Amazonで売上を伸ばすためには、広告運用が必須です。
特に売上に直結する「流入数」を増やすには、細かい調整と継続的な運用をしていかなければなりません。
しかし、Amazonの広告は種類や仕組みが分かりづらく成果をあげるのは難しいのでは、と感じている担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事ではAmazonの広告運用について、各広告ごとの運用方法や広告運用で成果を上げるためのポイントを解説します。
Amazonの広告運用支援実績が多数のジャグー株式会社だからこそ紹介できる運用のポイントや成功事例も解説しているので、ぜひ最後まで読んでAmazonでの売上アップに役立ててみてください。
監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
2015年に楽天入社後ECコンサルティング部に所属
作業やアドバイスではなく実行支援の重要性を感じ2020年にEC支援会社のジャグーを創業。
支援企業の中でSOY受賞経験は9店舗。
目次
Amazon広告運用が重要な理由
Amazonで広告運用が重要な理由は、広告を通じて、より多くのAmazonユーザーへ商品を認知してもらえるためです。
Amazonは、他のECモールと異なり「出品形式」のため参入障壁が低く、競合や出品数が多い傾向にあります。
いかに魅力的な商品でもAmazonに出品しただけでは多くの商品に埋もれてしまい、ユーザーに見つけてもらいにくくなります。
そのため、Amazonで売上を向上させるには、効果的に広告を運用して商品の認知を獲得することが重要なのです。
Amazon広告の特徴
Amazon広告の特徴は主に以下2つです。
- Amazonで売れるサイクルに乗りやすくなる
- 広告レポートで詳細に分析や改善ができる
Amazonで売上を伸ばすには、商品を多くのAmazonユーザーに認知してもらう必要があります。そのためには、Amazon広告の特徴をしっかり把握して運用しましょう。
Amazonで売れるサイクルに乗りやすくなる
Amazonで広告を効果的に運用すれば、Amazonのアルゴリズムを攻略して売れるサイクルに乗りやすくなる特徴があります。
Amazonで売上を伸ばすためには「A10」という独自のアルゴリズムを攻略することが重要です。
A10では、以下の要素を考慮して検索結果の順位を決定していると言われています。
- 販売件数
- レビュー
- 顧客対応
- CVR
- 納期
Amazonの出品初期は販売実績や評価がないため、上記の要素で競合を上回ることは困難です。
しかし、効果的に広告を運用すれば出品した商品が検索結果の上位に表示されやすくなり、多くのユーザーに認知されることで販売実績や評価を増やせます。
これにより「A10」の決定要素に良い影響を与え、自然検索の順位が向上し、迅速に売れるサイクルに乗せやすくなるのです。
広告レポートで詳細に分析や改善ができる
Amazonの広告ではレポートを確認し、分析や改善に活用できます。
Amazonの広告レポートでは、パフォーマンスを詳細に追跡するために主に次の項目で指標を確認できます。
- クリック数
- 表示回数
- 費用
- 売上
上記の指標を分析することで広告キャンペーンの成果を具体的に把握できるでしょう。
また、広告レポートはAmazon広告をはじめたばかりの初心者にも使いやすい仕様となっています。
そのため、Amazonの広告運用経験が少ない人でも継続的な広告の運用により蓄積した販売データの分析や改善が繰り返しやすく成果を高めやすいと言えるでしょう。
Amazon広告の種類
Amazon広告には主に以下4つの種類があります。
- スポンサープロダクト広告(内部向け)
- スポンサーブランド広告(内部向け)
- スポンサーディスプレイ広告(内外部向け/2023年1月より外部にも配信可能になっている)
- Amazon DSP(内外部向け)
以下の表でそれぞれの広告の特徴や活用法についてまとめていますので、ぜひご確認ください。
種類 | 課金方式 | 掲載面 | おすすめの活用法 |
スポンサープロダクト広告 | クリック課金 | ・検索結果ページの広告枠 ・商品ページ内の下部にある広告枠 | ・Amazon広告をはじめて運用する場合 ・手軽に商品をPRしたい場合 ・出品初期で予算が限られている場合 |
スポンサーブランド広告 | クリック課金/インプレッション課金 | Amazon 検索結果 | ・ブランドの認知を広げたい場合 ・動画広告などを作成するクリエイティブスキルがある場合 |
スポンサーディスプレイ広告 | クリック課金/インプレッション課金 | Amazon 内外 | ・Amazon内外に広告を出稿して潜在層まで商品をPRしたい場合 ・リターゲティング機能で顕在層に対し繰り返し広告を配信したい場合 |
Amazon DSP | 形式と掲載枠によって異なる | Amazon 内外 | ・Amazonが有するビックデータを活用した詳細なターゲティングを行いたい場合 ・Amazonに出品していない企業がAmazonユーザーへ商品をPRしたい場合 |
なお、Amazonで活用できる広告ついて、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧いただくとより理解が深まるでしょう。
関連記事:Amazon広告運用の決定版!初心者でもわかる4つの配信手法や概要・運用ポイントを徹底解説!
Amazon広告運用のよくある課題を解決
ここではAmazon広告の運用において「よくある課題の解決方法」を全部で9つ解説しています。
Amazon広告をはじめて運用する方にも、すでに運用を開始している方にも参考になる項目を挙げていますので、ぜひご確認ください。
なお、以下の表によくある課題とその解決策の概要をまとめています。気になる項目を見つけたら詳細な解説もあわせてご確認ください。
課題 | 解決策の概要 |
1.広告クリック数は多いがコンバージョンが少ない | ・購買意欲が高い顧客に絞る ・ターゲティング方法を「手動」に切り替える ・過去のCVRデータを確認し購入に至るキーワードを特定する ・商品画像、タイトルを見直しレビューを増やす ・ベネフィットを強調し購入のハードルを下げる ・広告の内容と商品ページの内容が一致させる |
2.広告が表示されず広告クリック数が少ない | ・適切なCPCを確認し、競争力のある入札額を調整する ・入札額を必要最低限以上にする ・キーワード選定を見直す ・「フレーズ一致」や「部分一致」を試す |
3.CPAが高くROASが合わない | ・CPAが高いキーワードを除外する ・バンドル提案やおすすめ機能を活用する ・高い成果を出す広告やキャンペーンに予算を集中させる |
4.広告データからどのように改善点を見つければいいか分からない | ・主要な指標(ACOS、CPC、CTR、CVR)を観察し、Amazon広告レポートで改善点を見つける |
5.Amazon広告運用の数値目標の設定方法がわからない | ・販売データからROASを算出して目標設定する ・商品価格帯ごとのCVRの目安を参考にする |
6.適切なキーワードを見つけられない | ・ブランド分析の機能である「検索クエリパフォーマンス」を使用してキーワード調査をする |
7.価格競争に巻き込まれる | ・商品ページで独自性や差別化ポイントを明確にする |
8.最も効果が期待できるスポンサープロダクト広告が実施できない | ・カートを獲得するための、検索上位表示(SEO)対策や商品ページの作りこみなどの商品出品の基礎を整える |
9.広告メニューを多用しているため十分な予算が割けない | ・費用対効果が高いキャンペーンや商品、キーワードに予算を集中させる ・高パフォーマンスの広告に予算を集中させる ・複数ある広告の優先度を明確して運用する |
次から、各課題について詳しく解説していきます。
1.広告クリック数は多いが、コンバージョンが少ない
ひとつ目のよくある課題は「広告クリック数は多いものの、コンバージョンが少ない」という課題です。
主な原因は以下の2つが考えられます。
- 広告が不適切なターゲットに配信されている
- 商品ページが魅力的でない、または購入を促す内容になっていない
原因に対する解決策の例は以下のとおりです。
原因 | 解決策の例 |
広告が不適切なターゲットに配信されている | ・広告のターゲット層を再確認し、購買意欲が高い顧客に絞る ・自動ターゲティングから手動ターゲティングへの切り替えを検討する ・過去のコンバージョンデータを活用し、購入に至るキーワードを特定する |
商品ページが魅力的でない、または購入を促す内容になっていない | ・商品画像、タイトル、説明文を見直し、カスタマーレビューを増やす ・ベネフィットを強調し、購入のハードルを下げる ・広告の内容と商品ページの内容が一致しているか確認する |
広告がクリックされているため、商品の魅力自体はユーザーに伝わっている可能性が高いでしょう。しかし、購買意欲が高いユーザーに広告が配信できていないこと、もしくは商品ページが充実しておらず転換率が低い可能性が考えられるため、Amazonで商品を購入するユーザーの目線で改善点を検討し、課題を解決していきましょう。
2.広告が表示されず広告クリック数が少ない
2つ目のよくある課題は「広告が表示されないため、広告クリック数が少ない」という課題です。
この課題の主な原因は次の2つが考えられます。
- 入札額が低すぎる
- キーワードの選定が不適切である可能性がある
上記原因に対する解決策の例は以下のとおりです。
原因 | 解決策の例 |
入札額が低すぎる | ・適切なクリック単価(CPC)を確認し、競争力のある入札額を調整する ・オークションで上位に表示されるために入札額を必要最低限以上にする |
キーワードの選定が不適切である可能性がある | ・キーワード選定を見直す ・広くターゲットする「フレーズ一致」や「部分一致」を試す |
Amazon広告の運用初期は入札額の感覚が分からなかったり、キーワード選定をするためのデータが不足していたりするため、効果検証を行いながら少しずつ改善していきましょう。
3.CPAが高く、ROASが合わない
3つ目のよくある課題は「CPA(顧客獲得単価)が高く、ROAS(広告費用対効果)が合わない」という課題です。
この課題の主な原因は次の2つが考えられます。
- 無駄なクリックが多い
- 広告費が効果的に使われていない
CPAは、1件のコンバージョン獲得にかかった広告費のことです。
CPA=広告費用÷コンバージョン数
なお、原因に対する解決策の例は以下のとおりです。
原因 | 解決策の例 |
無駄なクリックが多い | ・クリックが多くされており、かつCVが生まれていないキーワードを停止する ・CPAが高いキーワードを停止する |
広告費が効果的に使われていない可能性がある | ・同じ顧客に複数商品を購入させるためのバンドル提案やおすすめ機能を活用する(クロスセルの強化) ・高い成果を上げている広告キャンペーンに予算を集中させる |
CPAが高い場合は広告費がかかりすぎているため、広告費の支出先を見直す必要があります。そのためにもCPAが高く、CVR(コンバージョン率)の低いキーワードを見直したり、広告費を効果的に活用するための施策を強化したりすることが重要です。
4.広告データからどのように改善点を見つければいいかわからない
4つ目のよくある課題は「広告データの分析方法や改善点の見つけ方のノウハウがない」ことです。
この課題に対しては、次の手順で対策しましょう。
- 主要な指標を観察する
- Amazon広告レポートを活用して最適化する
ここで観察すべき主要な指標とは以下の項目です。
観察すべき指標 |
・ACOS(広告コスト売上比率) ・CPA(CV獲得単価) ・CPC(クリック単価) ・CTR(クリック率) ・CVR(コンバージョン率) |
上記の主要項目がチェックできたらAmazon広告レポートからキーワード別のパフォーマンスも確認します。
そして、CTR(クリック率)は多いものの、CVR(コンバージョン率)が少ないキーワードを探して狙ったターゲットに合わせて最適化しましょう。
5.Amazon広告運用の数値目標の設定方法がわからない
5つ目のよくある課題は「Amazon広告運用における数値目標の設定方法がわからない」ことです。
この課題の解決策は次の2つがあり、自社の販売データから設定する方法がおすすめです。
- 自社の販売データからROAS(広告費用対効果)を算出する
- 商品価格帯ごとのCVR(コンバージョン率)の目安を参考にする
過去の販売データをもとに目標を設定する際は、まずはROASを算出します。
ROASとは「広告の費用対効果」のことで、以下の計算式で求められます。
ROAS=売上高÷広告費×100(%)
たとえば、10,000円の商品を広告費5,000円で販売できた場合のROASは、200%となります。
上記計算式をもとに、過去に販売した商品の平均ROAS値を計算し、算出した結果を基準に数値目標を定めましょう。
仮に、今年度に販売した商品の平均のROAS値が200%であった場合は、来年度は250%を目指すようなイメージです。
また、過去の販売データがなくROASが求められない場合は、以下の価格帯ごとのCVR(コンバージョン率)を参考に数値目標を設定しましょう。
価格帯 | CVR(コンバージョン率)の目安 |
2,000円~5,000円 | 4~7% |
5,000円~10,000円 | 2~4% |
10,000円~20,000円 | 1~2% |
20,000円以上 | 1%未満 |
上記のとおり価格が高くなるほどCVRは低下しやすくなります。
そのため、リピート購入を狙って低価格の商品で広告を活用する、または狙ったターゲットに対して特定のキーワードで広告を配信し、高価格帯の商品購入を促すなど、自社の販売戦略に合わせて設定した数値目標を達成できるよう対策を行いましょう。
6.適切なキーワードを見つけられない
6つ目のよくある課題は「適切なキーワードを見つけられない」ことです。
この課題に対する解決策としては、Amazonブランド登録をしている出品者が利用できるAmazonブランド分析の機能のひとつである「検索クエリ」を使用して、商品のキーワードを確認する方法が有効です。
Amazonブランド登録をしている店舗では、Amazonセラーセントラル内にある「ブランド分析」から「検索クエリパフォーマンス」を確認できます。
検索クエリパフォーマンスでは、自社商品だけでなく競合商品に対しても、ユーザーが検索するキーワードのCVR(コンバージョン率)やCTR(クリック率)を確認できます。
そのため、広告を運用する際は商品に対する適切なキーワードを「検索クエリ」をチェックしながら設定してみましょう。
7.価格競争に巻き込まれる
7つ目のよくある課題は「価格競争に巻き込まれやすい」ことです。
この課題に対しては、商品ページで独自性や差別化ポイントを明確にすることが解決策となります。
Amazonは参入しやすいECモールですが、同じ商品で出品者が複数いる状態、いわゆる「相乗り出品」が発生しやすく、価格競争に巻き込まれるデメリットがあります。
また、出品する商品をブランド登録していない出品者は、店舗ページで独自性が出せない点も考慮する必要があります。
そのため、商品ページ内で独自性を出すためには商品力を強調したり、差別化ポイントを明確にしたりすることで価格競争に巻き込まれにくくなるでしょう。
なお、強調表現や差別化ポイントは以下の例を参考に設定してみてください。
強調表現 | 差別化ポイント |
・高品質素材 ・特許技術 ・保証サービス | ・セット販売 ・クーポン ・レビュー特典 ・価格以上の価値を提供する |
8.最も効果が期待できるスポンサープロダクト広告が実施できない
8つ目のよくある課題は「スポンサープロダクト広告を活用できない」ことです。
広告運用で最も効果が期待できるのは、スポンサープロダクト広告の活用です。
ただし、スポンサープロダクト広告を活用するためには、以下の2つの条件をクリアしている必要があります。
- 大口出品プランを利用している
- 広告を配信したい商品がカートを獲得できている
大口出品プランは月額料金を支払えば達成できますが、カートの獲得をするための対策が必要です。
カートを獲得するためには、検索上位表示(SEO)対策や、商品ページの作りこみなど、Amazon広告以前に、商品出品の基礎をしっかりと整えましょう。
9.広告メニューを多用しているため十分な予算が割けない
最後に、9つ目のよくある課題は「複数の広告メニューやキャンペーンを実施している影響で十分な予算が使えていない」ことです。
この課題に対する解決策はシンプルですが、次の3つが有効な手段です。
広告に使う予算を確保するための解決策の例 |
費用対効果が良いキャンペーン、または商品やキーワードに予算を集中させる複数の広告メニューを実施している場合は、高いパフォーマンスの広告に予算を投下できるよう他の広告メニューの予算を削減する複数の広告を実施する場合は優先度を明確して運用する |
広告のパフォーマンスや、キャンペーンの分析には、Amazonセラーセントラルの各種レポートを確認して判断しましょう。
【成果をあげる】Amazon広告運用5つのポイント
ここからは、Amazon広告の運用で具体的に成果をあげるための重要ポイントを次の5つに分けて解説します。
- 商品ページを整える
- スポンサープロダクト広告から運用を始める
- ターゲットキーワードの更新をこまめに行う
- セールや季節イベントに合わせて入札額を調整する
- 徐々にブランド認知獲得や売上シェア獲得を目指す
順に解説します。
1.商品ページを整える
画像出典元:Amazon
商品ページを整えるためには、以下の3つの要素が重要です。
- 商品名
- 商品画像
- 商品説明
いかに広告がクリックされても、商品ページが充実していないとユーザーにとって購入の決め手が欠けてしまいCVR(購入率)が下がる原因となります。
商品ページを整えるには、上記3要素に加え以下の点にも留意して設定しましょう。
商品名 | 商品画像 | 商品説明 |
・ブランド名を入れる ・検索キーワードを入れる ・スペック情報を入れる ・型番やサイズ、色を漏れなく入れる ・商品名は簡潔明瞭にする | ・メイン画像は広告のアイキャッチとなるため商品の特徴がわかりやすく目立つ画像にする ・サブ画像を複数枚用意して、使用後のイメージを与える | ・「この商品について」と「商品の情報(※)」の特徴を捉えて情報をまとめる ・「この商品について」は5〜10つ箇条書きで商品の特徴を説明する ・「商品の情報」は表にスペックをしっかりと網羅してまとめる |
▼商品の情報
画像出典元:Amazon
2.スポンサープロダクト広告から運用を始める
広告初期はスポンサープロダクト広告の運用から始めるのが成果をあげるポイントのひとつです。
なぜなら、スポンサープロダクト広告は低予算で始められるクリック課金型(PPC)の広告で設定方法も簡単なため、広告運用初心者でも売上アップを目指しやすいからです。
ただし、スポンサープロダクト広告の活用には、以下の条件を満たす必要がある点を把握しておきましょう。
- 新品の商品を出品していること
- 「カートに入れる」ボタンを獲得していること
- 日本国内すべてに発送できること
また、スポンサープロダクト広告の運用の進め方は、本記事の「Amazon広告の運用の進め方」で後述しますので、ぜひ最後までご覧ください。
3.ターゲットキーワードの更新をこまめに行う
Amazon広告の運用で成果をあげるためには、最新のトレンドやニーズに合わせてターゲットキーワードの見直しをこまめに行うことが重要です。
キーワードの見直しをせずに広告を運用していると、ニーズの変化に対応できずにユーザーが求める商品ページに誘導できなくなり離脱につながってしまいます。
そのため、キーワードの更新をこまめに行い、CVRの低いキーワードは除外したり、入札単価を引き下げたりすることで、ニーズに合わないユーザーに対し広告は配信しないようにしましょう。
なお、狙ったターゲットにピンポイントで広告を配信してCVRやROASの向上を狙うには、手動ターゲティングがおすすめです。
しかし、運用初期でノウハウが不足している、または手動設定できるほど販売データが蓄積していない際は「オートターゲティング」や「推奨ターゲティング」を活用してみましょう。
この2つのターゲティング方法は、Amazonのアルゴリズムを利用した最新のキーワードを見つけられるので、運用初期時点でキーワードを見直す際におすすめの設定と言えるでしょう。
4.セールや季節イベントに合わせて入札額を調整する
セール期間や季節イベントに合わせて、広告予算や入札額を調整することも重要なポイントです。
たとえば、AmazonプライムデーやブラックフライデーなどのAmazon独自で開催するイベントや、クリスマスや母の日などの季節イベント時には、Amazonへのアクセス数が増えるため、予算や入札額を上げる必要があります。
なぜなら、競合もアクセスが集まるタイミングで広告の露出を増やすために広告の入札額を上げるからです。
なお、セールやイベント時はもちろんですが運用レポートを日々確認・分析し、入札額を細かく調整するのがおすすめです。
5.徐々にブランド認知獲得や売上シェア獲得を目指す
ブランド登録した商品の売上が向上し、広告費を拡大できるタイミングで「スポンサーブランド広告」を活用し、売上シェアの獲得を目指すのもAmazon広告運用では重要なポイントです。
スポンサーブランド広告は、検索ページのトップに表示され目立ちやすく、広告の遷移先をAmazon内の自社ストアページに設定が可能なため、他の商品も認知してもらいやすくなります。
▼スポンサーブランド広告表示位置
画像出典元:Amazon
また、画像や動画を使った広告の他、キャッチコピーなども配信できるため、商品だけでなくブランドの認知度の向上を狙いやすくなります。
自社ブランドの認知度が高まればリピート購入やファン化などにもつながるため、さらなる売上アップも期待できるでしょう。
Amazon広告の運用の進め方
実際にAmazon広告の運用はどのように進めれば良いのでしょうか。
ここからは、以下の代表的な3つの広告運用の進め方について解説します。
- スポンサープロダクト広告
- スポンサーブランド広告
- スポンサーディスプレイ広告
大まかな運用の流れとしては、以下の3つに分けられます。
- Amazonアカウントを作成する
- Amazonへの出品申請、商品登録を行う
- 広告設定を行う
また、ベンダー(※1)かセラー(※2)によって広告の出稿方法が異なるため、確認しておきましょう。なお、ここでは「セラーアカウントの出品者」が広告を運用する方法を解説していきます。
次から、広告別の運用の進め方について順に解説いたします。
※1:ベンダーとは、Amazonに商品を卸している「卸業者」のこと
※2:セラーとは、Amazonに出品している「小売業者」のこと
スポンサープロダクト広告の運用の進め方
まずはじめに「スポンサープロダクト広告」の運用の進め方について、以下4つの手順で解説します。
- キャンペーンを作成する
- ターゲティング方法を選ぶ
- 入札方法を選択する
- 広告グループを作成し商品を選ぶ
順に解説します。
1.キャンペーンを作成する
まずは、キャンペーンの作成です。
Amazonセラーセントラルで以下の操作を行い新しいキャンペーンを作成しましょう。
1. Amazonセラーセントラルにログイン
2. 「広告」を選択
3. 「広告キャンペーンマネージャー」をクリック
4. Amazon広告のキャンペーン管理画面から「新しいキャンペーン」をクリック
5. 「スポンサープロダクト広告」をクリック
新しいキャンペーンが作成できたら、次の3つの項目を設定します。
- キャンペーン名
- 広告配信の開始日と終了日
- 1日の予算
なお、スポンサープロダクト広告では、キャンペーン終了日の設定は不要です。なぜなら、継続的に認知度を獲得する目的で配信するため、終了日は設定しないのがおすすめだからです。
スポンサープロダクト広告にかかる費用はおおよそ以下の表のとおりであり、入札額によって広告の表示頻度の変動はありますが、予算上限が自由に設定でき少額でも安心して継続できます。
項目 | 詳細 |
最低クリック単価 | 2円〜 |
クリック単価の平均 | 5〜10円 |
月間出稿料の平均 | 3万円〜(市場やカテゴリによって異なる) |
2.ターゲティング方法を選ぶ
次は、ターゲティング方法の選択です。
スポンサープロダクト広告のターゲティング方法は次の2種類から選べます。
- オートターゲティング
- マニュアルターゲティング
スポンサープロダクト広告では、オートターゲティングを利用してAmazonのアルゴリズムに任せる、またはマニュアルターゲティングで出品者が任意に設定するという違いがあります。
広告運用が初めての場合、ある程度広告運用のノウハウを取得するまでは、オートターゲティングを選択するのがおすすめです。
なお、それぞれの特徴やメリット・デメリットは以下のとおりです。
ターゲティング方法 | オートターゲティング | マニュアルターゲティング |
特徴 | ・Amazonが自動でキーワードを選択してくれる ・「広告グループ名」や「広告対象商品」、「入札額」は設定可能 ・商品詳細ページの情報(特に商品名)に関するキーワードが検索したユーザーに対し広告を表示する | ・「商品キーワード」や「マッチタイプ」、「入札額」などを細かく設定が可能 ・広告を配信したいキーワードを個別に設定が可能 |
メリット | ・出品者がキーワードを決める必要がない ・広告運用初期でもある程度の売上が期待できる ・広範囲に広告が表示される | ・狙ったキーワードを設定できる ・除外したいキーワードを設定できる |
デメリット | ・キーワードの効果測定ができない ・出品者が狙いたいキーワードで広告を表示できない ・購買意欲がないユーザーにも表示される可能性がある ・ROASが悪くなる場合がある | ・広告運用の知識やスキルが必要 ・効果測定を行わないとROASが悪くなる可能性がある |
3.入札方法を選択する
ターゲティング方法を選択したら、入札方法を選びましょう。
スポンサープロダクト広告の入札方法は以下の3種類です。
- 動的な入札(ダウンのみ)
- 動的な入札(アップとダウン)
- 固定額入札
少し複雑な設定ですが、基本的には効果的な広告費の運営につながりやすい「動的な入札(ダウンのみ)」にするのがおすすめです。
なお、それぞれの特徴や適している状況について、以下の表にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
入札方式 | 特徴 | 適している状況 |
動的な入札(ダウンのみ) | 設定した入札額より低い金額で入札できる場合に自動で入札額を下げてくれる入札設定 | 決められた予算内で効率的に広告運用したい場合 |
動的な入札(アップとダウン) | 設定した入札額より低い場合は、自動で入札額を下げるが、反対により高額な入札額になった場合は、自動で入札金額を増やす入札設定 | 広告費がアップ(値上がり)しても予算に余裕がある場合 |
固定額入札 | キャンペーン期間を通して一定の金額を用いる入札設定 | 広告費を変動させたくない場合 |
4.広告グループを作成し商品を選ぶ
最後に広告グループを作成して、グループ内に登録する商品を選びます。
広告グループは作成したキャンペーンにつき複数作れます。関連性のある商品に広告グループを分類して作成すれば、グループごとに運用結果を分析できるため便利です。
広告グループ名を設定する際は、分析しやすいようにわかりやすい名前にしておきましょう。なお、グループを分ける必要がないときは、キャンペーン名をそのまま広告グループ名に設定しても問題ありません。
スポンサーブランド広告の運用の進め方
次に「スポンサーブランド広告」を運用する方法について、以下4つの手順で解説します。
- 自社のブランドをAmazonに登録する
- キャンペーンと広告フォーマットを設定する
- クリエイティブを設定する
- ターゲティングを選ぶ
順に解説します。
1.自社のブランドをAmazonに登録する
スポンサーブランド広告を利用する前に必要なのが、Amazonブランド登録です。
Amazonブランド登録とは、Amazon上で独自ブランドの商品を販売できるサービスのことで、事前にブランド情報などを登録する必要があります。
Amazonブランド登録には広告利用の他に、以下のようなメリットがあります。
- 偽造品からブランドを守れる
- 自社ブランドの商品を一元管理できる
ただし、Amazonブランド登録を行うためには、商標登録されている商品でないとブランドの対象にできません。
商標登録には特許庁への申請が必要であり、申請してから登録までに半年〜1年程度時間がかかるため、広告を配信したい時期も含めて計画的に準備を進めておきましょう。
2.キャンペーンと広告フォーマットを設定する
Amazonブランド登録ができたらキャンペーンの作成と広告フォーマットの設定を行います。
スポンサーブランド広告のキャンペーンを選んだら、キャンペーン名や公開の開始日や終了日などの基本設定を行い、広告のフォーマットを選びましょう。
スポンサーブランド広告のフォーマットは、以下3つの種類から選べます。
- 商品コレクション広告フォーマット
- ストアスポットライト広告フォーマット
- スポンサーブランド動画広告フォーマット
なお、スポンサーブランド広告にかかるおおよその費用は、以下の表のとおりですが月間出稿料は最低100円から設定できるため、少ない予算でも運用できるのがメリットです。
項目 | 詳細 |
最低クリック単価 | 2円〜 |
クリック単価の平均 | 5〜10円 |
月間出稿料の平均(最低100円〜) | 3万円〜(市場やカテゴリによって異なる) |
Amazonブランド登録をしている場合は、自社商品を幅広いユーザーへリーチできるチャンスなので、商品の性質に適した広告フォーマットでぜひスポンサーブランド広告の運用をしてみましょう。
3.クリエイティブを設定する
キャンペーン情報の設定と広告フォーマットを選んだら、広告で配信する画像や動画などのクリエイティブの設定です。
スポンサーブランド広告に関するクリエイティブは以下の表示項目を設定します。
- ブランド名
- ロゴ
- 商品
- 見出し
- カスタム画像
このなかで、見出しやカスタム画像はAmazonのガイドラインにもとづいた設定が必要なため注意が必要です。
たとえば、複数のロゴを配置した画像や、広告と関連性のない見出し表現、虚偽の表記や誇張表現は禁止されているため、ガイドラインを順守した設定を行いましょう。
参考:スポンサー広告のガイドラインおよび承認ポリシー|Amazon
4.ターゲティングを選ぶ
次はターゲティングの設定です。
スポンサーブランド広告のターゲティングは以下の2種類があります。
- キーワードターゲティング
- 商品ターゲティング
それぞれのターゲティングの特徴やメリットは以下の表のとおりです。
ターゲティング方法 | キーワードターゲティング | 商品ターゲティング |
特徴 | ・特定のキーワードが検索された際に広告表示させる ・設定したキーワードの検索範囲は「部分一致」や「フレーズ一致」、「完全一致」から選べる | Amazonが推奨するカテゴリや商品に関連する検索結果や商品詳細ページに広告を表示させる |
メリット | ・上位表示を狙いたい検索キーワードを細かく設定できる ・認知度の向上や、CVR(コンバージョン率)の向上が狙いやすい | ・顕在層以外の広範囲に商品のリーチが可能 ・自社ブランドや商品の認知度向上を狙える ・広告運用の幅を広げやすい |
自社の戦略や商品の販売フェーズに適したターゲティング方法を選びましょう。
スポンサーディスプレイ広告の運用の進め方
次に「スポンサーディスプレイ広告」をどのように運用すれば良いか、以下6つの手順で進め方を解説します。
- キャンペーンと広告グループを作成する
- 入札方法を決める
- 広告フォーマットを選ぶ
- 広告に使う商品を選ぶ
- ターゲティングを選ぶ
- クリエイティブを設定する
順に解説します。
1.キャンペーンと広告グループを作成する
上記で解説した他2種の広告と同じくキャンペーン設定と広告グループの作成から始めます。
スポンサー広告のなかから、スポンサーディスプレイ広告のキャンペーンを選んだら、以下の情報を設定しましょう。
- キャンペーン名
- ポートフォリオ
- 開始日と終了日
- 1日の予算
なお、1日の予算には初期値が設定されているため、自社の予算に合わせて変更するのを忘れないようにしましょう。
キャンペーン設定後は、広告グループの設定です。スポンサープロダクト広告と同様に、キャンペーン1つあたりに複数の広告グループを作成できるため、関連商品をグループ化しておけば効果測定の際に便利です。
2.入札方法を決める
次は、入札方法の選択です。
入札方法は以下3種類から選べます。
- リーチに合わせた最適化(商品の認知度向上)
- ページの訪問数に合わせた最適化(CVアップ)
- コンバージョンに合わせた最適化(CVアップ)
それぞれの入札方法の目的や特徴は以下の表のとおりです。
入札方法 | リーチに合わせた最適化 | ページの訪問数に合わせた最適化 | コンバージョンに合わせた最適化 |
目的 | 商品認知度の向上 | 商品の検討率と商品詳細ページの閲覧数の促進 | 売上の増加 |
特徴 | ・ユーザーが興味をもつ商品の関連性が高い広告を配信する ・ユーザーが広告を視認する範囲が広い ・CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)が低め | ・CTR(クリック率)の向上が期待できる ・クリックする可能性が高いユーザーに広告を配信できる | ・顕在層のユーザーに広告を配信できる ・クロスセルやアップセルを狙える |
Amazonのスポンサー広告は3つの要素すべてを考慮する必要がありますが、自社で特に重視する内容を検討・判断して決めると良いでしょう。
3.広告フォーマットを選ぶ
入札方法を決めたら、広告フォーマットを選びましょう。
スポンサーディスプレイ広告のフォーマットは以下の2種類です。
- 画像
- 動画
画像を選択する場合は、商品のサムネイル画像が自動で選択されるため手間がかかりません。
カスタム画像や動画の場合は、自社で素材を作成する必要があり手間はかかりますが、独自の内容で商品の特徴を表現できるため、リソースがあれば積極的に利用してみましょう。
なお、Amazonではカスタム画像や動画の作成条件について、細かく規定を定めているため、「Amazon 広告キャンペーンマネージャー」から広告用の作成ガイドラインをご確認ください。
4.広告に使う商品を選ぶ
次はスポンサーディスプレイ広告で配信する商品の選定です。
広告で配信する商品の選択方法は以下の3種類があります。
- 検索
- リストを入力
- アップロード
なお、それぞれの操作方法や適している状況は以下のとおりです。
選択方法 | 検索 | リストを入力 | アップロード |
操作方法 | ASINまたはSKUで検索して1つずつ追加する | ASINリストをコピー&ペーストする | テンプレートを利用してASINリストをアップロードする |
適している状況 | 少数の商品を個別に追加する場合 | ある程度の数の商品を一度に追加する場合 | 大量の商品を効率的に追加する場合 |
広告を配信したい商品数に応じて、最適な方法を選びましょう。
5.ターゲティングを選ぶ
広告を配信する商品を選んだら、ターゲティング方法の選択です。
スポンサーディスプレイ広告のターゲティング方法は次の2種類があります。
- オーディエンスターゲティング
- コンテキストターゲティング
各ターゲティングの特徴やメリットは以下のとおりです。
ターゲティング方法 | オーディエンスターゲティング | コンテキストターゲティング |
特徴 | 特定の商品を閲覧・購入したユーザーに広告を配信する | 特定の商品やカテゴリに合わせて広告を配信する |
メリット | ・顕在層のユーザーに直接広告を配信できる ・リピート購入や関連商品の購入を促せる | ・関連商品へのクロスセルが可能 ・関連性の高いカテゴリを閲覧するユーザーへの露出が狙える ・商品やカテゴリに沿った広告を配信できる |
なお、オーディエンスターゲティングにはさらに以下の3種類から選択できます。
ターゲティング手法 | 説明 | アプローチ対象 |
Amazonオーディエンス | ライフスタイルや興味関心、ライフイベント、インマーケットなどからアプローチ | 特定の属性や行動パターンを持つユーザー |
閲覧リマーケティング | 選択した条件に合致する商品詳細ページを閲覧したユーザーにアプローチ | 特定の商品に興味を示したユーザー |
購入リマーケティング | 選択した条件に合致する商品を購入したユーザーにアプローチ | 特定の商品を実際に購入したユーザー |
6.クリエイティブを設定する
最後にクリエイティブの設定です。
任意の設定ですが配信したいロゴや見出し、画像などをある程度自由に設定が可能です。
スポンサーディスプレイ広告で配信したい商品を追加すると自動で広告の配信が開始されますが、画像などをカスタマイズしたい場合は個別で画像を入稿する必要があります。
本格的にAmazon広告を運用したい場合は代行会社に頼むのもおすすめ
これまでにAmazon広告の運用方法を網羅的に解説してきましたが、自社だけで広告を運用するのに不安がある場合や、本格的に広告運用をしたい場合は「Amazon広告運用代行会社」に依頼してみましょう。
広告運用の経験やノウハウが豊富な代行会社に依頼できれば、最短距離で成果を出せたり、代行して空いたリソースをコア業務にあてられたりするメリットがあります。
詳細は、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。
まとめ|Amazon広告をうまく活用して売上をアップさせよう!
Amazonで効率よく広告運用ができれば、売上アップにつながりやすくなります。なぜなら自社商品ページへの流入数が多くなれば、CVR(コンバージョン率)もあがり売上が伸ばしやすくなるからです。
本記事で紹介したよくある課題の解決策や成果をあげるポイントを参考に、Amazon広告を効果的に活用しましょう。
しかし、
「広告を配信するためのキーワードの設定や分析が難しい……」
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Amazon広告運用だけではなく、Amazon運営全体の売上改善や社内運用の仕組み化など、戦略から販売までを一気通貫したEC支援をご提供します。
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