
楽天の組み合わせ販売は、関連商品をまとめて提案し、客単価アップを狙える機能です。
「魅力的な関連商品があるのに、なかなか見てもらえない……」
「送料無料ラインに届かずに離脱するお客様が多い……」
と悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか?
本記事では、楽天市場の組み合わせ販売について、メリットや具体的な設定手順、売上を最大化させるための活用ポイントなどを徹底解説します。
組み合わせ販売を活用した成功事例も紹介していますので、ぜひ最後まで読んで売上向上の参考にしてみてください。

監修者
米原 広兼
ジャグー株式会社 代表取締役
新卒で楽天グループ株式会社に入社し、ECコンサルタントとして
SOY(Shop of the Year)受賞店舗をはじめ多数の上位店舗を支援。
約2万人の社員の中から「楽天賞MVP」を受賞するなど、
高い実績と評価を獲得。
その後、大手企業のEC支援を行うコンサルティング会社を経て、
2020年にEC専門支援会社「ジャグー株式会社」を設立。
楽天市場やAmazonなど複数モールにおける売上拡大・運用最適化を総合的に支援している。
また、グループ会社にて自らもAmazonでの販売事業を展開。
自社ブランド製品はAmazonで「Amazonおすすめ」を多数獲得し、
販売開始から1年で月商1,000万円を突破するなど、売り手としても豊富な実績を持つ。
目次
楽天の組み合わせ販売とは?

(画像出典元:店舗運営Navi)
楽天の組み合わせ販売とは、1つの商品ページ(親商品)を訪れたユーザーに対して、関連性の高い別の商品(子商品)を最大3つまで同時に提案できる機能です。
気に入った商品をワンクリックでまとめて買い物かごに入れられるため、スムーズな購買体験を提供できます。
組み合わせ販売機能が導入される以前は、関連商品を販売するためにバナーを設置して、ユーザーを別の商品ページへ遷移させる必要がありました。
組み合わせ販売を活用すれば、ユーザーはページを移動せずにその場でおすすめ商品を確認し、購入を完結できます。
ユーザーの利便性が高く「ついで買い」や「まとめ買い」を自然に促せるため、客単価の向上につながる重要な施策といえるでしょう。
楽天市場での売上アップ施策については以下の記事で具体的に紹介しているので、ぜひ併せて確認してみてください。
関連記事:【2025年保存版】楽天市場で売上アップ!売れる店舗が必ず実践する具体策16選
楽天組み合わせ販売の2つのメリット
楽天の組み合わせ販売には、大きく2つのメリットがあります。
- ページ遷移なしでまとめ買いが完結する
- 視覚的にセット購入の魅力を伝えられる
順に解説します。
ページ遷移なしでまとめ買いが完結する
組み合わせ販売を導入すると、ユーザーは親商品のページを離れずに他の商品をワンクリックでまとめて買い物かごに追加できます。
一般的なECサイトでは、ページへの遷移数が増えれば増えるほど一定数のユーザーが離脱してしまう傾向がありますが、組み合わせ販売ではこの離脱リスクを低減可能です。
ユーザーにとってストレスなくスムーズにまとめ買いができる購買体験は、結果として顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
視覚的にセット購入の魅力を伝えられる
組み合わせ販売で設定した子商品は、親商品ページの買い物かごのすぐ近くに画像付きで分かりやすく表示されます。
そのため、ユーザーはセットで購入するべき商品を理解しやすくなります。
たとえば「このスマートフォンケースと一緒に使うと便利な保護フィルムです」といった具体的な提案が商品画像と共に伝わります。
単なるテキストリンクやバナーでの訴求に比べて、クロスセルやついで買いを促すことが可能です。
「組み合わせ販売」と「セット販売」の違い
楽天市場には、複数の商品を販売する方法として「組み合わせ販売」の他に「セット販売」もあります。
どちらも複数の商品を扱う点では似ていますが、楽天市場のシステム上では明確に異なるため、正しく理解しておきましょう。
「組み合わせ販売」は、すでに出品している複数の単品商品を、1つの親商品ページに紐づける機能です。ユーザーがワンクリックでまとめて買い物かごに追加できるようにします。
この場合、子商品はあくまでも独立した商品として存在し、各商品の在庫は個別で管理されるのです。
一方「セット販売」は、複数の商品をあらかじめ一つのパッケージにし「新たな1つの商品」として販売する形態を指します。
具体的にはお正月の福袋やギフトセットなどが例として挙げられます。この方法では「セット商品」として全く新しい商品ページを1つ作成し、在庫もそのセット商品専用に管理する形となります。
楽天組み合わせ販売の設定手順5ステップ
楽天の組み合わせ販売の設定手順は以下の5ステップで進めます。
- RMSの商品管理画面から「組み合わせ販売設定」を選択
- 管理名称を設定する
- 「親商品」を商品管理番号で登録する
- 「子商品」を最大3つまで登録する
- 表示優先順位と登録内容を確認する
順に解説します。
1. RMSの商品管理画面から「組み合わせ販売設定」を選択

(画像出典元:Rakuten RMS)
まず、楽天市場の店舗運営システムであるRMSにログインします。
トップページから「店舗設定」メニューの中にある「1 商品管理」をクリックし、次に表示される項目の中から「組み合わせ販売設定」を選択してください。
初めて設定を行う場合、既存の設定は何も表示されていません。画面にある「+新規登録」ボタンをクリックして、新しい組み合わせの作成を開始しましょう。
2. 管理名称を設定する

(画像出典元:Rakuten RMS)
次に「組み合わせ管理名称」を入力します。
管理名称はユーザーには表示されず、店舗側が管理しやすくするためのものです。
たとえば「主力A商品+オプション品セット」のように、どの商品の組み合わせかが一目でわかる名前を付けておくと、後から設定が増えた際も管理がしやすいでしょう。
次に「商品ページ上の表示設定」で、作成した組み合わせパターンを実際に商品ページに表示するかどうかを決めます。「表示」にチェックを入れると設定が反映されます。
注意点として、1つの商品ページに表示できる組み合わせパターンは最大2つまでです。もし3つ以上の組み合わせパターンを作成している場合は、表示したい2つ以外は非表示に設定する必要があります。
さらに、PC用の買い物かご付近に表示される「PC用組み合わせ販売説明文」も入力可能です。組み合わせの特徴やおすすめの理由などを50文字以内で記入しておけば、ユーザーへの訴求力をさらに高められます。
3. 「親商品」を商品管理番号で登録する
続いて、組み合わせの軸となる「親商品」を設定します。
親商品は、ユーザーが最初にアクセスするメインの商品ページそのものです。商品名ではなく「商品管理番号(商品URL)」を入力して商品を検索し、登録しましょう。
登録後は「参照」ボタンをクリックして、意図した商品が正しく選択されているかを確認しておきます。
4. 「子商品」を最大3つまで登録する

(画像出典元:Rakuten RMS)
親商品と合わせて提案したい「子商品」を設定します。
子商品は最大で3つまで登録可能です。親商品と同様に、それぞれの「商品管理番号(商品URL)」を入力して商品を検索し、登録していきます。
どの子商品を選ぶかは、客単価向上を左右するポイントとなるため、顧客の購買データを分析し、最適な商品を選定しましょう。
5. 表示優先順位と登録内容を確認する
子商品を複数登録した場合、商品ページ上で表示される順番を変更できます。
特に優先して購入してほしい商品を一番上に表示させるには、各子商品の左側にある矢印(「↓↑」)アイコンをドラッグアンドドロップして順番を入れ替えます。
最後に、登録した親商品と子商品の組み合わせ、説明文、表示順などに間違いがないかを最終確認しましょう。
問題がなければ、画面下部にある「+この組み合わせを登録する」ボタンをクリックすれば設定は完了です。設定が完了したら、必ず実際の店舗の商品ページにアクセスし、意図した通りに表示されているかを確認しましょう。
なお、親商品または子商品が在庫切れや倉庫商品であるなど、特定の状態の場合は組み合わせ販売が表示されません。表示されない場合は、登録画面に原因を示すラベルが表示されるため、そちらを確認してください。
楽天組み合わせ販売の活用パターン3選
組み合わせ販売の効果を高める活用パターンを3つ紹介します。
- 「関連商品」の組み合わせ
- 「関連サービス」の組み合わせ
- 「送料無料ライン超え」の組み合わせ
順に解説します。
「関連商品」の組み合わせ
関連性の高い商品を組み合わせるパターンです。
たとえば、革靴を親商品とした場合に、靴クリームやブラシといったお手入れ用品を子商品として設定します。
ユーザーは「靴を買うなら、一緒にケア用品も必要だ」と自然に認識し、ついで買いにつながりやすくなります。
「関連サービス」の組み合わせ
商品だけでなく、サービスを子商品として組み合わせることも有効です。
たとえば、高価な家電製品を親商品として、有料の「延長保証サービス」を子商品に設定するパターンです。
他にも、ギフト商品に「名入れサービス」を組み合わせるなど、商品の付加価値を高める提案ができます。
「送料無料ライン超え」の組み合わせ
ユーザーは、送料を無料にするために追加で商品を購入する傾向があります。
この心理を活用し、親商品に子商品を組み合わせることで「送料無料」の条件を達成できるように設計します。
たとえば、39ショップ(送料無料ラインが税込3,980円)の場合、3,500円の親商品に対して、500円前後の子商品を提案すれば「あと少しで送料無料になるなら」と、ついで買いを促すことが可能です。
送料無料ライン超えの組み合わせは、客単価と転換率(CVR)の両方に良い影響を与えます。
楽天組み合わせ販売を活用する際の注意点
組み合わせ販売を活用する際の注意点は以下の3つです。
- CSV一括登録には対応していない
- 対象外商品・ジャンルがある
- 「最強翌日配送」の仕様を細かく確認しておく
順に解説します。
1. CSV一括登録には対応していない
組み合わせ販売の設定は、RMS上で1商品ずつ手動で行う必要があります。CSVファイルを使った一括での商品登録設定には対応していません。
そのため、何千、何万という商品を取り扱う店舗がすべての商品に組み合わせ販売の設定を適用するのは、現実的ではないでしょう。
まずは店舗の売れ筋商品や特に利益率の高い戦略商品に絞って、優先順位を付けて導入を進めることをおすすめします。
2. 対象外商品・ジャンルがある
楽天市場のガイドラインにより、以下の商品は組み合わせ販売の対象外と定められています。
- 定期購入商品
- 頒布会商品
- 予約商品
- 販売期間指定商品
- 項目選択肢別在庫商品
- 項目選択肢が属している商品
- 闇市パスワードの商品
また、医薬品、酒類、コンタクトレンズといった特定のジャンルも対象外となるため、自店舗の取扱商品が設定可能かどうかを事前に確認しておきましょう。
3. 「最強翌日配送」の仕様を細かく確認しておく
ユーザーからのクレームにつながりやすいのが「最強翌日配送」の仕様です。
親商品が「最強翌日配送」対応であっても、組み合わせた子商品のうち1つでも「最強翌日配送」に非対応の商品が含まれていると、注文全体で「最強翌日配送」が選択できなくなるというルールです。
ユーザーは親商品ページの情報を見て「最強翌日配送で届く」と認識している可能性が高いため、誤解を招きやすい点に注意しておきましょう。
親商品が「最強翌日配送」対応の場合は、子商品も必ず「最強翌日配送」対応の商品に統一しておくと良いです。
楽天組み合わせ販売の効果を高める分析ポイント
組み合わせ販売の効果を高めるには、効果の分析を繰り返し、改善していくことが重要です。以下のポイントを意識して分析してみましょう。
- どの組み合わせが売れているかをデータで見る
- A/Bテストを繰り返しベストな組み合わせを見つける
- 客単価の変化を長期的な視点で確認する
順に解説します。
どの組み合わせが売れているかをデータで見る
RMSの売上分析機能や店舗カルテを活用すると、どの組み合わせ販売経由でどの商品が売れたのかを確認できます。
特に店舗カルテ内の「売上の公式」からは、客単価の推移を把握可能です。単に思いつきで関連商品を並べるのではなく、店舗の受注データを詳細に分析し、「A商品とB商品は一緒に購入されやすい」などの実際の購買傾向を把握したうえで施策を実施しましょう。
併売率の高い商品を見つけ出し、戦略的に組み合わせれば、まとめ買いをさらに促進できます。
A/Bテストを繰り返しベストな組み合わせを見つける
A/Bテストを実施すると、より効果的な組み合わせを見つけられます。
同じ親商品に対して、期間を区切って異なる子商品の組み合わせパターンを設定し、どちらのパターンが客単価や転換率の向上に貢献したかを比較検証しましょう。
たとえば「パターンA(価格重視の組み合わせ)」と「パターンB(品質重視の組み合わせ)」で1週間ずつテストを行う、などがおすすめです。
時間はかかりますが、改善サイクルを継続的に回すことで自店舗にとって最も効果的な「勝ちパターン」を見つけ出せます。
客単価の変化を長期的な視点で確認する
組み合わせ販売は客単価を向上させるための施策なので、導入後に客単価が上昇していなければ成功しているとはいえません。
組み合わせ販売の設定を強化した月と、そうでない月とで客単価にどのような変化があったかを長期的な視点での検証が重要です。
季節やセール時期などの外部要因も考慮しながら、施策が売上にどれだけインパクトを与えたかを冷静に評価し、次のアクションプランにつなげていきましょう。
楽天組み合わせ販売で成果が出ない場合は専門家への相談もおすすめ
組み合わせ販売で成果を出すためには、どの商品を組み合わせるかという戦略的な選定が大切です。
もし自身でいろいろ試してみても販売成果が伸び悩んでいる場合や、そもそも効果的な組み合わせを見つけるのが難しいと感じる場合は、EC運営の専門家への相談も検討しましょう。
楽天市場の運営代行やコンサルティングについて、以下の記事でおすすめの会社を紹介しています。ぜひ併せて確認してみてください。
関連記事:【2025年8月最新版】楽天市場の運営代行おすすめ30選!料金や選定ポイントも紹介
関連記事:【2025年】楽天市場のおすすめコンサルティング会社28選比較!比較ポイントも徹底紹介
楽天組み合わせ販売を活用して客単価の向上を目指そう
本記事では、楽天市場における組み合わせ販売の概要からメリット、具体的な設定手順、そして成果を高めるための活用術や分析方法まで詳しく解説しました。
組み合わせ販売は、ユーザーの離脱を防ぎながら自然な形で「ついで買い」を促し、客単価を向上させるための有効なツールです。
設定自体は手動で行う必要がありますが、売れ筋商品や戦略商品に的を絞って導入するだけでも、店舗の売上に好影響を与える可能性があります。
本記事を参考に、ぜひ組み合わせ販売の設定に挑戦してみてください。そして、データに基づいた分析と改善を繰り返しながら、自店舗の売上と利益の最大化を目指しましょう。

楽天組み合わせ販売に関するよくある質問
Q. 組み合わせ販売で設定した子商品の在庫は、単体販売の在庫と連動しますか?
はい、連動します。組み合わせ販売は、すでに出品されている既存の商品ページを関連付ける機能です。
そのため、在庫は元の単品商品で管理されているものが直接参照されます。組み合わせ販売で商品が売れると、単品商品の在庫も自動的に減少します。
Q. 親商品1つに対して、組み合わせのパターンはいくつまで登録できますか?
1つの親商品につき、最大で2つの組み合わせパターンまで登録し、商品ページに表示させることが可能です。たとえば、「初心者向けおすすめセットA(子商品3つ)」と「上級者向けこだわりセットB(子商品2つ)」のように、異なるターゲットや目的に応じた組み合わせをユーザーに提示できます。