楽天TDA広告は、楽天市場内に視認性の高いバナー広告を表示します。
楽天が保有する豊富な消費者データを活用することで、高精度なターゲティングができ、うまく活用すればアクセス数、CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)の向上も期待できます。
ただ、TDA広告について聞いたことがある方や内容をご存知の方は多いと思いますが、キャンペーンの具体的な作成方法や、他の広告とTDA広告をどのように使い分ければいいのかわからない方は多いと思います。
また、TDA広告を高いROAS(Return On Advertising Spend:広告費用対効果)を維持しながら運用するコツについて知りたい方も多いでしょう。
本記事では、TDA広告の概要や特徴、他広告との違いについて初心者でもわかるように詳しく解説します。
また、TDA広告運用における3つのコツや、目的別のユーザーセグメント方法について、楽天出身者が解説します。
楽天出身者だからこそ知っている運用のコツも紹介しているので、ぜひ最後まで読んでTDA広告運用に役立ててください。
監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
2015年に楽天入社後ECコンサルティング部に所属
作業やアドバイスではなく実行支援の重要性を感じ2020年にEC支援会社のジャグーを創業。
支援企業の中でSOY受賞経験は9店舗。
目次
TDA広告とは?
引用元:楽天市場公式
楽天TDA広告とは、ターゲティングディスプレイ広告(Targeting Display Advertisement)の略で、楽天市場が提供している広告サービスです。
楽天の豊富なデータを活用した上で、視認性の高いバナー広告を表示する、インプレッション課金型の広告です。
TDA広告は、2020年3月に開始された比較的新しい広告のため、今後運用成果に注目が集まるでしょう。また、ユーザーの行動データや購買履歴をもとに、高精度なターゲティングができるのがメリットで、うまく運用すれば購買意欲の高いユーザーにリーチでき、CVRの向上につながります。
バナー広告は目に留まりやすいため、商品やブランドイメージなどを伝えやすく、ユーザーの関心を惹きやすいのもメリットです。
楽天市場にはTDA広告以外にも豊富な広告メニューが用意されています。下記の記事でそれぞれの広告メニューについて解説していますので、合わせて確認してみてください。
関連記事:【2024年最新】初心者でもわかる楽天市場広告ガイド|元楽天ECCが徹底解説
TDA広告とRPP広告の違い
楽天市場でよく運用されている広告に、RPP広告(Rakuten Promotion Platform広告)があります。
どちらも運用型の広告で、それぞれに特徴があるため、自社に合った広告を選ぶようにしましょう。
TDA広告とRPP広告の違いは以下のとおりです。
特徴/項目 | TDA広告 | RPP広告 |
課金形態 | インプレッション課金制 (広告が表示ごとに課金) | クリック課金制 (広告がクリックごとに課金) |
掲載場所 | 楽天市場内の多様な箇所(検索結果画面、閲覧履歴画面、スマートフォンTOP画面、お気に入り画面、ランキング画面など) | 楽天市場の検索結果ページ ジャンルトップページ など |
運用タイミング | ブランド認知の拡大や視覚的訴求を目的とする場合 | 具体的な商品の販売促進や購買意欲の高いユーザへのターゲティング |
費用 | 1インプレッションあたり0.75〜10.00円 最低予算50,000円 | 最低月予算5,000円 クリック単価は設定による(クリック単価10円から) |
メリット | 高い視認性、広範囲にリーチ可能 | 無駄なコストを抑えやすい 検索意図にマッチした広告を配信可能 |
デメリット | 広告枠が取得しづらいことがある バナー作成や審査に時間がかかる | 成果をあげるには細かな設定が必要 |
代表的な使用シーン | イベント告知 新商品のプロモーション | 特定商品のプロモーション セールの告知 キャンペーン |
TDA広告は、ブランド認知の拡大や広範囲に視覚的に訴求したい場合に適しています。例えば、イベント告知や新商品のプロモーションに効果的です。
RPP広告は具体的な商品の販売促進や、購買意欲の高いユーザーをターゲットにする場合に適しています。
ユーザーが商品を検索しているタイミングで広告が表示されるため、コンバージョンにつながりやすいのも特徴です。
さらに、ユーザーの関心がありそうな自社商品のクーポンをおすすめ表示できる、クーポンアドバンス広告もあります。これは成果報酬型の広告で、クーポンを獲得した際に、もしくは利用した場合費用が発生する広告です。
RPP広告については下記の記事で詳細に解説していますので、合わせて確認してみてください。
関連記事:【2024年最新版】楽天RPP広告とは?設定方法や成果が出た運用のコツ9つを徹底解説
TDA広告の特徴と活用する3つのメリット
TDA広告の特徴は以下の3つです。どれも広告主にとって大きなメリットなので、特徴を把握し運用に活かしていきましょう。
順に解説します。
①楽天のデータを使用し高精度なターゲティングができる
TDA広告の最大の特徴は、楽天市場内の豊富なデータをもとに高精度なターゲティングが可能な点です。
楽天は膨大なユーザーデータを保有しており、ユーザーの購買履歴や閲覧履歴などを詳細に分析しています。そのため、ユーザーの興味・関心に合わせて最適な広告表示ができるのです。
たとえば、過去に特定のカテゴリの商品を頻繁に閲覧しているユーザーには、そのカテゴリの商品広告を重点的に表示できます。ユーザーの興味・関心に合った広告が表示されるため、CTR(Click Through Rate:クリック率)やCVRが向上しやすくなります。
また、高精度なターゲティングによってCVRが向上するため、無駄な広告費用を削減できるのもメリットです。効率の良い広告運用でROASも向上します。
②視認性の高いバナー広告を表示できる
広告主は自社で制作したバナーが使用でき、訴求したい商品やイベントを自由にバナーにデザインできます。そのため、ターゲットユーザーに対して視認性の高いビジュアル訴求が可能です。
バナー広告は楽天市場内のさまざまな箇所に掲載されるため、多くのユーザーの注目を集めるためにも適しています。
しかし、バナー広告の制作から配信には時間がかかるため、計画性が重要です。バナーのデザインから入稿、審査、再入稿、配信開始までの日程を確認し、しっかりと計画を練りましょう。
③掲載される箇所が多く目に留まりやすい
TDA広告は、楽天市場内のさまざまな箇所にバナーを表示できるため、多くのユーザーの目に留まりやすいです。主な掲載箇所は以下のとおりです。
掲載箇所 | 特徴 |
楽天市場トップページ | 全ユーザーの入口であり、広告の露出度が高い |
商品レビューページ | 購入検討中のユーザーにリーチでき、CVにつながりやすい |
イベント関連ページ | 楽天スーパーセールやお買い物マラソンなど注目度が高く、アクセス数が増加しやすい |
閲覧履歴ページ | 購入検討中の商品に類似していればクリックされやすい |
すべてのページに掲載が保証されるわけではありませんが、TDA広告を効果的に活用することで、多くのユーザーにリーチできます。リーチ数が向上すれば、ブランドや商品の認知度も向上するでしょう。
TDA広告で期待できる3つの効果
TDA広告の運用で期待できる効果は以下の3つです。
順に解説します。
①ブランド認知の拡大
TDA広告は楽天市場内の多様な場所にバナー広告を表示することができるため、多くのユーザーの目に留まります。
特に、楽天市場のトップページや商品レビューページ、イベント関連ページなど、ユーザーが頻繁に訪れる場所に広告を配置することで、自社のことを知らないユーザーにリーチでき、ブランドの認知度向上が図れます。
TDA広告は、ブランド認知の拡大が期待できるため、新規ユーザーを獲得したい場合に効果的です。特に、自社商品やブランドを知らないユーザーへの認知度を高めたいときは積極的に活用しましょう。
②ブランドイメージの訴求
TDA広告を使用すると、ブランドイメージをわかりやすく訴求できます。特に、ビジュアル面の工夫により、ブランドの魅力を直接的に伝えられるため、ユーザーへそれらの印象も残りやすいでしょう。
さまざまな企業が出店している楽天市場では、TDA広告でいかに目立つかが重要です。競合がどのようなバナー画像を作成しているかをリサーチし、自社広告のデザインを企画しましょう。
バナー作成は、自社商品のデザインやブランドカラーなど、伝えたい要素を入れつつも、情報量が多くなりすぎない工夫が必要です。
詳細は後述の「バナーデザインを工夫する」で説明します。
③高いROASでの顧客獲得
TDA広告の高精度なターゲティングを活用すれば、高いROASでの顧客獲得が可能です。
TDA広告は、楽天内の自社店舗に訪問したものの、購入に至らなかったユーザーに対して、リターゲティング広告を配信できます。
興味はあっても購入しなかったユーザーに対し、再度アプローチができるため、CVにつながりやすいメリットがあります。
また、最終購入日から一定期間過ぎてしまい、久しく商品を購入していない「休眠ユーザー」にも広告が表示され、再度購入に至る可能性もあります。
リターゲティングを行うには、ターゲティングとバナーデザインの調整が必要です。関心度の高いユーザーに対して購入を促す内容に調整すれば、高いROASで効率的に顧客を獲得できるでしょう。
TDA広告の設定方法3ステップ
TDA広告の設定方法は下記の3ステップで進めます。バナーの入稿や審査に時間がかかる場合があるため、計画的に進めましょう。
順に解説します。
①キャンペーンに申し込む
まず、TDA広告を利用するには、RMS(Rakuten Merchant Server)上からキャンペーンへの申し込みが必要です。キャンペーン枠は入札方式で、一店舗が同時に配信できるのは20キャンペーンまでです。計画的にキャンペーンを企画しましょう。
②キャンペーンを作成する
キャンペーンの申し込みが完了したら、次にキャンペーンを作成します。RMSの広告にある「ターゲティングディスプレイ広告」をクリックし、管理ページに移動しましょう。
キャンペーンの新規登録を行う場合、設定する項目は主に以下のとおりです。
- キャンペーン名
- キャンペーン期間(開始日から終了日)
- 予算(1回の上限金額)
- 入札単価
- 配信ペース(アクセス数に合わせて最大配信/予算を日毎に均等配信)
- パッケージ種類(ターゲティングパッケージ/ノンターゲティングパッケージ)
- 設定URL(商品ページ/店舗トップ・カテゴリページ)
- 対象セグメント
広告の成果を収集するために、キャンペーン名は内容がわかりやすく伝わるようにしましょう。
③バナーを入稿する
キャンペーンの詳細が完了したら、バナー画像を制作します。バナーのデザインやクリエイティブは広告の効果に直結するため、慎重に作成しましょう。
バナーの入稿規定は以下のとおりです。
画像 | ・ファイル形式・ファイルサイズ jpg/gif/png 150KB以下 |
サイズ | ・1280px×200px(PC/SP) ・880px×320px(SP) ・400px×800px(PC) ・480px×360px(PC) 4サイズのバナーをご用意ください ※キャンペーン配信後は変更不可です |
リンク先 | ・「商品ページをリンク先に設定する」、 もしくは「店舗トップページ、カテゴリページ、GOLDページを リンク先に設定する」から選択してください ※広告原稿入力画面では、こちらで選択した設定URLでしか入稿が出来なくなります |
各種締切 | ※入稿されたものから順次審査 |
入稿規定を守らないと広告出稿ができないため、しっかりと確認したうえで作成しましょう。
TDA広告運用4つのコツ
TDA広告を運用する際のコツは以下の4つです。
順に解説します。
①セグメントは細かく設定する
目的に合わせてセグメントを詳細に設定することで、無駄な広告費を削減し、CVRの向上が期待できます。
設定できるセグメント項目は以下のとおりです。
項目 | 概要 |
①会員登録情報 | ・年齢 ・性別 ・会員ランク ・居住地域(エリア) ・居住地域(都道府県) |
②閲覧履歴 | 第一階層ジャンル別(38ジャンル) ┗第二階層ジャンル別(530ジャンル) ※ジャンル数は増減します |
③イベント興味 | ・イベント ・大型イベントにおける最大買い回り数 |
④購買履歴 | 第一階層ジャンル別(38ジャンル) |
⑤3ヶ月以内3回以上購買 | 主要9ジャンル |
⑥ライフステージ | ・既婚・子供有無 ・居住形態 ・借家 ・自家用車 ・年収 |
⑦自店舗来訪・購入履歴 | ・新規・既存ユーザ |
TDA広告の運用には、目的に合わせた細かなセグメント設定が不可欠です。
「認知促進」や「興味促進」「購買促進」「リピート促進」など、広告運用の目的を明確にし、セグメント設定をしましょう。
目的別の具体的なセグメント例は「【目的別】楽天出身者が推奨するTDA広告セグメント設定」で紹介します。
詳細な設定を行えば、無駄な広告費を削減しつつ、高いCVRを目指すことができます。
ターゲットユーザーにピンポイントで訴求できる広告を配信し、効果的な運用を行いましょう。
②バナーデザインを工夫する
バナーデザインは、商品やブランドイメージを効果的に訴求するために重要です。
楽天市場では、シンプルでおしゃれなデザインよりも、ユーザーの目を引くインパクトのあるデザインが好まれる傾向にあります。楽天ユーザーは多くの商品情報や広告が表示される環境に慣れているためです。
視認性を高めるには、色使いやフォントサイズ、レイアウトを工夫し、ユーザーの注意を引くデザインにする必要があります。
下記のレギュレーションを守った上で、可能な限り目立つデザインにするのがおすすめです。
項目 | 内容 |
サイズ | TDA 1280px × 200px (PC / SP) 880px × 320px (SP) 400px × 800px (PC) 480px × 360px (PC) ブランド公式ショップ広告 1280px × 200px (PC / SP) 880px × 320px (SP) |
ファイル形式 最大ファイルサイズ | jpg / gif / png 150KB以下 |
基本構成 | 商品画像必須。テキストまたはロゴ(ブランドロゴ、店舗ロゴ)必須 |
最新のテンプレートを使用している(※PSDファイルの使用ができない環境の場合必須としない) | |
枠線と背景 | TDA 枠線不要 ブランド公式ショップ広告 枠線の使用可能 バナー左右両端から1pxは同じカラーコードになるように指定する |
背景色は2色まで(背景色が分割されている場合のみ。グラデーションの場合は、背景色数に制限はなし) | |
黒背景を使用したい場合は#262626以上の明るさを推奨 | |
Typography | テキスト・ロゴの外側に16px以上のマージンをとる |
テキストはバナーの面積の1/3以下に収める | |
フォントサイズは28-80px | |
NG | 楽天のブランドカラー(#BF0000)の使用 |
テキストに袋文字装飾 | |
クリックを促すようなアイコン・ボタン表示・テキスト表示 | |
画像の1/3を超える肌(顔を除く)露出。 また、モデルやマネキンが着用している下着の画像の掲載。 ただし、補正下着で、胸部と腹部〜大腿部が隠れている場合は、モデル・マネキンが着用していても掲載可 |
【ブランド公式ショップ広告】検索結果バナー 広告仕様)
また、どのようなデザインにすれば良いか悩む場合は、競合のバナー画像を参考にしてみましょう。色使いやフォントサイズ、レイアウトなど、どのようなバナーがクリックされているのかを把握するのが重要です。
バナーの活用法については下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせて確認してみてください。
関連記事:楽天市場のバナー活用法を徹底解説!ブランド認知度の向上と回遊性アップの秘訣も紹介
③リターゲティングを活用する
リターゲティングは、楽天内の自社店舗ページに訪問したことがあるユーザーに対して再度、広告を表示できる機能です。
自社商品への興味・関心の高いユーザーに再度アプローチすることで、CVにつなげられる可能性が高く、CVRの向上につながります。
たとえば、カゴ落ちしたユーザーへのリターゲティングは効果が高い施策です。ユーザーが商品をカートに入れたものの、購入を完了しなかった場合、TDA広告を利用して再度アプローチできます。
カゴ落ちしたユーザーに対して特別な割引やプロモーションを提供し、購入を促進しましょう。ユーザーが再び購入を検討するきっかけとなり、売り上げ向上につながります。
また、リターゲティングを効果的に活用するには、集計したデータをもとに分析と改善の繰り返しが重要です。
どのセグメントが最も高いCVRを示しているのか、どのクリエイティブが最も効果的かを定期的に分析し、次の運用に活かします。データを活用すればするほど、ROASも向上するでしょう。
④キャンペーンは複数作成する
複数のキャンペーンを作成すると、異なるセグメントやターゲット層に対して同時に広告を配信でき、それぞれの効果が比較可能です。
性別、年齢、地域などの異なる条件でセグメントを設定し、広告配信を行えば、売り上げ向上に最適なセグメントに早くたどり着けます。
得られたデータをもとに、より効果的なセグメントに広告予算を集中させれば、無駄な広告費を削減し、ROASを最大化できるでしょう。
単独のキャンペーン作成に比べて圧倒的に早く成果に近づけるため、ぜひ実践してみてください。
TDA広告だけでなく、楽天のマーケティング施策について知りたい方は以下資料からご確認ください。
TDA広告バナーの実際のデザイン例
弊社がサポートした、TDA広告のバナーデザイン例を紹介します。効果的なバナー作成のポイントも解説しますので、ぜひデザインの参考にしてみてください。
バナーデザインのポイントは以下の3点です。
順に解説します。
例1. 商品に合わせたカラーやデザインを使用する
「最先端のロボット掃除機」という洗練したイメージを訴求するために、紺色を基調としたデザインで高級感を演出しています。
対象の商品の雰囲気や商品を使用するユーザー層の好みに合わせたデザインにしましょう。
また、商品の特徴が伝わりやすいように、商品とキャッチコピーのみをシンプルに配置するのがおすすめです。
例2. 具体的な数字や実績を入れる
「累計世界販売台数No.1」のように、客観的に評価が高いことがわかる実績を入れるのが効果的です。
楽天ランキング1位獲得や累計販売数などの数値を入れるのも商品の信頼性が高まるのでおすすめです。
また「毛が絡まない」「強力な吸引力」「高性能マッピング」など、ユーザーが商品に求めるメリットを簡潔に伝えるのも重要です。バナー全体の背景色とは異なる色を使用し、目立つように配置するのがポイントです。
例3. お得に購入できる情報を入れる
楽天市場のイベントや店舗のクーポン利用で、対象の商品がお得に購入できる場合は、どれくらいお得になるのかを明示しましょう。
「クーポン利用で◯%OFF」「◯個購入で◯円OFF」など、お得に購入できる条件をわかりやすくするのもポイントです。
また、お得に購入できる期間が決まっている場合は、その期間も明示しておきます。「今購入しないともったいない」という気持ちが高まり、ユーザーの購買意欲をあと押しできるでしょう。
【目的別】楽天出身者が推奨するTDA広告セグメント設定
「TDA広告運用4つのコツ」でも解説したように、TDA広告で成果を出すにはセグメント設定が重要です。
楽天出身者が推奨するセグメント設定を目的別に紹介するので、参考にしてみてください。
順に解説します。
ブランド認知拡大をする場合
ブランド認知の拡大を目的とする場合、広範なセグメント設定が有効です。
以下のような設定を行えば、潜在的な顧客にブランドを訴求できます。
【ブランド認知拡大のためのセグメント設定】
項目 | 内容 |
性別 | ブランドのターゲット層に合わせて、男性・女性のどちらか、もしくは両方を設定します。 |
年代 | 20代、30代、40代など、ターゲットとする年齢層を絞ります。 |
閲覧履歴 | 自社のブランドに関連する商品の閲覧履歴があるユーザーをターゲットにします。 |
ブランド認知を拡大する場合、潜在顧客層を広く設定し、ブランドに興味を持つ可能性のあるユーザーにアプローチできるように設定します。
バナーデザインは、視覚的に訴求力のあるものを作成し、ブランドの魅力をしっかりと伝えましょう。キャッチーなデザインやメッセージを用いることで、ユーザの関心を引きつけます。
LTVを伸ばす場合
LTV(顧客生涯価値)を伸ばすためには、リピート購入を促進しましょう。
特に、消耗品やリピート率の高い商品を取り扱う場合、効果的なセグメント設定を行うことで、LTVの向上が期待できます。LTVを伸ばすための推奨設定は以下のとおりです。
【LTVを伸ばすためのセグメント設定】
項目 | 内容 |
性別 | 商品ターゲット層の性別を設定します。例えば、化粧品の場合は女性に絞るなど。 |
年代 | 主要な購買層を絞り込みます。例えば、20代、30代、40代といった具合に設定します。 |
店舗購入履歴 | 過去に自社店舗で購入履歴があるユーザーをターゲットに設定します。これにより、再購入の可能性が高いユーザーに対して広告を配信することができます。 |
過去に自社店舗で購入履歴があるユーザの場合、再購入を促すことでリピート購入につながる可能性があります。リピート購入を促進するために、特典や割引クーポンを提供することを知らせる広告を配信するのもおすすめです。
リピート購入が増えれば、収益の安定化につながります。また、顧客ロイヤルティも向上するためブランドのファンを増やすのにも効果的です。
ROASを担保して売り上げを伸ばす場合
ROASを維持しつつ売り上げを伸ばすためには、購入率の高いセグメントに焦点を当てましょう。対象商品の購入率の高い層や年代を絞り込むのが重要です。
【ROASを担保して売り上げを伸ばすためのセグメント設定】
項目 | 内容 |
性別 | 顧客分析レポートで購入率が高い性別を設定します。例えば、男性向けの商品なら男性、女性向けの商品なら女性をターゲットにします。 |
年代 | 購入率が高い年代を設定します。例えば、20代、30代、40代など、特定の年齢層に絞り込みます。 |
会員ランク | 楽天市場の会員ランクで購入率が高い層をターゲットに設定します。例えば、ゴールド会員やプラチナ会員など。 |
自店舗来訪あり、購入履歴なし | 自店舗を訪問したことがあるが、まだ購入していないユーザをターゲットに設定します。興味はあるがまだ購入にいたっていないユーザに再度アプローチできます。 |
上記のように購入率の高い層にターゲットを絞り広告を配信すれば、CVRも向上し高いROASを保ちつつ売り上げ向上を目指せます。
また、リターゲティング広告の配信も効果的です。自店舗に訪問したものの購入にいたっていないユーザーに対して再度広告を配信し、購入を促します。
初回購入を促進する場合は、初回購入者限定の特典やクーポンを提供することで、CVRをより高められるでしょう。
強気の広告配信をする場合
売り上げ向上を目指し強気の広告配信を行う際には、Rakuten AIrisを活用しましょう。より高精度なターゲティングを行い、購入見込みの高いユーザに広告を配信できます。
Rakuten AIrisは、AIを利用した高度なデータ分析ツールです。対象商品の購買実績があるユーザ層の属性データや購買傾向、価格趣向、楽天グループサービスの利用傾向など、920項目にのぼるファクトデータを分析してスコア化し、ユーザーをマッピングします。
データを利用し、購買実績のないユーザー層の中から、購入実績があるユーザーに近い特性を持つユーザーを「購買見込みユーザー」として予測できます。
TDA広告では「購入見込みユーザー」を対象に広告を配信することができます。
簡単にいうと、自社商品を購入したことのあるユーザーに似た他のユーザーを自動で選出し、ターゲットに指定できるのです。
そのため、配信した広告がCVにつながる可能性が高く、売り上げ向上のために効果的な広告配信が可能です。
TDA広告運用の成功事例
ジャグー株式会社がTDA広告運用のサポートを行い、成果が出た事例を2つ紹介します。
成功事例①|リターゲティング広告を利用し離脱ユーザーの再購入促進に成功
楽天市場で広告を多く出稿し、アクセス数が多いものの、離脱率が高い店舗様がありました。
この店舗様では、RPP広告を含む楽天市場広告を活用し、新規ユーザーの獲得には成功していたものの、多くのユーザーがサイトを離脱してしまうという点が課題でした。
そこで、リターゲティング広告の活用を提案し、新規ユーザーの獲得だけでなく、離脱ユーザーの回収しCVR向上を目指すことを提案、実施しました。
離脱しているユーザに向けて、通常よりも割引率の高いクーポンを配信し特別感を演出することで、意図的に離脱ユーザーの再購入を促進できました。
売り上げが増加しただけでなく、効果的なターゲティングによりROASの向上も達成しました。
【詳細な施策と効果】
解決策の詳細 | 効果 |
リターゲティング広告の活用 | 過去にサイトを訪問し、離脱したユーザーに対して広告を配信することで、再訪問を促進 |
特別クーポンの提供 | 通常よりも高い割引率の特別クーポンを提供し、ユーザーに特別感を持たせ、再訪問と購入を促進 |
クーポンにより特別感を演出 | 特別感を持たせたクーポン提供により、ユーザーの再訪問率が向上し、実際の購入につながった |
成功事例②|バナーデザインを工夫し新規ユーザーの安定獲得に成功
新規ユーザーに向けた広告がマンネリ化しやすく、新規の獲得に苦戦していた店舗様へ、シーズンによってバナーデザインを変える提案を行いました。
シーズン毎にバナーデザインを変更することで、広告露出のマンネリ化を防ぎ、新規ユーザーの獲得につながっています。
また、メインの商材は通年で露出を行いつつも、シーズナルの商品についてはシーズンによって露出の頻度を変更し運用を行うことで、イベント時の売り上げ向上や新規ユーザーの獲得を達成しました。
イベント時に売り上げが上がる傾向のある店舗の場合、月単位で予算を配分し、中長期で広告露出を高めるのがポイントです。
【詳細な施策と効果】
解決策の詳細 | 効果 |
バナーのデザインをシーズンごとに変更 | 広告露出のマンネリ化を防ぎ、新規ユーザへの効果的なアプローチを実現 |
メイン商材は通年で露出、シーズナル商品はシーズンごとに露出頻度を調整 | 広告の効果を最大化し、イベント時に売り上げが上がる傾向を活かして安定的な売り上げ増加を実現 |
予算配分を一ヶ月単位で行い、中長期的に露出 | イベント時に予算を集中させることで、効果的な広告運用と売り上げ増加を図る |
弊社のその他の支援事例も合わせてご確認ください。
家庭用光美容器市場で世界シェアNo.1*を誇るUlike。
同社は、日本市場への参入直後、広告効率やEC運営の課題に直面しました。
しかし、ジャグーのコンサルティングサービスを導入したことで、マーケットシェアが約7倍に拡大し、売上高も前年比5倍を達成。
広告費を3分の1に削減しつつ、健全な収益性も実現しています。
Ulikeが抱えていた課題と成功のカギとは?その詳細をインタビュー記事でご紹介します。
TDA広告運用時の3つの注意点
TDA広告を運用するときの注意点は以下の3つです。
順に解説します。
①広告枠が取得しづらい
TDA広告の最低予算は月5万円から始まり、競合が増えるにつれて広告費用も上昇します。楽天側は、「売れる商品」の広告を優先するため、広告費用だけでなく、売り上げ実績も重要な要素です。
広告枠を取得するには、競合の状況に応じた予算設定や、商品の売り上げ実績を上げる施策を同時に進めていく必要があります。
商品や商品ページの改善、価格の見直しなど、対策は多岐にわたるため、自社のリソースではやりきれない場合もあるかもしれません。
その場合は、楽天市場の運営代行を検討するのをおすすめします。
特に弊社のように楽天出身者が支援を行う運営代行では、楽天市場での豊富な経験をもとに、TDA広告運用だけでなく、楽天市場での出店全般についてサポートが可能です。
広告運用や売り上げを上げるための施策など、楽天市場についてお困りの際はぜひお問い合わせください。
楽天市場の運用代行については下記の記事でも解説していますので、ぜひ合わせて確認してみてください。
関連記事:【厳選】2024年最新版!楽天市場の運営代行おすすめ12選|選定ポイントも紹介
②バナー準備や審査に時間がかかる
TDA広告のバナー作成時は細かなレギュレーションに対応する必要があります。また、広告出稿には4種類のバナーサイズが必要で、それぞれに対応したデザインを作成しなければなりません。
バナー作成には厳しい審査基準と多くの時間を必要としますが、クリアすることで効果的な広告運用ができます。レギュレーションをしっかり確認し、計画的にバナーを作成を進めましょう。
バナー作成時のレギュレーションについては「TDA広告の設定方法3ステップ」を再度確認してください。
③計測期間が長めに設定されている
TDA広告は、広告が表示されてから720時間(30日)以内に発生した売り上げも広告成果としてカウントされます。そのため、短期間での広告効果を詳しく分析するのが難しく、ROASが悪化する場合もあります。
TDA広告は短期的に結果を求めるのではなく、リターゲティングを含めて中長期的な視点で運用するのがポイントです。
長期で運用を行うことで、データを収集し、さらに効果的な広告運用が可能になるでしょう。
まとめ|TDA広告を運用してブランド認知を高めよう
楽天のTDA広告は、新規ユーザの獲得から離脱ユーザーへの際のアプローチまで、さまざまな目的を果たすために効果的な施策です。
広告枠が少なかったり、バナー審査が厳しかったりと超えるべきハードルはありますが、効果的に運用できれば大きな成果を生みます。
特に本記事で解説した「TDA広告で期待できる3つの効果」は楽天市場での売り上げ向上のためにも重要な要素なので、ぜひ読み返してみてください。
しかし、TDA広告の重要性や効果はわかっても、なかなか手が回らずに運用できないという担当者様もいるのではないでしょうか。
ジャグー株式会社では、出店者様に対し、楽天市場出身者による専門的なサポートを行っています。売り上げの改善や社内運用の仕組み化など、戦略から販売まで一気通貫したEC支援をご提供します。
TDA広告など楽天の運用に関するご相談があればお気軽にお問い合わせください。
TDA広告に関するよくある質問
Q. TDA-EXPとはなんですか?
TDA-EXP(ターゲティングディスプレイ広告‐エクスパンション)とは、2023年11月14日より追加された新しいプロモーションメニューです。
楽天以外のさまざまなメディアで商品の訴求ができるディスプレイ広告で、現時点ではMeta社が提供するメディア(FacebookやInstagramなど)で広告配信ができます。
楽天市場外で新規顧客の獲得やブランド認知の拡大が行えます。
Q. 最適なセグメント設定を教えてください。
最適なセグメント設定は、広告を配信する目的やターゲット層により異なります。効果的な運用には商品やターゲット属性、購入者属性、月予算によって設定項目を変える必要があります。
自社にとって最適なセグメント設定がわからなくて悩んでいる、という方はぜひお気軽にジャグー株式会社の無料相談をご利用ください。
楽天出身者ならではの視点から、商品やブランドに最適なセグメント設定をお伝えします。