き
商品詳細ページを最適化して、商品の魅力をわかりやすく伝えるのも重要なポイントです。
予算別の成果が出るAmazon広告手法を紹介
ここまで4つの広告手法を解説しましたが、月間の広告予算によって最適な運用手法は異なります。以下では、売上向上を目的とした場合の広告運用手法を、広告予算別で解説します。
月間広告費50万円以下
予算をすべてスポンサープロダクト広告に投下して運用します。
特に商材が高単価商品の場合は、購入検討期間が長くなる傾向がありますが、スポンサープロダクト広告はクリック課金型のため、無駄なコストを抑えつつ、購入意欲の高いユーザーにアプローチできます。
そのため、比較的費用対効果を重視した運用が可能です。
月間広告費50万円〜100万円
引き続きスポンサープロダクト広告を運用しながら、スポンサーブランド広告を組み合わせることで、さらなる売上向上が見込めます。
予算配分の例
スポンサープロダクト広告: 70%
スポンサーブランド広告: 30%
特に、高単価商品の場合、「ブランドの信頼感」が購入の決め手になることが多いため、ブランドストアに誘導して世界観を強調したり、商品の関連アイテム(例: 保証プランやアクセサリー)をセットで訴求することが効果的です。
予算100万円以上の場合
これまでの広告を活用するのはもちろんのこと、スポンサーディスプレイ広告やAmazon DSPを併用することで、顧客接点をより増やす戦略が有効です。
予算配分の例
スポンサープロダクト広告: 50%
スポンサーブランド広告: 20%
スポンサーディスプレイ広告: 15%
Amazon DSP: 15%
スポンサーディスプレイ広告では、商品を閲覧したユーザーや関連商品を購入したユーザーに広告を配信します。
また、Amazon DSPでは高所得層などの新規見込み顧客にアプローチすることで、より効果的な運用が期待できます。
【成功事例】Amazon広告運用で月商が2.5倍に成長したヘアケアブランド
本事例は、広告運用だけでなく、店舗全体を支援した結果、Amazonでの売上や広告効果が大幅に改善したケースです。広告運用を中心としながらも、商品の訴求力や顧客体験の向上に注力することで、大きな成果を上げました。
カテゴリー:ヘアケア
支援前の状況
Amazonに出店し、月商はおよそ1000万円でしたが、成長が頭打ちになっていました。
支援後の状況
支援後1年間で月商は最大2500万円に拡大。主要キーワードでの検索順位で1位を獲得し、広告効果も大幅に向上しました。
実施した施策
1. 商品名・商品情報のキーワード精査と広告キャンペーンの最適化
商品名および商品情報のキーワード精査を実施し、検索上位を狙う対策を強化しました。
スポンサープロダクト広告キャンペーンをブランドごとに整理し、規則性のない運用を改善しました。無駄なコストを削減するため、部分一致のみで設定されていたキーワードに加え、完全一致のキーワードも追加しました。
2. 定期購入の促進
初回購入のハードルを下げるために、10%OFFクーポンを発行しました。
また、定期購入の引き上げ率を受注データを基に分析し、1年で定期購入の割合を40%から60%に引き上げました。
3. サムネイルのABテストと転売価格の管理
特定のASINでサムネイルのABテストを実施し、CTR(クリック率)を2.3%から4.1%まで改善しました。転売ヤーの価格をデイリーで定点観測し、都度適切な価格変更を実施した結果、買い物かごの確保率が向上し、売上の増加に貢献しました。
成果のまとめ
今回の事例では、広告運用の改善に加え、商品情報の見直しや定期購入の促進など、店舗全体を包括的に支援することで、月商を2.5倍に成長させることができました。これにより、Amazon内での競争力を大幅に向上させただけでなく、長期的な収益基盤の強化にも成功しています。
まとめ|Amazon広告を活用して売上を最大化しよう
Amazon運営で利用できる広告は4種類あり、売上を伸ばすためには欠かせない施策のひとつです。
それぞれの広告をうまく組み合わせて、認知度の向上やリピーターを獲得し、中長期的な売上拡大を目指しましょう。
しかし、
「広告の種類が多く、設定が複雑で活用できるか不安」
「自社にはどの広告が合っているのかわからない」
と悩む方は、ぜひお気軽にジャグーにご相談ください。
ジャグー株式会社では、ECモールの豊富な経験と実績をもつコンサルタントが専門的なサポートを行っています。
Amazon広告だけでなく、Amazon運営全体の売上改善や社内運用の仕組み化など、戦略から販売までを一気通貫したEC支援をご提供します。
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