

楽天の39ショップとは、同一ショップ内で3,980円(税込)以上購入すると、送料が無料になる店舗の総称のことです(一部商品、特定地域を除く)。現在では楽天市場の95%の店舗が参加しています。
しかし事業者様からすると「本当に参加すべき?」「参加したら売上が上がるの?」とお悩みの担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、39ショップの仕組みや参加のメリット、注意点について徹底解説します。
39ショップ参加による落とし穴や、特定地域への送料設定などの対応についても具体的に解説しています。
元楽天ECCだからこそ解説できる「39ショップを活用した売上アップ戦略」も紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
2015年に楽天入社後ECコンサルティング部に所属
作業やアドバイスではなく実行支援の重要性を感じ2020年にEC支援会社のジャグーを創業。
支援企業の中でSOY受賞経験は9店舗。
目次
楽天市場の39ショップ(送料無料ライン)とは

(画像出典:楽天市場)
楽天市場の39ショップとは、同一ショップ内で税込3,980円以上購入すると送料が無料になる店舗のことです(一部商品、特定地域を除く)。
39ショップにはアイコンが付与されるため、ユーザーは対象の店舗を簡単に見つけられます。2020年3月から導入されており、現在では楽天市場の95%以上の店舗が参加しています。
ユーザーにとってお得な制度であり、出店者にとっては集客や売上アップのチャンスとなるため、売上向上のためにぜひ活用したい制度です。
39ショップが導入された背景

(画像出典:楽天市場)
39ショップ制度の導入には、EC市場における「送料無料」ニーズの高まりと、楽天市場の店舗ごとの送料設定のバラつきを解消する狙いがあります。
これまで楽天市場では送料無料ラインの設定は各出店者に委ねられており、各店によって異なっていました。しかし近年、AmazonのPrime制度の影響もあり、ユーザーが「送料無料」を求める傾向が高まっているのです。
39ショップ制度を導入し、楽天市場全体の送料体系をわかりやすくすることで、ユーザーの購買体験を向上させる目的があります。
そのため楽天側は39ショップを全ショップに適用させたい狙いがあり、参加ショップを優遇するキャンペーンを実施しています。
39ショップの対象外となるケース

(画像出典:楽天市場)
39ショップでは、すべての商品が送料無料になるわけではありません。以下のような商品は、対象外であったり特定送料が設定されていたりします。
【送料無料ラインの対象外商品】
- クール便
- 大型便
- 単品配送商品(他の商品と同梱できない商品。単品価格が送料無料ライン以上の場合は送料無料となる)
- 特定送料が設定されている商品
【特定送料に指定されている商品】
- 送料無料ライン対応外のショップの商品
- お酒類
- 商品の発送元が、沖縄・離島・一部地域の店舗
- 本・CD
たとえば、冷蔵・冷凍が必要な食品(クール便)や、大型家具などは、39ショップであっても送料無料にならない場合があります。39ショップに参加する際は、対象外商品や特定送料に注意が必要です。
39ショップ参加が重要な2つの理由
楽天市場で売上を伸ばすためには、39ショップへの参加が重要です。理由として、主に以下の2点が挙げられます。
- ユーザーが「送料無料」を魅力的に感じている
- 楽天市場内での露出が増える
順に解説します。
1.ユーザーが「送料無料」を魅力的に感じているから
ユーザーは「送料無料」に強い魅力を感じており、購入の決め手とする場合が多いです。
消費者庁の「令和6年度第1回消費生活意識調査」によると回答者の約6割が「送料無料は消費者にとって魅力的な表示であり、配送事業者に運賃は払われているのだから、問題はないと思う」と回答しています。
「送料無料」と表示されていることで、同じ商品でも他のショップより割安に感じる、購入の後押しになるといった効果が期待できます。送料無料表示は、ユーザーの購買意欲を高めるための要素であり、39ショップ参加はそのための有効な手段です。
2.露出を強化できるから
39ショップに参加すると、楽天市場内での露出が増え、より多くのユーザーに商品を見てもらえる機会が増えます。
39ショップには専用のアイコンが表示され、ユーザーはアイコンの有無で商品を絞り込んで検索が可能です。絞り込みで検索されると、39ショップアイコンがない店舗は表示されないため、ユーザーに見つけてもらえません。
また、39ショップは「最強翌日配送」ラベルの獲得条件の一つであり、ラベル獲得による信頼性向上も期待できます。39ショップへの参加は、楽天市場での集客力を高めるうえで重要な要素といえるでしょう。
楽天市場の最強翌日配送については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せて確認してみてください。
関連記事:楽天最強翌日配送(旧楽天最強配送)とは?ラベルの獲得条件や導入のメリットとハードルを解説
39ショップに参加する3つのメリット
楽天市場の39ショップに参加する主なメリットは以下の3つです。
- 39ショップのアイコンが表示されCTRが向上する
- 39ショップ限定のイベントに参加できる
- 客単価の向上につながる場合がある
順に解説します。
1.39ショップのアイコンが表示されCTRが向上する
39ショップアイコンは、ユーザーに送料無料ラインが3,980円であることを明確に伝えます。送料無料で買い物をしたいユーザーからのクリックがされやすく、CTRの向上が期待できます。
しかし2025年現在、楽天市場の95%以上の店舗が39ショップに参加しており、検索結果の1ページ目に表示される店舗はほぼすべて39ショップ参加店です。そのため、アイコン表示によるCTR向上効果は限定的であり、39ショップへの参加は楽天市場で売上を向上するうえでの「前提条件」と捉えるべきでしょう。
競合との差別化を図るためには、39ショップアイコンの有無だけではなく、商品力や価格設定、プロモーションなど、総合的な店舗運営力が重要です。
2.39ショップ限定のイベントに参加できる
39ショップに参加していると、以下の2つの限定イベントに参加できます。
- 39キャンペーン
- 39ショップ買い回りキャンペーン
どちらもユーザーの購買意欲を高めるイベントのため、参加することでCVRの向上につながるでしょう。
39キャンペーン

(画像出典:楽天市場)
39キャンペーンは、39ショップで税込3,980円以上購入すると獲得ポイントが2倍になるイベントで、獲得上限は3,000ポイントです。
不定期開催ですが「お買い物マラソン」や「楽天スーパーセール」と同時開催される場合が多いイベントです。ユーザーにとってお得なキャンペーンであり、39ショップの販売促進につながります。
39ショップ買い回りキャンペーン

(画像出典:楽天市場)
39ショップ買い回りキャンペーンは、複数の39ショップで購入するほどポイント倍率が上がる不定期開催のイベントです。
最大10ショップの買い回りでポイントが10倍になり、獲得上限は7,000ポイントとなります。複数店舗での購入を促す効果があり、楽天市場全体の活性化にもつながるイベントです。
その他の楽天市場の開催イベントの概要や攻略法は以下記事で解説しているので合わせて確認してみてください。
関連記事:活用すべき楽天市場のイベント攻略法!自店に合ったイベントの選び方を徹底解説!
3.客単価の向上につながる場合がある
送料無料ライン(税込3,980円)を設定すると、ユーザーのまとめ買いを促し、客単価向上につながる可能性があります。
ユーザーは送料無料ラインを超えるために、他の商品を追加購入したり、単価の高い商品を選んだりする傾向があるからです。「あと〇〇円で送料無料」のような表示や、関連商品のレコメンド、まとめ買い割引などを組み合わせられれば、クロスセル(関連商品の購入)やアップセル(より高価な商品の購入)を促進できます。
適切な価格設定や販売施策と組み合わせることで、客単価向上につなげられるでしょう。
39ショップに参加する際の4つの注意点
39ショップに参加する場合は、以下の4つの点に注意をしましょう。
- 送料負担で利益が圧迫される
- 厳しい審査基準を維持し続ける必要がある
- 39ショップ参加だけでは売上が向上しない
- 特定地域への発送は送料無料ラインが異なる
順に解説します。
1.送料負担で利益が圧迫される
39ショップ参加による送料負担は、利益を圧迫する注意点の一つです。特に低単価の商品や、送料が高い地域への配送が多い場合、赤字のリスクも考慮しなければなりません。
また、競合との価格競争が激しい場合、送料を含めた価格設定が難しく、売上は伸びても利益が残らないというケースも考えられます。39ショップ参加前に、自社の商品や販売状況を分析し、適切な価格設定や販売戦略の検討が重要です。
2.厳しい審査基準を維持し続ける必要がある
39ショップ認定後も、楽天が定める基準を継続的に満たす必要があります。審査基準には主に以下のようなものがあります。
- 楽天側の定めるガイドラインの遵守
- 一定の顧客対応品質
- ショップ評価
特に、顧客満足度を低下させないためには品質管理体制や、問い合わせへの対応スピード・正確性が求められます。単純な価格戦略だけでなく、店舗としての総合力がないと基準の維持は難しいでしょう。
3.39ショップ参加だけでは売上が向上しない
楽天市場の95%以上の店舗が39ショップに参加しているため、39ショップであることはもはや最低条件となりつつあります。
競合との差別化を図り売上を向上するためには、39ショップのメリットを活かしつつ、独自のマーケティング戦略を展開する必要があります。あくまで売上向上のための手段の一つと捉え、効果的なマーケティング戦略を実施しましょう。
4.特定地域への発送は送料無料ラインが異なる
39ショップに参加していても、沖縄・離島・一部地域への配送料は無料になりません。特定地域への発送は送料負担が大きいため、例外として購入合計金額が税込9,800円以上の場合に送料無料となります。
特定地域への配送が多い店舗は、送料設定やユーザーへの情報提供に注意が必要です。ユーザーとのトラブルを避けるためにも、特定地域への送料設定は明確に表示し、周知徹底を意識しておきましょう。
楽天市場で「沖縄・離島・一部地域」として設定されている地域の一覧については、楽天市場のヘルプページを確認してください。
39ショップ参加の申請手順
39ショップ参加の手順や設定が必要な項目について解説します。
- 参加資格をチェック
- RMSから申請する
- 設定が必要な項目について
順に解説します。
参加資格をチェック
まず、楽天が定める以下の参加資格を満たしているかを確認しましょう。
送料無料の価格設定 | 「税込3,980円以上の注文で送料無料」を全商品または指定カテゴリーで対応可能であること |
店舗運営基準 | 楽天規定のガイドラインを遵守し、一定以上のショップ評価を維持、顧客対応の品質基準をクリアしていること |
参加資格を満たしていることを確認したうえで、申請に進みましょう。
RMSから申請する
39ショップへの参加申請は、RMS(店舗運営システム)から行います。以下の手順で申請を進めましょう。
RMSにログイン>店舗運営Navi(マニュアル)>店舗・決済・配送情報などを設定するをクリック

(画像出典:RMS)
共通の送料込みラインをクリック

(画像出典:RMS)
[共通の送料込みライン]対応ガイドが表示されたら、左側のメニューから申請画面へと進みます。

(画像出典:RMS)
以下の画面が表示されたら、各内容に了承したうえで申請は完了となります。

(画像出典:RMS)
クール便や大型便を利用して配送する商品の場合
クール便や大型便を利用する際は、任意で送料無料ラインの対象とするかどうかを設定できます。送料無料ラインの対象とする場合は「高額購入割引特典」を用いて「税込3,980円以下」にすると、設定が可能です。
配送方法の設定を行ったうえで、対象の商品と紐づける必要がある点に注意しましょう。
単品配送が必要な商品の場合
単品配送とは、対象の商品が他の商品と同梱できない場合に設定する必要がある配送方法です。単品配送の設定が可能な商品は楽天市場のガイドラインで定められており、条件が合致しているかを確認する必要があります。
単品配送設定が可能な条件は以下のとおりです。
- 産地直送品
- ケース売りの商品
- 長尺・異形の商品
- 出荷地が異なる商品
- 温度帯が異なる商品
特定送料を設定する必要がある商品の場合
酒税法が定める「酒類」に該当する商品や、発送元が沖縄や離島の商品、書籍・雑誌・新聞・音楽ソフト(音楽用CDやカセット、レコード)などに該当する商品は、特定送料を設定する必要があります。
RMS上での設定ではなく、楽天市場に届け出る必要があるため注意しましょう。
39ショップを活用した売上アップ術
39ショップのメリットを活用し売上を伸ばすには、以下のような戦略が重要です。
- 39ショップであることをアピールしてCVR向上を目指す
- 39ショップ限定イベントを活用してアクセス数向上を目指す
- まとめ買いを促進して客単価向上を目指す
順に解説します。
39ショップであることをアピールしてCVR向上を目指す
CVRの向上のためには、自店舗が39ショップである点のアピールが重要です。商品のサブ画像に「3,980円以上の購入で送料無料」であることが明確に伝わるものを加えたり、商品説明に明記しておいたりすると良いでしょう。
特に近年ではスマートフォンからアクセスするユーザーが多いため、商品画像部分に情報がまとまっていれば、より情報が伝わりやすいです。シンプルでわかりやすいデザインの画像を用意しておきましょう。
39ショップ限定イベントを活用してアクセス数向上を目指す
39ショップ限定イベントの開催日がわかったタイミングで、トップページや商品ページに39ショップのバナーを設置すると、アクセス数向上を図れます。
バナー画像は楽天からイベントごとに配布されるため、制作の手間をかけずにPRが可能です。イベント開催前から告知することで、ユーザーの期待感を高め、イベント期間中のアクセス・購入を促せます。イベントを最大限に活用し、アクセス数とコンバージョン率の向上を目指しましょう。
まとめ買いを促進して客単価向上を目指す
ユーザーに「送料無料ライン(税込3,980円)」を超える購入をしてもらえれば、客単価アップを目指せます。
過去のデータに基づき、同時購入されやすい商品を関連商品として表示したり、低単価商品のまとめ買いを促すバナーを設置したりするなどの工夫が有効です。
「あと〇〇円で送料無料」といった表示や「〇〇(商品名)と一緒にいかがですか?」といったレコメンドも効果的です。まとめ買いを促進する施策を組み合わせることで、客単価向上を実現できます。
特定地域のユーザーからのクレーム防止対策
39ショップに参加する際は、特定地域のユーザーへの配慮が不可欠です。クレーム防止のためにも、以下の対策を行っておきましょう。
- 会社概要ページに送料に関する注意点を記載する
- LINE配信時には絞り込み配信を行う
順に解説します。
会社概要ページに送料に関する注意点を記載する
特定地域への配送には追加料金がかかる場合がある点を、会社概要ページや配送情報に明記しましょう。
情報が不足しているとユーザーの不満につながり、クレームの原因となります。「沖縄・離島については別途追加料金を請求させていただきますので、あらかじめご了承ください」といった文言を記載しておくことがおすすめです。
LINE配信時には絞り込み配信を行う
楽天市場のイベントや自社イベントについてLINE配信を行う際は、一括配信を避けましょう。
送料が高くなる地域には配信を控えておくと、クレーム防止につながります。R-SNSのLINE配信では以下属性での絞り込み設定が可能です。
- 性別
- 年齢
- 都道府県
- 友だちになってからの日数
- 任意のメッセージの既読
- クリックの有無
あらかじめ絞り込み配信を行っておけば、誤解や不満を防ぎ、良好な関係を維持できます。適切な対策を行い、ユーザーとのトラブルを未然に防ぎましょう。
R-SNSでのLINE配信については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せて確認してみてください。
関連記事:楽天市場のR-SNSとは?Instagram(インスタグラム)やLINEの活用方法も具体的に解説!
39ショップに参加して売上を伸ばそう
本記事では、楽天市場の39ショップについて詳しく解説しました。39ショップへの参加は、アクセス数やCVRなどの向上に影響します。自社の利益を詳細に計算したうえで、参加する余裕がある場合は積極的に参加することがおすすめです。
しかし参加には楽天市場の基準を満たしたり、利益を確保するための適切な価格設定を行ったりする必要があります。
39ショップへの参加を検討している店舗様はもちろん、39ショップに参加しているものの利益を生み出すのに苦戦している店舗様は、ぜひお気軽にジャグー株式会社にご相談ください。
ジャグー株式会社では楽天市場の豊富な支援実績を基に「運営時のよくある失敗事例BEST100」という資料を作成しました。
事例を知っておけば、実際の運営での失敗を未然に防げます。楽天市場で売上を伸ばしたいとお考えの方は、ぜひダウンロードして目を通してみてください。
39ショップに関するよくある質問
Q.アクセス数やCVR向上に直結する?
現状、楽天市場の95%以上の店舗が39ショップに参加しているため、参加しただけで大幅なアクセス数やCVRの向上が見込めるわけではありません。
しかし参加しない場合は、検索結果に表示されにくくなったり、絞り込み検索をされた際に表示されなくなったりするなど、不利になる可能性があります。
また「最強翌日配送」ラベル獲得の条件にもなっているため、参加は楽天市場で売上を伸ばすための最低条件といえるでしょう。
Q.39ショップ限定キャンペーンとは?
39ショップ限定キャンペーンには、「39キャンペーン」と「39ショップ買い回りキャンペーン」があります。
どちらも不定期開催ですが、ユーザーにとってポイント獲得のチャンスであり、購買意欲を高める効果があります。お買い物マラソンや楽天スーパーセールと同時に開催される場合が多いです。詳しくは再度「2.39ショップ限定のイベントに参加できる」を確認してみてください。
Q.39ショップには必ず参加すべき?
39ショップ参加には、メリットとデメリットがあります。送料負担による利益圧迫の可能性もあるため、自社の商材や販売形態を考慮し、慎重に判断する必要があるでしょう。
しかし、多くの店舗が参加している現状、および「最強翌日配送」ラベルの獲得条件である点を考えると、基本的には参加することがおすすめです。
Q.送料無料ラインを設定したのに39ショップにならないのはなぜ?
39ショップになるためには、送料無料ラインの設定だけでなく、楽天が定める一定の基準(販売実績、顧客評価など)を満たす必要があります。
基準を満たしていない場合は、39ショップとして認定されません。RMSで自店舗の状況を確認し、基準を満たすように改善しましょう。詳しくは再度「2.厳しい審査基準を維持し続ける必要がある」を確認してみてください。