ECモールへ出店を検討する企業にとって、売り場として楽天市場とAmazonははじめに検討に上がるECモールでしょう。
楽天市場とAmazonにはそれぞれ異なる特徴やメリットがあり、どちらが自社に適しているかはビジネスの目標や目的によって異なります。
しかし「楽天市場とAmazon、違いがあるのはわかるけど、結局どちらを選べばいいのかよくわからない……」と悩んでいるのではないでしょうか。
よくわからないまま進めて、出店後に後悔はしたくないですよね。
本記事では、楽天市場とAmazonについて、出店者とユーザー目線でのそれぞれの違いを徹底解説します。
また、結局自社に合うECモールはどちらなのか、判断する基準もご紹介します。
元楽天ECCだからこそ解説できる両ECモールのメリットや注意点も解説しているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
2015年に楽天入社後ECコンサルティング部に所属
作業やアドバイスではなく実行支援の重要性を感じ2020年にEC支援会社のジャグーを創業。
支援企業の中でSOY受賞経験は9店舗。
目次
楽天市場とAmazonの基本概要を紹介
項目 | 楽天市場 | Amazon |
出店形式 | テナント型(出店型) | マーケットプレイス型(出品型) |
サービス開始年 | 1997年 | 2000年(日本) |
出店店舗数 | 約5.7万店舗 | 約14万店舗 |
プラン | がんばれ!プラン スタンダードプラン メガショッププラン | 小口出品 大口出品 |
初期費用 | 60,000円〜 | 無料 |
月額費用 | プランにより異なる | 大口出品:4,900円 小口出品:無料 |
システム利用料 | 2.0〜7.0% | 商品ごとに手数料あり |
販売手数料 | プランにより異なる | 商品カテゴリにより異なる |
楽天市場とAmazonは、どちらも日本国内で大きなシェアを占めるECプラットフォームです。しかし、仕組みや特徴などは大きく異なります。楽天市場とAmazonは、それぞれ「出店型ECモール」と「出品型ECモール」に分類されます。
楽天市場は「店舗を出店」するECモールであり、出店企業は楽天市場内に独自性の高いデザインの「店舗」を構えられます。いわば、モール内に自分の店を持つようなイメージです。
一方、 Amazonは「商品を出品」するECモールであり、出店企業はAmazonというプラットフォーム上に商品を出品します。 多くの店舗が同一のフォーマットの商品ページで商品を販売しており、カタログに出品するようなイメージです。
どちらのECモールも多くのユーザーを抱えており『 ジェトロ世界貿易投資報告2022年度版』によると、国内EC市場におけるシェア率はAmazonが28.2%、楽天市場が25.1%と僅差で拮抗しています。
出店型と出品型、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、どちらのプラットフォームが自社のビジネスに最適なのかを見極めることが重要です。
楽天市場はテナント型ECモール
画像出典元:楽天市場
項目 | 概要 |
運営会社 | 楽天グループ株式会社 |
会員数 | 約1億人(2023年現在) |
サービス開始年 | 1997年 |
国内ECシェア | 25.1%(2022年度) |
出店形式 | テナント型(出店型) |
出店店舗数 | 約5.7万店舗(2023年現在) |
出店プラン | がんばれ!プラン スタンダードプラン メガショッププラン |
収益源 | 広告掲載料・月額出店料・ロイヤリティなど |
楽天市場は、楽天グループ株式会社が運営する国内最大級のECモールです。
2023年現在、国内ECモールにおけるシェアは25.1%を誇り、楽天ID会員数は1億人を超えています。
楽天市場はテナント型のECモールであり、出店企業は楽天市場というショッピングモールのなかに店舗を出店するイメージです。
ユーザーはモール内を回遊し、各店舗を訪れて商品を購入します。そのため、店舗側も独自性の高いページ作りや顧客との関係構築などに注力すれば、 ブランディングを通したファンの獲得が可能です。
楽天市場の収益源は、広告掲載料、月額出店料、そして販売成約時のロイヤリティなどの複合的なフィーモデルを採用しています。そのため、楽天市場に出店する際は出店料や販売手数料だけでなく、売上向上のためにかかる総合的な費用を考慮することが重要です。
Amazonはマーケットプレイス型ECモール
画像出典元:Amazon | アマゾン
項目 | 概要 |
運営会社 | Amazon.com,Inc. |
サービス開始年 | 2000年(日本) |
国内ECシェア | 28.2%(2022年度) |
出店形式 | マーケットプレイス型(出品型) |
出店店舗数 | 約14万店舗 |
出品プラン | 小口出品 大口出品 |
収益源 | 広告掲載料・販売手数料など |
Amazonは、Amazon.com, Inc.の関連会社が運営するECモールです。日本では、Amazonジャパン合同会社がサービスを提供しています。
Amazonはマーケットプレイス型のECモールであり、出店企業はAmazonという巨大なプラットフォーム上に、所定のフォーマットに則って商品を出品します。 無数の商品が並ぶオンラインカタログのようなイメージです。国内シェアは28.2%を誇ります。
Amazonでは、顧客は商品そのものを探しに来るため、楽天市場のように個別のショップの認知度を上げることは難しいでしょう。一方で、出品のハードルが低く、スピーディに販売を開始できる点が魅力です。
Amazonの主な収益源は、商品が売れた際の販売手数料と広告掲載料です。販売手数料は商品カテゴリによって異なり、売上高の8%から15%となっています。
出店者から見た楽天市場とAmazon7つの違い
出店者から見た楽天市場とAmazonの違いは以下の7つです。
- ECモールの種類
- 費用・プラン
- サポート体制
- 配送サービス
- キャンペーンの種類や頻度
- 得意ジャンル
- カスタマージャーニー
順に解説します。
1.ECモールの種類
「出店型」の楽天市場は、モール内に自分のお店を出店するイメージで、商品ページのデザインや構成を自由にカスタマイズできます。そのため、商品の魅力をより豊かに伝えたり、店舗の世界観を表現したり、独自のブランディングを展開したりすることが可能です。
ユーザーとのエンゲージメントを高め、店舗のファンを獲得していくのに効果的なプラットフォームと言えるでしょう。
一方「出品型」のAmazonは、巨大なオンラインカタログに商品を掲載していくイメージです。商品ページのデザインや構成はAmazonによって統一されており、画像のサイズやテキストの量なども細かく規定されています。
そのため、楽天市場のように自由度の高いページ作りはできませんが、ページ作成の手間が少なく、出品作業を効率的に進められるメリットがあります。
Amazonでは、ユーザーは商品そのものを探しに来るため、個別のショップの認知度向上は難しいでしょう。ユーザーにはAmazonで購入したという体験が強く印象付けられるためです。
一方で、楽天市場の場合は、ユーザーはモール内を回遊し、それぞれの店舗に訪れて商品を購入します。そのため、Amazonと比べてショップの認知度を高めることができ、固定客の獲得を目指せるのです。
2.費用・プラン
Amazonと楽天市場では、それぞれ異なる料金プランが用意されています。
Amazonの出品プラン | 小口出品 | 大口出品 |
月額料金 | 0円 | 4,900円 |
商品ごとの販売料 | 100円(1商品) | 0円 |
Amazonには、月に50点未満の商品を販売する方向けの「小口出品」と、月に50点以上の商品を販売する方向けの「大口出品」の2つのプランがあります。毎月販売数が50点以上になる場合は大口出品を選びましょう。また、商品がどのくらい売れるかわからない場合や、広告出稿をしない場合は小口出品がおすすめです。
また、Amazonでの出品ではカテゴリごとに販売手数料が異なる点も把握しておきましょう。商品1点あたりの価格でも手数料が変わるため、自社で取り扱う商品の販売手数料を事前に確認しておくのをおすすめします。
参考:『Amazon出品サービスの手数料』|amazon seller central
楽天市場には「がんばれ!プラン」「スタンダードプラン」「メガショッププラン」の3つのプランがあり、それぞれ月額料金や販売手数料が異なります。
楽天市場の出店プラン | がんばれ!プラン | スタンダードプラン | メガショッププラン |
月額料金 | 25,000円 | 65,000円 | 130,000円 |
システム利用料 | 3.5〜7.0% | 2.0〜4.5% | 2.0〜4.5% |
登録商品可能数 | 10,000商品まで | 50,000商品まで | 無制限 |
画像容量 | 1.5GBまで | 100GBまで | 無制限 |
楽天市場では、プランごとの月額料金以外に全プラン共通の料金もかかるため、総合的な費用を計算してプランを選択するのがおすすめです。
また、プランによって登録可能な商品数や画像容量も異なります。自社の商品数や、使用したい画像の枚数などを考慮してプランを選びましょう。
参考:『プラン・費用』|Rakuten 出店案内
3.サポート体制
楽天市場は、出店企業に対して「アカウントマネジメント型」のサポートを提供しています。アカウントマネジメント型サポートでは、楽天市場のECC(Eコマースコンサルタント)が1店舗に1名専任でつき、サイト改善や販促活動などのアドバイスやサポートを行います。
また「楽天大学」と呼ばれる、EC運営に関するノウハウを学べる無料のオンライン学習コンテンツも提供しており、出店者は自ら学びながらEC事業を成長させられるでしょう。
一方、Amazonは「セルフサービス型」のサポート体制です。 出店企業は、ヘルプページやオンラインフォーラムなどで、自ら情報収集を行いながらのEC運営が基本となります。
また、楽天市場のようにマンツーマンではありませんが、電話やEメールにてテクニカルサポートを受けるのも可能です。
楽天市場とAmazonではサポート体制の手厚さが異なります。自社の担当者の経験やリソースを考慮し、手厚いサポートを受けたい場合は楽天市場への出店がおすすめです。
4.配送サービス
楽天市場には「RSL(楽天スーパーロジスティクス)」と呼ばれる独自の物流サービスが用意されています。 RSLでは、楽天市場が運営する倉庫に商品を預け入れ、受注から発送、配送までを一貫して外注できます。 そのため、出店者は販売促進や商品企画などのコア業務に集中できるのです。
また、RSLの導入は「最強配送」ラベルの獲得が条件の一つにもなっているため、今後楽天市場で売上を上げていくためには、最強配送の取得は有利に働くと言えます。
楽天の最強配送については以下の記事で解説していますので、合わせて確認してみてください。
関連記事:【2024年6月最新】楽天最強配送とは?ラベルの獲得条件や導入のメリットとハードルを解説
一方、Amazonでは「FBA(フルフィルメント by Amazon)」と呼ばれる独自の物流サービスが利用できます。 FBAは、商品保管、受注管理、梱包、発送、配送、返品、カスタマーサポートまでを一括して代行するサービスです。
FBAの特徴は、Amazonのカスタマーサービスが配送に関する問い合わせや返品対応まで代行してくれる点です。カスタマーサービスを代行してもらうと、担当者の負担減につながり、顧客満足度の向上も図れるでしょう。
5.キャンペーンの種類や頻度
楽天市場では、毎月のようにセールイベントが開催されており、他のECモールと比較しても圧倒的な頻度と売上構成を誇ります。特に、毎月開催される「お買い物マラソン」と、年に4回開催される「楽天スーパーSALE」では、ポイント還元率が大幅に高くなるため、購買意欲の高いユーザーが多く集まります。
Amazonでは年に1〜2回開催される「Amazon Prime Day」や11月開催の「ブラックフライデー」などの注目度が高いです。 また、季節ごとのセールや、特定の商品カテゴリに特化したセールなども定期的に開催されています。
楽天市場とAmazonでは、セールイベントの種類や頻度が大きく異なります。そのため「自社に合ったセールやイベントはどのようなものか」を考慮した上でどちらに出店するかの判断をするのも重要です。
6.得意ジャンル
ブランドデータバンクの調査によると、楽天市場とAmazonのユーザー属性は以下のとおりです。
項目 | 楽天市場ユーザー | Amazonユーザー |
主な利用者 | 女性、特に30代以上の女性 | 男性、特に20代~30代の男性 |
興味・関心 | 旅行・レジャー | PC・家電、インターネット、アニメ・漫画、ゲーム |
良く閲覧されている商品カテゴリ | インテリア・寝具・収納、食品、花・ガーデン・DIY、日用品雑貨・文房具・手芸、日用品やファッション関連のもの | 本、PC・周辺機器、家電&カメラ、ホーム&キッチン、デジタル機器や趣味・娯楽に関するもの |
上記のデータから、Amazonは、デジタル機器や趣味・娯楽に関する商品を得意とする一方、楽天市場は、日用品やファッション関連の商品を得意としていると言えるでしょう。
ただし、それぞれのECモールの強み・弱みを補うように、楽天では「家電祭り」「Brand Day」といった、有名な生活家電ブランド・美容家電ブランドを取り上げたイベントを定期的に開催する一方で、Amazonもファッションジャンルの販売手数料を引き下げるなどの施策が見受けられます。
どちらのECモールでも、幅広いジャンルの商品が販売されていますが、出店する際は、それぞれのユーザー層や購買傾向を踏まえ、自社の商品と相性の良いほうを選択することが重要です。
7.カスタマージャーニー
ユーザーが商品を認知してから購入に至るまでのカスタマージャーニーにも以下の違いがあります。
〈各モールのユーザー流入元構成〉
楽天市場:検索40%・広告30%・メルマガ10%
Amazon:検索60%・レコメンド30%
楽天市場は店舗が独自にメルマガを配信したり、ポイントキャンペーンを実施したりすることで、顧客との長期的な関係構築に力を入れているのに対し、 Amazonは豊富な商品ラインナップと精度の高いレコメンド機能によって、顧客の購買意欲の促進に力を入れています。
両モールではユーザーの購入経路の割合が異なるため、出店後の運用方針を決めたり、広告運用に力を入れたりすることが重要です。
自社ブランドの販売チャネルを検討する際は、ECサイトの選択肢と特徴を理解し、自社製品の特性に合わせた計画を立てる必要があります。以下資料では、自社ブランドの最適な販売サイトを見つける方法を解説しているのでぜひご確認ください。
また、楽天市場の広告運用に関しては以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:【2024年最新】初心者でもわかる楽天市場広告ガイド|元楽天ECCが徹底解説
ユーザーから見た楽天市場とAmazon4つの違い
ユーザーから見た楽天市場とAmazonの違いは以下の4点です。
- UI(ユーザーインターフェース)
- ポイントの貯まりやすさ
- 送料と配送システム
- カスタマーサポート対応
順に解説します。
1.UI(ユーザーインターフェース)
画像出典元:楽天市場
楽天市場は、ユーザーがさまざまな店舗を回遊し、買い物を楽しめるようなUIになっています。そのため、楽天市場で商品を検索すると、一覧ページには店舗名と合わせて、各店舗からそれぞれ出品している同一商品が表示されます。
各店舗は、商品画像や商品説明、価格設定などを工夫し、競合との差別化を図っています。そのため、ユーザーは各店舗の個性を比較検討しながら買い物を進めるのです。
画像出典元:Amazon | アマゾン
一方Amazonは、ユーザーが欲しい商品を可能な限り早く、確実に購入できるような、シンプルなUIになっています。そのため、Amazonで特定の商品を検索すると、検索結果にはその商品を出品している店舗の中から、価格や配送条件などを加味して、Amazonが最もおすすめする店舗の商品だけが表示されます。そのため、ユーザーは複数の店舗を比較検討せずに、スムーズな購入が可能です。
楽天市場は「どのお店で購入するか」も重視するユーザーにとって、Amazonは「何を買うか」が決まっているユーザーにとって、それぞれ使いやすいUI設計となっています。
2.ポイントの貯まりやすさ
楽天市場は、ポイント還元の高さがひとつの魅力であり、顧客満足度向上に大きく貢献しています。すべての商品で購入ポイントが貯まり、店舗によっては独自にポイント倍率を設定している場合もあります。
また、「楽天スーパーSALE」や「お買い物マラソン」などのイベント期間中はポイント倍率が大幅にアップするため、ユーザーの購買意欲が高まります。
一方、Amazonではポイント付与の対象となる商品が限定されており、ポイント対象外の商品もあります。また、ポイント還元率も商品やイベントによって異なります。楽天市場のように常に高還元率を期待することはできません。
楽天は店舗側でかならず1%以上のポイント付与が必要ですが、amazonは0%の設定も可能です。そのため、ポイントの貯まりやすさで比較すると、楽天市場が優勢です。特に、楽天経済圏を利用しているユーザーにとっては、楽天市場での買い物でより効率的にポイントを貯められるのです。
3.送料と配送システム
楽天市場は、基本的に各店舗が独自に配送会社と契約し、商品を発送しています。そのため、送料や配送にかかる日数は、店舗によって異なります。 また、置き配や配送指示などのオプションも、Amazonほど充実していない場合が多く、ユーザーが配送に関する利便性が低いと感じる場合もあります。
Amazonは、自社物流網「FBA」を強みとしており、商品の多くがAmazonの倉庫から直接発送されます。配送スピードが速く、注文から最短翌日には商品が届く場合もあります。
また、Amazonプライム会員であれば、年会費5,900円または月額600円で、対象商品が追加料金なしでお急ぎ便で配送されるほか、日時指定便なども無料で利用できます。 置き配など、配送に関するオプションも充実しており、ユーザーは自分のライフスタイルに合わせた受け取り方法を選択できるでしょう。
4.カスタマーサポート対応
楽天市場では、各店舗が個別に問い合わせ対応をしています。 問い合わせ先や対応時間、対応方法などが店舗によって異なるため、ユーザーは商品ページや店舗情報などで、事前に確認しておく必要があります。 店舗によっては、電話対応を行っていない場合や、問い合わせ対応が遅い場合もあるため、手続きが煩雑になる場合があるでしょう。
ただし、各店舗の自社担当者が対応するため、質問に対する回答は正確でより詳細であることが想定できます。
Amazonでは、Amazonが問い合わせに対応します。そのため、注文に関する問い合わせや返品・交換などの手続きも、すべてAmazonの窓口で一括して行えるため、 ユーザーにとってわかりやすく利便性が高いのが特徴です。
楽天市場とAmazonに出店する各メリットと注意点
楽天市場とAmazonに出店する際は、それぞれのメリットと注意点を把握しておき、自社に合ったモールを選びましょう。
楽天市場に出店するメリット
楽天市場に出店するメリットは以下の4点です。
- 楽天市場の高い集客力を活用できる
- 独自性の高いページ作成でショップのファンを作りやすい
- ECCによる手厚いサポートがある
- 日本のモールなので、Amazonと比較してマニュアルなどがわかりやすい
楽天市場は圧倒的な集客力を活用でき、独自性の高い店舗ページを作成できる点がメリットです。また、専任のECCがつくため運営の相談もしやすく、EC運営の知識や経験が少ない担当者でも安心して運営に取り組めるでしょう。
楽天市場に出店する際の注意点
楽天市場に出店する際の注意点は以下の3点です。
- 出店までに時間がかかる
- 運営コストが高め
- AmazonやYahoo!ショッピングに比べて出店与信が厳しい
楽天市場は店舗ページや商品ページを1から制作する必要があり、審査にも時間がかかるため、出店までに時間を要します。また、月額利用料以外にも初期費用や広告費など、他のECモールに比べてコストがかかりやすい点にも注意が必要です。
さらに、AmazonやYahoo!ショッピングに比べて出店与信が厳しいため、出店申し込み前にかならずガイドラインを確認しておきましょう。
Amazonに出店するメリット
Amazonに出店するメリットは以下の3点です。
- 審査が簡単で出品も規格が決まっているため簡単
- 時間をかけて商品ページを作成する必要がない
- 出店料が大口でも楽天市場に比べて安価
Amazonは商品ページの規格がある程度決まっており、出品審査も簡単なため出品がしやすいECモールと言えます。商品ページも短時間で作成可能で、担当者のリソースが少ない場合でもスピーディに出品ができるでしょう。また、楽天市場と比べてコストが安価な面もメリットです。
Amazonに出店する際の注意点
Amazonに出店する際の注意点は以下の3点です。
- 独自性が低くショップのリピーターを作りづらい
- 価格競争が起こりやすい
- 楽天市場に比べてサポート担当がいないため自分で課題を解決する必要がある
Amazonは商品ページのデザインやレイアウトが統一されているため、店舗の独自性を高めにくい点に注意が必要です。ユーザーにショップの印象を与えづらく、価格競争が起こりやすいため、リピーターを獲得しにくい点に注意しましょう。
また、楽天市場のような専任サポートがないため、担当者が自ら課題解決に取り組む必要があり、担当者に一定のスキルや知識が求められます。
楽天市場とAmazonどちらで出店するべき?
ここまで楽天市場とAmazonの特徴を解説してきました。しかし「実際に出店する場合どちらで出店するべき?」と悩む場合もあるでしょう。どちらで出店するべきか悩む場合は、以下の4つの考え方から判断してみてください。
- 取り扱いジャンルで考える
- 自社商品のターゲット層で考える
- 販売戦略で考える
- モール担当者との関係性で考える
順に解説します。
取り扱いジャンルで考える
楽天市場とAmazonでは得意ジャンルが異なります。自社商品のジャンルによって出店するモールを判断するのも良いでしょう。
食品やファッションなら「楽天市場」
食品やファッションジャンルを扱っている場合、楽天市場での出店がおすすめです。楽天市場ユーザーは他のECモールユーザーと比較して、食品や日用品などの暮らしに密着した商品への興味関心が高い傾向にあるからです。
実際に商品を手にとれないECにおいて、食品やファッションジャンルの商品は商品情報の充実が購入の判断材料となります。そのため、商品ページを充実させやすく、ブランドのイメージを伝えやすい楽天市場で出店すれば、ユーザーに安心感を与えられ購入につながりやすいでしょう。
また、ギフト需要の高さも楽天市場の特徴です。母の日や父の日、お中元やお歳暮など、ギフトとして食品を購入する際には、楽天市場を利用するユーザーが多く、ギフト用の高級食材やスイーツ、お酒などは、楽天市場で特に人気が高いジャンルと言えます。
本や家電・消耗品なら「Amazon」
Amazonは、本や家電、PC、ゲームといったデジタル機器や消耗品など、型番で商品を特定しやすいジャンルを販売する場合おすすめです。
これらのジャンルは、ユーザーが事前に購入したい商品をある程度定めている傾向があります。そのため、商品名や型番で検索して購入する場合が多く、検索流入の多いAmazonと相性が良いのです。
また、配送の利便性の高さから、スーパーやコンビニで購入するような日用品を「より安く、より効率的に購入したい」と考えるユーザーのニーズにも応えられるのが特徴です。ユーザーが繰り返し利用する商品を扱っている場合は、Amazonの配送スピードが売上に良い影響をもたらすでしょう。
自社商品のターゲット層で考える
楽天市場とAmazonでは、主なユーザー層が異なります。自社商品のターゲット層が多いECモールで出店すれば、売上向上につながるでしょう。
30代以上・女性ねらいの場合は「楽天市場」
商品やサービスのターゲット層が女性、特に30代以上の女性ならば、楽天市場への出店がおすすめです。
楽天市場は、コスメや美容、ファッション、食品など、女性に人気の高い商品カテゴリが充実しており、商品ページも充実しているため、女性向けの商品を取り扱う場合はユーザーのニーズに当てはまりやすいと言えます。
20代・男性ねらいの場合は「Amazon」
Amazonは男性のユーザーが楽天市場に比べて多く、さらに年齢別に見ても若年層が多い傾向にあります。また、デジタル機器やゲーム、ホビー関連商品などのカテゴリの人気が高いため、これらの商材を扱っている場合はAmazonへの出店がおすすめです。
また「prime student」という学生向けの会員制度もあり、若年層の利用を促しているため、若者向けの商品を扱っている企業の場合もAmazonへ出店すると良いでしょう。
販売戦略で考える
楽天市場とAmazonでは出店形式や商品ページのデザインが異なるため、自社の販売戦略に合わせて出店先を選ぶことも重要です。
商品価値や店舗の独自性を高めたいなら「楽天市場」
楽天市場は、Amazonと比較して店舗ページのデザイン自由度が高く、 HTMLやCSSを自由に編集して、ブランドの世界観を表現したページの作成が可能です。 商品の魅力を伝えるだけでなく、ブランドの世界観やストーリーを伝えられれば、ユーザーのファン化を促せるでしょう。
また、楽天市場ではメルマガ配信やポイントキャンペーンなど、店舗独自の販促活動を行える点もメリットです。
ユーザーとの接点を増やしエンゲージメントを高めれば、ブランドロイヤリティの高い顧客の獲得につながるでしょう。
スピーディに売上を伸ばしたいなら「Amazon」
Amazonでは楽天市場と比較して販売開始までにかかる時間が短く、販促活動に集中できます。商品ページで独自性を出すのは難しいですが、商品自体は検索でヒットしやすいため、販促活動を重視してスピーディに売上を伸ばせます。
適切なキーワードを選定し、商品タイトルや商品説明に盛り込むことで、検索エンジンからの流入増加も見込めるでしょう。
出店費用も楽天市場と比較すると安価なため、出店までのハードルも低いと言えます。
モール担当者との関係性で考える
楽天市場とAmazonではモール担当者との関係性も大きく異なります。サポートの有無や手厚さなどから出店先を判断するのもひとつの手です。
「楽天市場」はECCとの人間関係が重要
楽天市場では、専任のECCがつきます。ECCには、担当する店舗の売上拡大をサポートする役割がありますが、一方で広告費や売上目標などのKPIも設定されています。
ECCは豊富な知識と経験があり、店舗運営の相談に乗ってくれる頼もしい存在です。しかし、ときには店舗に必要以上な広告掲載の提案をしてる場合があることも把握しておきましょう。自社の店舗にとって最適な施策なのかどうか、冷静に判断する必要があります。
楽天市場で成功するためには、ECCとの適切な距離感を保ちつつ、良好な関係構築が重要です。ECCの意見を聞きながら、最終的には自社の判断で、店舗運営の方針を決定する必要があるでしょう。
「Amazon」は店舗とモール担当者の目標が一致している
Amazonは基本的にセルフサービス型のサポート体制のため、楽天市場のような専任のサポートはありません。しかしAmazonのモール担当者には、新規出店企業の獲得や、既存出店企業の売上拡大を支援する役割があり、主に「出品数」と「売上」によって評価されています。
つまり、出店企業の売上が伸びれば伸びるほど、モール担当者の評価も高まる仕組みのため、Amazonと出店企業は、同じ目標に向かって、協力し合う関係にあるのです。
越境ECを目指すならAmazon一択
将来的に越境ECに挑戦したい場合は、Amazonへの出店がおすすめです。Amazonは、2022年8月時点で21ヵ国に事業を展開しており、販売先は世界86ヵ国にのぼります。3億人以上のユーザーを抱える世界最大のECプラットフォームです。
FBAを活用すれば、追加手数料0円、追加手続きなしで国内販売に使用しているアカウントから海外へ出荷できます。
楽天市場の越境EC向けサービス「楽天グローバルマーケット」は2020年6月末に廃止されました。そのため、越境ECを目指す場合はAmazonの活用をおすすめします。
まとめ|自社に合ったECモール選びで売上を拡大しよう
楽天市場とAmazonでは、出店形式や主なユーザー層、販促の方法など異なる点が多くあります。そのため、ECモールへ出店する際は、自社が取り扱う商材やターゲット層、社内リソースなどを考慮して自社に合ったモールを選択する必要があります。
しかし、「実際に自社に合ったECモールの判断がつかない……」という担当者もいるのではないしょうか。
ジャグー株式会社では、出店者様に対し、豊富なEC運用の経験から専門的なサポートを行っています。売上の改善や社内運用の仕組み化など、戦略から販売まで一気通貫したEC支援をご提供します。
楽天市場とAmazonへの出店など、ECモールの運用に関するご相談があればお気軽にお問合せください。